第13話 魔王様が魔物強化に専念しております
「僕の名前はルアと申します。アナタが手に持っている依頼を貼らせていただいた者です」
険しい顔をするリカルダに、ルアは優しい口調で話しかけた。
「アンタが依頼主…?じゃないわよね。名前が違うじゃない!」
ウェルミナは紙の端っこに書かれている、“ガルム”という文字をルアに見えるように、指差した。
「言い間違えました!ガルムさんに言われて、依頼を受けてくださった冒険者様を迎える様に言われたんですよ」
「本当?怪しい…」
リカルダはルアを睨む。あの時見た闇が頭から離れないのだろう。
「…そんな目で見ないで下さいよ。本当ですよ」
ルアはリカルダの睨みに困った表情を見せる。
「他の冒険者様からも言われましたよ。お前は信じられないって。やっぱり見た目がいけないんですかね?」
ルアの顔はそう怪しくも怖くもない。
むしろイケメンで美形、凄いモテそうな顔つきだ。
「ねぇリカルダ。この人を信じていいんじゃない?」
「ええ…?お前、顔で判断してんだろ?顔がすげぇいいからって…」
「ち、違うわよ!私の感がそう言っているのよ!その依頼受けさせてもらうわ!」
ウェルミナはリカルダから紙を奪う。
「えっ…おまっ」
「ありがとうございます!早速、ガルムさんが待っているマフィスの村へ行きましょう!」
こうして、リカルダ達はマフィスの村へ旅立って行ったのだ。
《その頃、魔王の城では…》
エントランスで魔物達が所狭しと集まっていた。
「リビングメイル98匹、はい整列。アイアント732匹はいここ」
シルエラが言った場所に魔物達が整列して行く。
「スコーピオン…590匹。ワイバーン…129匹…ビックゴブリン45匹…スライム3430匹…?アイアントやスコーピオンもだが、流石にスライム多くない?」
モンスターパレードの最中だが、魔物が徐々に帰りつつあった。
数えた結果。
スコーピオン…373匹→590匹。
アイアント…267匹→732匹。
ワイバーン…56匹→129匹。
ビックゴブリン…21匹→45匹。
スライム…943匹→3430匹。
低級魔物のスライムが爆発的に増えている。
どんなけ増えてるのですかこいつ。
私的には戦力になるワイバーンが増えて欲しかったんだが…
まだこれはほんの鱗片に過ぎないからな。これからまだ沢山の魔物がここに帰ってくる。
どれだけ魔物が増えているか楽しみだな。
しかし、このスライムの量は…これ以上増えられるとな…
「スライム以外解散!」
ガアアッッ!ガァアッァッ!オオオッッ!
雄叫びを上げ、スライム以外の魔物達はエントランスからばらけて行った。
「さて、スライムをどうするかだ…」
シルエラは中央部にある噴水に手すりに腰掛ける。
プヨ〜ン、プヨ〜ン…プニュッ〜
シルエラが考えている途中、オレンジのスライム達はゴロゴロとくつろぎ始める。
このスライムを強くすることは、出来んか…
シルエラがそう考えていると、
「属性をつけるとかはどうでしょう?」
城から白髪のベリトが出て来た。
「属性…それはいい案だな!」
属性をつければ、様々な技が可能となる。
無力のスライムも魔法を使えるようになり、戦力として活躍させることができる!
「でしょう?しかし、属性をつけるためには、“魔石”が必要です」
魔石。属性を持った精霊の力が込められた石。
火・水・雷・風・地・光・闇と種類が様々。
この石を使うと、確率で属性がつくとか…なんとか言われている石である。
「魔石か…」
属性をつける。よし、これにしようか!
「ベリト!お前に魔石を集めてきて欲しいんだが、頼んでもいいだろうか?」
「ええ、シルエラ様の命なら喜んで」
馬に跨ったベリトを中心に、フォラスやシャックス。ナベリウスが城から出て行った。
「さて、次は」
城の防御体制を強化しなければならない。
特に城のエントランスが勇者達に、突破されやすい。
門番には強靭な門番兵アロケルが居るが、勇者達が来る度に束縛魔法にかけられ、動きを制限されている。
だからイライラしてるんだろうな。
シルエラはガープとバティンを呼び出した。
「なんでしょうか!シルエラ様」
「いきなり呼び出してすまない。お前達には、石を運んで欲しいんだ」
「石?どうして石を?」
ガープは不思議そうに顔を傾げる。
「ちょっと新しい魔物を作ろうと思ってな。石をここに集めて欲しいのだが、やってくれるか?」
「魔物作りですか奇遇ですね。俺も魔物作りに…!」
ガープははっとなり口を塞ぐ。
「ん?魔物作り?」
「いや、なんでもないですよ。了解です。運ぶのなら俺にお任せを」
ガープの言葉にバティンはん?となる。
「ガープさん、運べる能力あるんですか?」
「あるよ運べるよ。ペットだって」
ガープは後ろの赤い魔物を撫でながら、言う。
「…なんでこの前私に運ばせたんですか!自分で運べるのに!」
「あの時?ああ〜。あの時はめんどくさかったから君に任せただけの話だよ」
※詳しくは『まずは周辺から片付けて行きましょう』まで☆
「めんどくさかったからって…」
バティンはガープに呆れているようだった。
「ったく…早く集めましょう」
ガープ達は石を集めに城の外へと出て行った。
「魔物作り…あいつは何を企んでるんだ?」
ガープの放った謎の言葉。
シルエラはガープに対しての警戒心が強くなったのであった。
次回も見るのだぞ?




