第27話 堕天使
まず最初に、ルーナが俺とクロエに対して守護を使ってくれる。
(こんな使い方もあるのか!!)
今までの守護は、敵からの攻撃を防いでくれる使い方をしていたが、今回は俺とルーナの身にまとうようにしてくれた。
そして、俺とクロエがアイコンタクトをして、攻撃を仕掛ける。悪魔に向かってクロエが攻撃を仕掛けるが、軽く受け流して反撃を仕掛けてくる。
(!!)
俺は悪魔の攻撃を奥義を使い、受け流しつつクロエと一緒に距離を取る。
「ごめん」
「いや、俺が見誤っていた」
そう、これに関してはクロエが悪いわけじゃない。俺もクロエの攻撃で悪魔は怯むと思っていたし、クロエも同様だと考えていたはずだ。だけど、思っていた以上に悪魔が強かった。それだけのこと。
「ルーナ、少し時間を稼いでほしい」
「わかった」
すると、ルーナが俺とクロエの周りに完全守護を貼ってくれて、悪魔の攻撃を防ぐ。
「クロエ、考えを変えよう。俺が時間を稼いで、トドメはクロエが刺すんだ」
「え? でもそれだと確実性が......」
「大丈夫。俺はクロエを信じるよ」
「......」
重荷に感じてしまうかもしれない。でも、ルーナやクロエが居たらもっと楽にことが運べたと思うシーンも多かった。だからこそ、俺もルーナやクロエのことを心の底から信じられる。
「じゃあ、行くよ」
「うん」
そして、ルーナが完全守護を解除したのと同時に、魔剣に風切を複合させて攻撃を仕掛けた。すると、悪魔が一旦距離を取ろうとしたが、剣の周りに風が覆っており、骨に少しヒビが入る。
そして、もう一発攻撃を仕掛けようとしたが、悪魔も避けることを辞めて、槍で向かい撃ってきた。
(今だ!!)
「クロエ!!」
「わかってる!」
魔剣と槍がぶつかり合った瞬間、お互いが怯む。その一瞬の隙をクロエは見逃さず、悪魔の片腕を斬り落とした。
そして怯んでいる悪魔にとどめを刺そうとした時、奥の方から一瞬だけ禍々しい殺気を感じて、クロエを抱き抱えて距離を取る。
「どうしたの?」
「あれは......。やばい」
「え?」
俺とクロエが悪魔の方を向いていると、いきなり建物に衝撃が走った。
(は?)
先程まであった建物が一部半壊して、俺たちの目の前に黒い翼をもった天使が現れた。
「あら、こんなところに人間がいるなんて珍しいわね」
「......」
(あれは、やばい......)
多分、先程少し感じた殺気のもこの人からだと思う。こんな感覚、魔界に行ってリーフを殺した時に出会った魔族と同じ感じだ。
(今の俺たちじゃ勝てない)
でも、どうする? 逃げるか? 今目の前にいる相手に対してできるはずがない。絶対に誰かが死ぬ。そう考えている時、
「そっちにいるのが狐人族で、奥にいるのがエルフね。ふ~ん。あの人が言っていたこともあながち間違っていないのかも」
「......。あなたは誰ですか?」
力を振り絞って質問をする。時間を稼げれば、もしかしたらミカエルさんが援護に来てくれる可能性もある。
「あ~。私はルシファーよ」
「ルシファーって......」
「あら、知っているのね。嬉しいわ」
「......」
堕天使ルシファー。四大天使と同じぐらい有名な天使。いや、堕天使。
「でも残念ね。今回言われたことは、人族を殺すことだから」
そう言って、瞬時に俺の目の前に移動してきて、攻撃を仕掛けてくるが、それをギリギリのところで回避する。すると、驚いた表情でこちらを見てくる。
「今の攻撃を避けるのね。流石は英雄」
「なんなんですか、英雄って。俺は......」
「そんなの知らなくていいわ。あなたはここで死ぬのだから」
話を終えると、俺に向かって攻撃を何度も仕掛けてくるが、ルーナが守護盾で守ってくれる。
「は~。面倒くさいけど、しょうがないわね」
すると、ルシファーが先程倒し損ねた悪魔に何かをして、みるみるうちに損傷していた傷が癒えて行っていた。
「クロエ。ミカエル様を呼んできてくれないか?」
「え? でも」
「わかっている。だけど、それしかない」
そう、もうこれしか方法が無い。先程までは防ぐことに徹して、ルシファーの攻撃をうまくかわしていたが、悪魔まで復活した今、それができるとは限らない。なら、少しでも可能性があるミカエル様を呼んできてもらうのが最善だ。
「それは、ルーナにやってもらいましょう」
「でもそれだと!!」
接近戦で戦うクロエが危険にさらされる。接近戦で一番最初に狙われるのは、弱い方だ。それは、戦闘に対しての基礎。だからこそ、クロエが残ると......。そう考えると、頭の中で最悪の事態がよぎる。
「いいから。私が残るわ」
クロエがそう言った時、俺たちの後ろから突風が舞い込んできた。そして、そこにはミカエル様が居て
「遅れてごめん」
「「「え、なんでここに?」」」
「悪魔が来たってことは、ルシファーがいるって予想が付くからね」
そう言いながら、ルシファーの方を見ると
「ミカエルーー」
ルシファーは、ミカエル様に向かって睨みつけながら怒鳴って来た。




