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大魔導士「ベギ〇ゴンって何属性ですか?」  作者: 藤原キリオ
サタデーナイト編
14/57

14:街への道中



 旅立ちの日が来た。俺たちは村の北門に集まっている。

 村に来ていた行商人には何か月も前から話を通しており、その馬車に乗せてもらうことになっているのだ。

 馬車の護衛は、元々行商人のおじさんが雇っていた冒険者。

 オレたち四人は、完全に荷物扱いである。



「じゃあそろそろいきますよ、皆さん」


「「「「はい!」」」」



 行商人のウェスさんに声をかけられたので、大きな荷物を手に馬車へと向かった。



「アレク!がんばれよ!」

「手紙よこしなさい!」

「クローディアああああ!!!クローディアああああ!!!」

「うふふ。元気でねぇ~」

「がははは!ビーツ!死ぬんじゃねえぞ!」

「はっはっは!立派にやりな!」

「デューク!みんなを頼んだぞ!」

「時々は無事を知らせてね?」



 それぞれの家族が言葉をかける。

 クロの親父さんが号泣している。こんな人だったのか?

 チッタおばばや、モンスターじいさんも顔もある。どっちも寂しそうな晴れやかな顔だ。



「「「「いってきまーす!」」」」



 オレたちは馬車に乗り込み、静かに馬車は動き出した。

 村のみんなが見えなくなるまで、手を振り、大声を出し続けた。

 ありったけの感謝を込めて。



……

………



「いやぁいい村だったなー」

「過去形にしないでよ、いつか戻ってくるわよ!」

「そうだな。ん?ビーツ、泣くんじゃないよ」

「な、泣いてないですよ!」

「いやいや、気持ちは分かるって。別に恥ずかしくねーだろ」



 護衛の冒険者は馬車を囲むようにして、徒歩で進む。

 当然、馬車はそれに合わせて進むので、ゆっくりとしたスピードだ。

 次の街までは二日。明後日の昼前には着くらしい。



「次の街には冒険者ギルドがあるんだろ?そこで登録だよな?」

「あぁ。『サタデーナイト』は、王国四大都市の一つだしな。まぁ街なのに都市ってのも変な話だが」

「……ちょっと待て」

「ん?どうした?」

「次の街って『サタデーナイト』って言うの!?」

「「「えっ?知らないの?」」」



 マジか!パーリーピーポーの次はサタデーナイトかよ!この世界に土曜日なんて概念ねえよ!

 どんだけファンキー推しだ!



「いや、アレク。十年も地理を勉強しないとか、こっちがビックリよ」

「せめて隣街くらい……ですよね」

「アレク、一応聞くが、国の名前は分かるよな?」

「……サレムキングダム王国だろ?」



 これだっておかしいだろう?キングダムと王国がかぶってんじゃん!

 当時、突っ込んだんだぞ?『サレム王国じゃないのか?』って!



「じゃあ王都は?」

「……王都サレムキングダムじゃないの?」

「「「はぁ……」」」

「い、いや、ため息はよしてくれよ」


「このままだと後で確実に騒ぐから、今のうちに言うけどな……『王都シェケナベイベー』だ」

「ブーッ!」



 吹いたし、笑った。そして、この国の行く末が心配になった。

 馬車の後方に位置した冒険者の先輩が、何がおきた?って顔してる。

 会話内容まで聞かれていないようで安心した。



「はぁ……はぁ……腹痛い……」

「まぁそうなるな。王都でそんな反応したら困るから、今のうちに言ったんだ」

「お、お前ら、よく無反応できるな」

「アレクのそれは、俺が七年前に通った道だ」

「私は五年前」

「僕は六年前ですね」

「マジかよ、怖いわ、この世界。とんだトラップだ……」



 逆に他の街とか、国の名前が気になってきた。



「そのうちディスコとか出てきそうだな……」

「あぁ『港町ファンタスディスコ』ってのがあるぞ?」

「僕、行きたいんですよね。ファンタスディスコ。海の魔物を見たいんです!」

「……あ、そう」



 なんか、もうどうでも良くなった。負けたよ。



 その後も馬車は進む。

 見晴らしのいい街道添いに進んでいる為、魔物に襲われることもない。

 それでも鳥系のモンスターが空から来たり、ちょっとした林から出てくることもあるらしい為、冒険者の人たちは警戒を怠っていなかった。



 この『白銀の盾』という五人パーティー、ランクは銀級らしいが、同じ銀級だった『森林の聖風』の面々よりしっかりしているように感じる。

 パーティーリーダーの回復術士は銀級冒険者。銀級三人と銅級二人で、銀級が過半数を超えるので銀級パーティー。そういうものらしい。

 野営の際に、いろいろ教えてもらえた。いや、『森林の聖風』が来た時は戦闘技術とかばかりだったからね。

 ちなみに六年前に銀級だった『森林の聖風』は、四年前に金級、去年はミスリル級に上がっていた。ミスリル級とかちょっとした英雄クラスらしいんだけど、

あの人たちで大丈夫なのだろうか……ふざけてた印象が強いから不安になる。



「君たちは後輩になるんだろ?ならば助言するのが先輩の役目さ」



 なんとも出来た人たちである。

 サルーノさん(森林の聖風の狩人)とかも見習って欲しい。

 あの人、すごいんだけど、基本おちゃらけてるしな。



……

………



 夜、そろそろ寝るぞという時間になって『白銀の盾』の人たちに話しかけた。



「最初の番だけでいいので、オレたちに夜警させてもらえませんか?」

「えっ?お前たちだけでか!?」

「はい。冒険者になる前に勉強がてら。もちろん、敵襲があればすぐに呼びます」

「うーん。本当はダメなんだが……」

「「「「お願いします!」」」」

「……じゃあ、少しの間、任せよう」

「本気ですか!?リーダー!」



 剣士の人がリーダーに驚く。

 そりゃそうだろう。これで襲われでもしたら、『白銀の盾』が護衛失敗になってしまう。



「ここいらで夜に襲われたことはないし、これまでの道のりでも魔物はいなかった。ならば経験を積むのに良い機会とも言える。ただし、緊急事態には絶対に私たちをすぐ呼ぶ事。これは約束だ。いいな?」


「「「「はい!ありがとうございます!」」」」



 こうして、オレたちだけの夜警が始まった。

 寝床から少し林寄りのところにたき火をし、そこに座る。



「ごめんね、みんな」

「気にするな。あまり時間かけられないから、さっさと行ってこい」

「うん。じゃあ行ってくるね」



 そう言って、ビーツは林の中に向かっていった。



「……一応聞くけど、大丈夫なのよね?ビーツ」

「大丈夫だよ。心配いらない」

「あれから増えてるのか?オレたち知ってるの『三大妖』くらいだけど」



 『三大妖』って言うのはビーツの従魔で、シャドウ・パイソンの『オロチ』、ルビー・フォックスの『タマモ』、オーガ・リーダーの『シュテン』の三体だ。

 ちなみに日本三大悪妖怪は所説あるが、酒呑童子・玉藻前・崇徳上皇で、八岐大蛇は入っていない。これ豆知識な。

 最初の三匹が蛇・狐・鬼だったから、そう名付けたらしい。ビーツもなかなか中二心を持っている。



「ああ。と言っても俺も途中までしか知らないけどな。まぁ紹介されるのを楽しみにしておこうぜ?」

「そうだな。さすがにここで出すわけにいかないだろうし」



 何匹も召喚するのなんて目立つからな。

 オレたちは個人での修行の成果を「冒険者になってのお楽しみ」と言って、ある程度は明かさずにいる。

 オレも再現魔法とかあるし。クロもデュークも、何かしらあるっぽい。

 命を懸けてるのに慢心かもしれない。秘密なんていけないのかもしれない。

 でも、オレたちは楽しもうとしている。この世界を。これからの冒険を。



「とりあえず夜警はしっかりやろうぜ?」

「そうだね!これも訓練だし!」

「もうお喋りはやめだな」



 こうして村から出て、初めての夜を迎えたのだった。



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