第一章-WIN- episode1:赤目の男
どうしてこうなってしまったのかは、今となっては分からない。
人間とはいえないような体を引きずって、それでも僕たちは人間として生きたいと思った。
失われてしまったものを取り戻したとき、ようやく僕たちは生きてもいいんだよ、と
認めてもらえるような気がしていたのかもしれない…。
WIN
ある程度発展している町だったら、大抵は街外れにこんな看板がある。
「HANTER SHOP ハンターショップ」
ここ10年、かなりの勢いで増えている。
これは、15年前から突如発生し、その生息数を増やし続けている生物のせいだろう。彼らは今までいた様な動物達とは全く違う。鼠のような大きさのまるで無害なものから、象みたいな大きさで牙を持つもの、猿のように知性の高いものや、目玉が多すぎるくらいついてしまった魚のようなもの・・・。奴等が出現したのは原因がはっきりとはしていないが、中には人を食するようなものもいたりする。初めて発見されたものが、子供を多く産んでいたことから、政府はこの生物を「チルドレン」と名づけ、そう呼んでいる。
ハンターショップは、このチルドレンの死骸を買い取る店である。チルドレンの中には人を殺しすぎて懸賞金がかかったものや、珍しい角や牙から、高く買い取られるものがある。そんなチルドレンを狩って、生活をしているものを、ハンターと呼び、戦うことが出来る旅人の中では生活の収入源になっているのだ。
「おい、こいつを頼む。」
その日、ハンターショップに持ち込まれたのは鹿のようなチルドレンだった。男はどん、とそれを店の亭主に見せた。
「おお、こいつは獰猛なやつだぜ。よく捕まえたなぁ。」
男は亭主の言うことには答えず、聞いた。
「いくらになるんだ?」
亭主はチルドレンを品定めしている。足が普通の鹿とは違い六本あり、角はかなり尖っている。角に血がついているのを見つけて、亭主が聞いた。
「兄ちゃん。怪我してねえかい。」
「・・・。」
男は答えなかった。
「・・・。いくらだ?」
「これだとね、まあ角がいいからね、12000ジルだな!はい!」
男の手に12000ジルが手渡された。男は金をしまうと、すぐに後ろを向いて店を後にした。
しばらくして、また次の客が来る。
「おーい、おっさん。頼むよ。いっぱい捕まえたよー。」
「はいよ、・・・って、こんな小さいのかよ。お前はいつも・・・。」
「へへ、小遣い稼ぎだよ。いいじゃねえか、チルドレンはお国が買ってくれるんだろ。」
「まあそうだけどよ。えーと、5匹だな。500ジル。はいよ!」
「お、おっさん。今日はすげえのがいるな。前の客かい?このチルドレン。立派な角じゃねえか。」
「ああ、久々に大物だよ。旅の人みたいだったけど・・・。無口でね、ああそうそう、髪で隠してたけど、チラッと見えたよ。あの男、左目が赤かったな。」
「赤い目・・・?へえ、左目?左目だけか?」
「ん。確かに片目は普通だったよ。」
「赤い目ねえ。レッドアイじゃないのか?こんな大物担いできたんだろ?」
「俺もなあ、一瞬思ったんだけどな、レッドアイだったら今頃前線で戦争してるだろう。こんな街でハンターやってるわけないだろ。」
「まあな。まあ、いいや。また頼むな。」
「次はもうチョイでかいの頼むよ。」
左目に、赤い目を持つ男はどこかに去っていった。




