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解剖異 〜自らを解剖した男の転生記〜  作者: HIRO


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第1話:狂人再誕

その日、私は死んだ。


だが、結論を言おう。

私、松岡禎丞は転生した。


死因は交通事故でもなければ病死でもない。

自ら死を選んだのだ。


大学の地下に封鎖された旧研究棟を根城とし、人体解剖学の最先端を走った男。

同時に、人類史上最悪の異端研究者でもあった。

私が追い求めたものは一つ。

魂。

それだけだった。


魂はなんだ。

それは脳か?

脊髄か?

神経か?

あるいは心臓か。

それは分からない。

だが、生き物は必ず死ぬ。


もし魂を証明出来たならば

肉体が朽ちた後も存在を保証する事ができる。

なんならこの世界を塗り替えてしまう程の発見だ。


私には幼い頃から夢があった。

その夢を叶える為には世界の根幹を揺るがす事ができる物が必須だった。


その為なら倫理委員会の警告。

研究室の閉鎖。

学会からの追放。

そんなものはどうでもよかった。


私は夢の為になら何でもした。

金持ちの女を口説きおとし研究費を払わせ

どうしても知りたい機密文書を見るために要人の妻を口説き情報を盗んだ。

そして、何度も何度も何度も仮説を立て実験をし検証をした。

そこで私は気づいた。


この世界に魂など無い。

という真実に。


だから私は最後の実験を行う事にした。

自らの神経を一つ一つ切断し、死の瞬間における魂の在処の特定。今際の際ならば魂の存在を認識できるという杜撰としか言いようがない仮説だ。

だけど、私にはもうこれしか無かった。


そして、私は実行した。

実験は完璧に進んだが、私は魂を認識する事も出来ずに死んだ。

少なくとも、そう思っていた。

死んだ後目を覚ますまでは。


視界に広がるのは見知らぬ天井。

いや、違う。

石だ。

淡く光る結晶が天井に埋め込まれ、暖かな橙色の光を放っている。

柔らかな感触。

温もり。

誰かに抱きかかえられている。

「あぅ……」

声が出ない。

いや、違う。

発声器官が未発達なのだ。

思考は明瞭。

だが身体が追いつかない。

私は反射的に己の肉体を確認した。

短い腕。

小さな指。

未熟な筋肉。

赤子だった。

「奥様、可愛らしい男の子ですよ?」

あり得ない。

あり得るはずがない。

だが理解できる。

私は死んだ。

それは確実だ。

ならば結論は一つ。

転生。


それが私、松岡禎丞が転生した全貌だ。

死んだはずの私が生を得た世界。

魔法が存在し、

剣が命を奪い、

神々すら実在していたと語られる異世界。

『オステラ』と呼ばれるその世界で。

私は再び、魂を追うことになる。

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