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あの日の風の、その続き 〜戦う公爵令嬢と、王女が選んだ未来〜   作者: 凛花


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第三話 私の方が強いのに






エリシアと別れて訓練場に戻ると、まだクロードは戻っていなかった。


近くにいた騎士に、声をかける。



「クロードは?」


「総長に呼ばれて一緒に行ったきり戻ってないですね。」


「そう。」



午前中の訓練を終えても戻ってこなかったクロードを探して、リゼは城の庭を歩いていた。


そのとき--



「じゃあお前リゼ様に勝てるのか?」


「無理だろ。うちの団員でリゼ様より強いのは団長くらいだよ。」


休憩中の仲間の騎士のそんな会話が耳に入る。


ふふん、と得意げな気持ちになったのも束の間。



「おい、聞いたか?クロードに、次期副団長の話が来てるらしい。」


「さっき総長に呼ばれてたのはその話だったのか。」



クロードが次期副団長?



リゼの足が止まる。






--バン!


「兄様!」


扉を開けると、正面の机に座るゼンと、その前に立っているクロードの姿があった。



「リゼ。部屋に入る時はノックをしろと何度も言っているだろう。」


「……すみません。それより、本当なんですか?クロードが次期団長って。」


「もう広まってるのか。噂好きがいたもんだな。」


否定は、されなかった。


それだけで、充分だった。



--私の方が強いのに。



喉まで出かかった言葉を、リゼは飲み込む。



わかっている。


自分は女であることくらい。


どんなに強くなっても、それは変えられない。



「……リゼ。」


クロードが何か言おうとしたけれど、その続きを聞く前に背中を向けた。



「……クロード。おめでとう。」



強くなりたい。


ずっとそう思って頑張ってきた。


それなのに。



私は--認めてもらえないの……?




扉が閉まる音だけが、静かに響いた。



残された部屋で、ゼンがポツリと呟く。



「クロード、すまないな。」


何に対してなの謝罪なのか、クロードにはわからない。


「……いえ。」



「お前には、みんな期待している。お前ならできる。俺が保証する。」



尊敬するゼンに推薦され、こうして言葉をかけられる。


本来なら、誇らしいはずだった。


それなのに。



さっきのリゼの表情が、頭から離れない。


クロードは小さく、顔を歪めた。


ゼンもそれ以上、何も言わなかった。







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