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ユイとリアムはそこからしばらく話を聞き、お互いに情報を交換した
ユイは日本に――下手すると地球にすら――いないらしい。
ここはハノーファー国というところらしく、私が居たところはハノーファー国の西に広がる森の中にいたらしい。そこは「禁じられた森」と呼ばれ、限られた人しか入れず、その「限られた人」であるリアムが倒れているユイを発見し、ひとまず自宅に運んだとのことだった。
「あの、ありがとうございました。あのままだったら、死んでたと思います」
「いや、本当は医者に見せるべきなんだが……状況が状況だし、今ホリデーで休みなんだ。恐らく一部凍傷だと思うから、ひとまず家にある薬を塗っておいた」
手を見ると手袋がはめられていた。
ユイレルさんがやってくれたかと思うと申し訳なく、もう一度ありがとうございます、と礼を言った。
「ホリデーは、まぁ国民の休日みたいなもので、ほとんどの店が開いてない。ホリデー明けは5日後だから、そしたらとりあえず医者に見せに行こう。あと、役所に行けば二ホンという国がどこにあるかわかるだろう」
「いや、そんなそこまで申し訳ないです、あと少ししたら大丈夫なので、気にしないでください」
いやいやと遠慮すると、ユイレルさんが眉をひそめた。
「このハノーファー国で行く当てでも?」
「いや……」
「ひどい凍傷で両手が動かないのに?」
「うっ……」
「ホリデーで店もほとんど開いてないのに?」
「……」
返す言葉もなくうなだれてしまうユイの様子にリアムがふっと笑った。
「いいんだ、部屋は余ってる。何もないところで申し訳ないがここで休めばいい」
「す、すみません……」
「そういう時は、ありがとうと言われる方が嬉しい」
「っあ、ありがとうございます!」
お世話になります、とぺこりと頭を下げると、よろしくとユイレルさんが言った。
きれいなブルーの瞳が細められ、イケメンの笑顔がまぶしい。
こうして、普通の女子高生であるユイとリアムと名乗るマッチョ系イケメンとの不思議な5日間が始まった。