第16話 魔王様、助けたい命ってあります?
なんだ、こいつ…
「…お前は一体?」
「申し遅れました!名前はダリオンと申します。禁術の研究をしております」
禁術の研究?それじゃあ、こいつは闇魔道士か!
「そうでございます!ダリオンは闇魔道士でして…」
「…え?」
僕が口を滑らした?いやそんな筈は…
「いえいえ、アナタは口を滑らせていませんよ」
更に驚くルアにダリオンは笑みを浮かべる。
「驚かせてすみませんねぇ〜。このダリオンには心を読み取れる能力があるのですよ〜」
「心を読む能力?」
「ええ生まれつきこうです。いや〜、参りましたよ。常時他人の思考が頭にくるのですからね〜。いやこんな話より…アナタ!冒険者を相当恨んでいるようですね?」
「まぁ…」
「ですよね〜!復讐したいとは思いませんか?冒険者を潰してやりたい、殺してやりたいと!」
「…思います」
ダリオンの質問にルアは渋々に答えた。
「そうですよね!ダリオンにいい考えがあるのですよ!」
「…考え?どういう考えで?」
「フフッ!禁術の一つ生命破滅を使うのです!」
生命破滅…広範囲にいる生命体を消す禁術。上から下に唱えることで、効果を発揮するという。
使うことは勿論、禁止されている。
「その禁術を使えば、このテロリアにいる勇者共ども冒険者は消え、復讐を果たせます!」
ダリオンの言うことを聞いて、フッと笑う。
「何を言ってるんですか?僕はそんな禁術使えませんし、持ってません」
禁術はそう簡単に使えるものじゃない。限定された者だけが使える。特別な魔法。
一般魔法みたいに魔道書を見て、はい!出来上がり!と簡単に出来る訳が無い。
「それはですね!」
ダリオンは懐から、黒く光った魔石を取り出した。
「この中に生命破滅の力が入っています」
魔石は生物に属性を付けることも出来るが、属性がなくなった魔石は、魔力をため込める石・力を込めれるのだ。意外と高性能。
ダリオンの発言にまたまた驚くルア。
「これを使えば、アナタは生命破滅を得て、冒険者に復讐できます」
冒険者は消せる力が目の前に…
ルアは黒い魔石を見て息を飲んだ。
これは…冒険者に復讐できるチャンスなのかもしれない。
これで、冒険者に復讐を…!
思わずルアの頬が緩み笑みがこぼれる。
「…わかりました。やっ…」
そう言いかけた時、リカルダとウェルミナの存在が脳裏に浮かぶ。
「やっ…?何ですか?」
「…やっぱり辞めます」
ルアの返事を聞いてダリオンは、驚く。
「なんでなのですか?冒険者に復讐できるチャンスですよ!」
ダリオンはルアを説得する。
「いいんですよ。もう…」
「…えっ〜!やめちゃうの?つまんないの!」
ダリオンの雰囲気がガラリと変化する!
「つまんないけど、いいよ。ダリオンがやっちゃうから!」
ダリオンのとんでもない発言に、ルアはダリオンを捕まえようとする。
「っ!おい!ちょっと待て!」
捕まえようとするが、ダリオンは高くジャンプし、路地の先にあった高い塀の上に乗る。
「お前にさせようと思ったけど、自分でやるってことに決めたよ」
「お前、本当に生命破滅を使うつもりなのか!?」
「うん、ここで人口減らしとくってものありだよね」
そう言って不気味に笑うダリオン。
「待てよ!人が…人が…消えるんだぞ!」
「知ってるよ。別にダリオン人間じゃないし。正直、人間目障りだったんだよね〜お前がどう言おうが、ダリオンはこの作戦を実行しまーす!」
シユュュッ…
ダリオンの姿は黒い霧となって見えなくなる。
「まぁ、生き残りたいなら…ここから急いで出る事だね。じゃ、ダリオンはそれを眺めるとしますかな!」
これを最後にダリオンの声が聞こえなくなった。
あいつ!本当に使う気だ!早くあいつを止めなければ…!
人が、町の皆があの二人も…!
ルアは消える二人の事を想像し、血の気が引いた。
タッタッタッッ!
ルアは急いで薄暗い路地を飛び出す!
ドンッ!
「うわぁっ!」
路地を飛び出した時、誰かとぶつかる。
「すみません!急いでて…あっ…」
ルアはぶつかった相手をみて目を見開く。
「も〜!何なのよ〜!」
ぶつかったのは冒険者依頼受諾に行く途中だったウェルミナだった。
「お前は…」
リカルダは青い瞳でルアを睨みをつける。
「アンタは、あの時の!」
「冒険者様…お逃げ下さい」
「へ?何で逃げなきゃなんないのよ?」
「お願いです…ここから…このテロリアから逃げて下さい!」
ルアの目に涙が浮かぶ。
「何か…あったんだろ?」
リカルダはルアの様子から、何かあったことを読み取った。
リカルダに対してルアは優しく微笑み、
「……とにかく逃げてください。お願いします…貴方達だけは死んでほしくないんです…」
リカルダの質問に答えず、そう言い残してルアはこの場から駆けていった。
「ウェルミナ!あいつを追うぞ」
「分かった!」
“死んで欲しくない”
この言葉からこの町に異常な事が起ころうとしていることを、二人は読んだ。
リカルダ達はルアの行った方向へと走って行った。
次回も見てくれると嬉しいな!




