おまけ 松下さんは奇跡
「松下さんは未来からの転生者だよね。やっぱり転生者って珍しいの? 僕、松下さん以外に『私転生者です』って人に会ったこと無いんだけど。」
「転生自体は珍しくない...というかほぼ100%。あなたもきっと転生者だよ。でも私みたいに前世の記憶を持つ人は珍しいの。」
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「前に、肉体が滅ぶと魂が抜け出して次元のない世界に戻る、って話したでしょ?
あれは全生物共通なの。
さて前田くん、問題です。この地球上に生物はどのくらいいるでしょう?」
「え? 生物? えー、どんだけいるんだろ? 兆? 京? 垓?」
「たぶんそれこそ『無量大数』みたいな数になると思う。
それがこの宇宙、ううん、あらゆる次元のあらゆる世界となれば、それこそ無限。すごい無限。
その一つ一つに魂があるの。
魂は『容れ物』に命の火を灯す着火剤みたいなものだから。
それが次元の無い世界と行き来してるの。
次元の無い世界は、あらゆる世界、場所、時間と接しているから、魂は凄い0秒で古い肉体から新しい肉体に入るの。」
「なんかすごく壮大な話だね。
...でもみんな転生してるなら、ほとんどの人に前世の記憶が無いのはなんで?」
「魂自体にメモリ機能はないからね。記憶が引き継げるかは、来世の生命体の脳次第。
例えば、前田くんが来世でビフィズス菌だったら、記憶は引き継げないと思わない?」
「えぇ...もっと希望のある例にして欲しかったなぁ。
でも、確かにビフィズス菌では覚えておくのは無理そう。」
「そして転生先はランダムに決まるの。
そうなると、知的生命体から知的生命体への転生自体がもう天文学的確率なの。」
「へー。
...てことは、松下さんって、結構凄い?」
「凄いなんてものじゃないよ。
知的生命体同士の転生ですら奇跡的なのに、前田くんと同じ次元の、同じ宇宙の、同じ星の、ほぼ同じ時代の直系親族が転生してくるんだよ。
それこそ、確率だけで考えたら、この宇宙史上初くらいの快挙じゃないかな?」
「えええぇ!! そんなに凄いことなの!?」
「そうだよぉ。
だから大事にしてね。丁寧に扱うこと。ほほほ。」
「調子に乗ってる。ははは。
...にしても、確率の問題だけではない、何らかの意思すら感じるね。」
「そうだね! 実は私もそう思っているの!
『あの悲劇』を止めたいという私の強い意志が、数理理論? 宇宙の真理? そういうのすら覆したんだ、って!!
あの『汚物に沈むま』」「や、め、て!!」「はい。」
やれやれ。経験してもいないトラウマを抉られるところだった。
それにしても、松下さんはそんな奇跡の人だったんだ。
なんか運命を感じてしまうなあ。ドキドキ。
「前田くんも強い意思を持てば、ウェルシュ菌くらいにはランクアップできるかもよ。」
......微妙だね。
というかそれならビフィズス菌のほうが良いです。
おしまい。




