ラプンツェルと闖入者は出会う。
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「……ふあぁあ。よく寝た」
目が覚めてから、ゆっくりと伸びをしてベッドでゴロゴロ。
どれくらいそうしていたかは不明だけど、凄いよく眠れたし疲れもすっきり爽快!このベッド、なんかの魔法アイテムだったかしら?
「さって、朝ご飯朝ご飯!」
ルンルンラッラと鼻歌を歌いながら四階へ駆け下りて、昨日と同じパンとベーコンとスープで朝食を済ませる。
それから昨日は行かなかった三階から下の階へ降りようとして、まだ自分がクリーム色のネグリジェ姿だったことを思い出して五階へ戻り、汚れても大丈夫なように白いエプロン付きのブラウンロングワンピースへ着替えてから階下へ駆け下りた。
「おー」
天井から床までを覆う巨大な本棚が壁の役目になり、部屋中何処を見渡しても本、本、本、中央には広い執務机に立派な背もたれの付いた椅子が置かれ、書類やらノートやら羽ペン、インク壷が広げられている。
五階には暖炉と窓があるし、四階には魔法のアイテム「万年光り苔」が天井に植えてあるのだけど、三階から下には本が傷むと困るので必要なときだけ手提げランタンを使うようにしていた。
階段横の棚にランタンとマッチ、蝋燭も用意されている。魔法も、何かあったら危ないから本の側では禁止していたはず。
ランタンを机の空いたスペースに置いて、ギシリと油を差さないまま椅子についた。
「何か途中だったかな」
ランタンに火をつけて照らしながら、使用中らしい机をのぞくと【モンスター図鑑】【植物図鑑】【調合について】【塔の森薬草の種類】【妖精の店ー収支報告書1】と書いてあった。
「……図鑑とか、書いてたっけ?」
やっぱり、ゲームのキャラとは言えラプンツェルにも私の知らない時間や動きがあったのかも。私がゲームをしていない時間、彼女は自由行動していてもおかしくないしなぁ。
「うん」
少し読んでおくか。
「___んせぇ。先生?」
ゆさゆさっと肩を揺らされて、フッと意識が浮上。
まぶたを開け閉めして、ようやく目が覚めてくるのは良いんだけど……ん?
「これは……素晴らしい!なんて素晴らしいんだっ!あの書籍は二百三十年は前の代物、あ!あれはもう探しても見つからない古代魔法書!あー!これは……」
分厚い瓶底眼鏡をかけていて顔はわからないけど、ボサボサの長髪をなんとか撫でつけ後ろで緩く結んでます!って感じの小汚い青年が私の書室で騒いでいる。
思わず眉間にしわが寄るのが分かって、苛々していると、その近くに仕事バリバリこなしてますっ!て感じのキャリアウーマン風美人を発見。スーツは着てないけど、神官風の真っ白で長ったらしい服に、膝辺りまで伸ばした栗色の髪を背中に流していた。
「……」
黙ったまま静かに鞄からミスリル杖を取り出す。
一応は魔法禁止で、私より弱い者は使えないようになってはいるけどなんかされたら怖いし。
「先生、起きられましたか?」
隣で揺すって起こしてくれたユユと、丁度四階から私の分のお茶を入れて持ってきてくれたトト。
今のは多分トトだけど、二人が居るのに知らない人が侵入ってどういうこと?
そう思って怪しむと、階段を下りたトトの背後からマーちゃんの姿が見えて今度は吃驚して目を見開く。
「紅茶です」
そっと差し出されたティーカップで、一服。
その様子を見ながら、トトが状況を説明してくれた。
「あちらの青年はこの街の亜人のまとめ役をして居られるエルフの方のお孫さんでハーフエルフのカイトリニフさんです。お隣の女性は近くの町に住むドラゴノイドのサーシャリアさんです。二人とも先生にお願いがあるそうで、ご挨拶をとポルルの元へ向かわれたそうですがいつ頃街へ来るかわからないとのことで此方へ案内したそうです」
「ここへ連れてくる必要が?」
「まぁ移動の仕方がわかっても、どうせ鏡は私達がいなきゃ通れないから良いじゃないですか!」
同じ亜人だからか、トトもユユもガードが緩い。人間相手とは大違いだよ。
「ぁ、あの……この度はサビア森林自治区の解放、おめでとうございます!」
バッと目の前まで進んできたサーシャリアさんが深々とお辞儀して、そう叫ぶ。
「え、っと」
「サンガ渓谷ドラゴノイド族ガイアラスが長子、サーシャリアと申します!あの、これお納め下さいっ!」
そう言いながら、ズバッと力強く差し出してくれたのは……白くて尖ったなにかだった。
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