最終話 そして、続いていく。
エレーナの話を聞き終わったとき、リクの顔からは、もう迷いが消えていた。
女なのに公爵で、公爵なのに闘う母。
そんな母を、止めない父。
なんで、と思っていたけれど――
その答えは。
——
「ゼンってば、本当に心配性なのよ。少し出かけるだけでも、ついて行こうかって。
今日だって、リゼのところに行くって言ったら、公務切り上げて帰ってこようとしたんだから。」
エリシアの呆れたような小言に、リゼは「そんなの!」と、身を乗り出した。
「いいじゃない!それ。クロードなんて全然よ?もう少し甘やかしてくれてもいいのに」
その時、ちょうどクロードが部屋に入ってきて、着ていた上着を椅子に掛けながら、
「……必要ないだろ」
そう言って怪訝な顔をする。
「ほらね!そういうとこ!」
それを聞いて、リゼが怒る。
そんな2人を見て、エリシアはクスクスと笑っていた。
「でも、ちゃんと隣にいるじゃない」
最後にそう言ったエリシアの言葉に、3人の会話をそばで聞いていたリクは顔を上げる。
--なんであれで成り立ってるんだ、って思っていた。
でも、今なら少し分かる。
言い合って、ぶつかって、それでも--隣にいる。
守るって、きっと。
ただ庇うことじゃない。
--離れないことだ。
--隣に、立ち続けることなんだ。
あの日の風の、その続きは。
--確かに、ここにあった。




