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ユニークスキル『創造』の力が予想以上に使えなかった件  作者: ぐりとぐらとぐふとぐへ
第三章 霊峰アンナプル
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依頼の詳細

新章開始。


今回は長期の冒険ミッションです。

『ドラゴンキラーを作成し、ドラゴンを討伐せよ。』


王女からの依頼の内容を見てデービッドは溜息を吐いた。

「…あの王女、俺を勇者か何かと勘違いしてねぇか?」

こんなミッション、オーウェン向けだ。


たまに王国の山…霊峰と呼ばれるアンナプルにドラゴンが出るのだが、この山は兎に角危険な山だ。


まず山の周りに何も無い。冬季だと辿り着くまでに時間が掛かる。

次に山に登るのが大変。標高が高く雪崩が頻発する山の斜面は危険極まりない。

最後に霊峰故に霊魂系のアンデッドが多くそちらに惑わされたら遭難して死ぬ。

ドラゴンは大体山頂にいるし、そこに行く事がまず大変なのだ。

更に厄介な事にドラゴンの大半は知性が高く、討伐隊を見つけたら雪崩を引き起こして退治するし、ドラゴン自体も強い。単独で強くないデービッドにとって鬼門と呼べる相手だ。


「オーウェンはソロで古代竜を討伐したみたいだが、あいつと俺とじゃレベル自体が違うからな。参考にならん。」


化かし合いなら勝てるかも知れないが、それでも厄介だろう。

相手が若いドラゴンである事を祈るしかないが…これまで王国に出現したドラゴンの大半が年老いたドラゴンだ。古代竜程強くはないが、その分知恵も回る。


「ドラゴンなんて平地ならでっけートカゲと変わりはしねぇんだが、山岳地帯だと厄介極まりねぇんだよな…」


ドラゴンは飛べるのであまり関係無いが飛べない人間だと地形との戦いにもなる。

動けない時を狙って上空から急襲されてはひとたまりもないし、自分がドラゴンなら手間がかからないのでそうする。

あまり頼りたくないが、妖精王国に依頼して腕っこきを何人か雇うか、ギルドに登録されている冒険者を雇うか。

どちらにせよドラゴン討伐と聞いたら冒険者は間違いなく尻込みする。

妖精たちだとドラゴンのような力のある存在を相手に戦いを挑みたがるような好事家は…デービッドの知る限り何人かだ。


「オーウェンとミッシェルに依頼してもいいんだが、あいつら雇うと経費がバカ高くなるんだよな…。

オベロンに泣きついてタム・リンなんぞが来た日にはミッシェルがタム・リンを殺しちまうし。」


タム・リン。妖精王国の騎士にして稀代のセクハラ野郎…いや。

タム・リンは一度妖精王国に訪れたミッシェルを無理矢理拐かそうとし、それはそれは大変な目に遭わされた。

ミッシェルのスキルは『再生』。そして生物にとって『再生』というものは薬でもあり最悪の毒でもある。

植物に肥料をやり過ぎると逆に枯れるように、ミッシェルはタム・リンを全力で『再生』した。

結果、タム・リンは文字通りに全身をズタズタにされたのだ。


ティターニアとオベロンがミッシェルを宥めたので事なきを得たが、タム・リンはミッシェルから

「次に私の視界に入ったら問答無用で殺す。」

と死の宣告を受けた。

のちに冗談めかしてタム・リンの話題をミッシェルに振ってみたのだが…

「早く私の前に現れないかしらねー。そしたら考えつく限りの拷問を加えた後、確実に息の根を止めてやるのに。」

と、ミッシェルは審問の用具の数々を見せ極上の笑顔で言ったのだ。


破壊神討伐の旅の途中、一度ゴブリンが村娘を攫い、知性の高いゴブリンメイジを捕らえた後にミッシェルが拷問を加え巣の場所を白状させたのだが…その手法など悍ましいの一言だった。

コウノトリで全身を動けなくし、その上に額に水を一定の間隔で落としていく。

時折聖母のように優しく微笑み、優しく「本当の巣の在処を教えて頂けたら解放しますわよ?」と言い…。

最初は挑発的な事を言って嘘を吐いていたゴブリンメイジだったが、「殺してやる」という勇ましい文句はすぐに「殺してくれ」と懇願に代わり、最後には泣き叫ぶ事しか出来なくなった。

だがその行動に出たらすぐに回復する。

自白するまでこの苦痛が延々と繰り返されると気付いたゴブリンメイジは巣の在処を白状するが、最初に言った嘘が仇となり話に整合性が取れない。

泣き叫びながら慈悲を乞うゴブリンメイジだが、ミッシェルは手心を加える事無くゴブリンメイジの言葉で少しでも整合性が取れない箇所があるとそれを尋問した。


ゴブリンメイジは自白後も巣の討伐まで牢屋にいたが、拷問で完全に気が狂ってしまったようで討伐後に解放しようと牢屋に行くと壁に頭を打ち付けて自害していた。

ミッシェル曰く「肉体的には何の損壊もないし、まだまだ全然優しいほう」だそうだが…あれ以上の拷問なんて見たくない。


あぁ、これタム・リンが視界に入ったら絶対にやる。間違いなくやる。確実に殺る。とオーウェンとデービッドは思い…

「死にたくなければミッシェルの半径1キロ以内に近寄るな。」

とタム・リンの身を案じ、心から警告をした。タム・リンはデービッド達がミッシェルに懸想しているものと勘違いし

「自由恋愛だ!」

の一言で切って捨てた。

別にミッシェルが望むのならば誰に抱かれようともそれはミッシェルの自由だ、としか思わない。が。

ミッシェルを無理に抱こうとし、挙句殺されたとあってはそれは自業自得だ。


二人がタム・リンに警告したのは、拷問を加えられたタム・リンがミッシェルに殺してもらえるまでの過程を見るのが嫌だっただけの話であり、それ以外の感情は無い。

タム・リンの言うように二人にミッシェルを懸想する感情があれば、後でティターニアを敵に回そうが妖精王国を敵に回そうが関係なくタム・リンはこの世からいなくなっていたであろうから。


男の一人として胸糞の悪い話の多いタム・リンだが、一応はそれなりに強い。

オーウェンやミッシェルクラスとは言えないが、ソルより強い。

ただ物理攻撃と精神系の魔法に特化しているので、そのどちらにも耐性のあるドラゴンにはほぼ無力。

流石に来る事は無いだろうが、来てもらったら来てもらったで悩みの種となる。

オベロンもティターニアもミッシェルの件については重々承知だろうし、ティターニアに至っては

「ミッシェルがタム・リンを殺したとしても文句は絶対に言わない。」

と書面付きで誓わされている。

それでもミッシェルを諦めていないのがタム・リンのタム・リンたる所以だが…。


「はぁ…。今回も赤字かぁ…」


またもや長期ミッション。しかも今回は山登りのおまけつき。

オーウェン達の人件費は後に王宮に請求出来るが、自分達の生活はそうはいかない。


割に合った話じゃねぇな、クソッタレ。


そう思いながら、デービッドはオーウェン、ミッシェル、オベロンに連絡をしたのであった。


返事は…皆参加という事だったが、オベロンは長期ミッションに参加すると公務が滞る為、ドラゴン討伐の出征時から力を貸す。とのことだった。その間は代理を送ると言っていたが…


「タム・リン送りやがったら、タム・リンの命の保証は無いからな?」

『……。』


あぁ、やっぱ代理でこいつが来るのか。

デービッドは天を仰ぎ、オベロンとの通信を切ったのであった。


歩く生殖器ことタム・リン先生を登場させましたが…彼が途中退場しない事を心から祈ります。

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