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大魔導士「ベギ〇ゴンって何属性ですか?」  作者: 藤原キリオ
パーリーピーポー編
12/57

12:デュークとビーツの場合



…side:D



「ただいま、父さん、母さん」

「おかえり、デューク。随分と遅かったわね。みんなと遊ぶの楽しかった?」

「おかえり。今日はご苦労だったな」

「うん、楽しかったよ。父さん、お手伝い出来なくてごめんね」

「今日くらいはいいさ。『神託の儀』はちょっとしたお祭りみたいなもんだからな」



 俺は毎日、神官である父さんの仕事を手伝っている。

 これは治療や光魔法の修行でもあるし、教会としての知識を学ぶためだ。

 まぁ三歳からやってるから『神童』とか言われてしまったわけだが……。



 夕食を食べながら、今日のことを家族で話す。

 『神託の儀』の内容。四人で話し合った事。そして、将来は冒険者になりたいという事。



「最終的には教会に所属するかもしれない。でも、まずは見聞を広げたいんだ」

「私としては危険な目に合わせたくないんだけど……」



 母さんが少し沈んだ表情を見せる。



「私だって同じだ。出来れば神官として育って欲しい。でも、村の神官で修まる器ではないとも思っている。今日の神託でもあったがな」

「『救う者、守る者。それは多く、境を越える。道は幾百、幾千ともなり、心と体を要するだろう。』……か」

「俺の道はまだ分からないよ。でも旅で国境を越えて、その過程で『救う』んじゃないかと」

「そうだな。私もそう思う」



 両親は前世の俺よりも年下だ。だから俺も子供らしく出来なかったんだと思う。

 それでも今は、育ててくれた感謝の想いしかない。

 それだけの愛情を注いでくれたと、そう感じていた。



「嬉しい日なのに、寂しくなるわねぇ……。すぐに旅立つわけじゃないんでしょ、デューク?」

「うん、たぶん五年後だと思う」

「そうか。じゃあそれまでは光魔法と治療の勉強かな?」


「あ、それだけじゃなくて、盾も勉強しないと……」

「「盾?」」

「うん、回復術士としてだけじゃなく、盾戦士にもなってくれってさ」

「「はあっ!?」」



 俺と同じリアクションだな。やっぱ親子だ。



 散々話した後で、俺は部屋に戻った。寝る前にチッタさんから借りた本を読む。

 俺は前世では読書ばかりしていた。ゲームも趣味ではあったが、小説やライトノベル、漫画も好きだった。完全なインドア派だ。

 中でもファンタジー物が好きだったせいで、実際に転生した時は驚いたものだ。


 

 そして、転生した今となっても趣味は読書。

 この世界の知識をなるべく知りたいってのもある。知識は力だし。

 でも本当にしたい事は、この世界の英雄譚・伝説を集めることだ。



 なんせ、ファンタジーであるこの世界では、その伝説がノンフィクションなのだから。

 たとえドラゴンや神を、剣や魔法で倒したとかいう眉唾物でも、おそらく事実なのだ。

 それらを集め、出来れば実際に体感し、さらに言えば俺自身が英雄譚の著者となりたい。



 実際に英雄となるのはビーツやアレクにお任せしよう。

 クローディアは英雄っぽくないけどな。俺ももちろんモブの一人だ。



 さて、明日からはこれまで以上に忙しくなりそうだ。

 明日はさっそくクローディアの父親であるマテウスさんに盾の事を聞いてみよう。

 そんな事を考えながら、眠りについた。



…side:B



「ほっほっほ!やはりワシの目に狂いはなかった!のぉ、ビーツよ!」



 『神託の儀』から一夜明けて、僕はいつものように博士の家を訪ねたんだけど、博士はかなり上機嫌だった。



「あれはまさにビーツの将来を指しておる!そう思うじゃろ?」

「い、いや、分からないですけど、でも、あの後みんなで話して、五年後に冒険者として世界を巡ろうって話に――」

「なんと!行幸!行幸じゃ、それは!しかしそうとなると、あと五年で準備せねばならぬな!よし、そうと決まれば……」



 相変わらずせっかちと言うか、突っ走るというか……。

 かなり高齢のはずなんだけど、どこからこのパワーが出るのか分からない。



 きっかけは、この世界に転生し、ここがファンタジー世界だと分かってからだった。

 ここにはモンスターが居る。それが現実だと分かると、恐怖を感じるよりも嬉しくなった。

 ゴブリンは、ドラゴンはいるのか?スライムは滴型?粘液型?強いの?弱いの?

 そう考えるとテンションが上がる。



 喋ることが出来た頃から、両親に質問していた。主にモンスターについて。

 今にして思えば、なんと気味の悪い子供だろう。

 しかし、この世界の両親は良くも悪くも豪快だった。



「がははは!なんだビーツ!魔物に興味があるのか!面白いな!」

「ははは!あんた、今後ビーツ連れて森に行ってやったらどうだい?」

「おう!仕事の邪魔になんなきゃいいぞ!ついでに木の切り方も教えてやる!」



 完全に幼児だったけど、それから僕はお父さんに連れられて森に入ることが多くなった。

 狩人の人たちが見回っているから、基本的にモンスターは出ないんだけど、それでも時々遭遇するフォレスト・ウルフやゴブリンは、お父さんが斧で仕留めていた。

 普通に強いんだと思う。うちのお父さん。僕を守りながら瞬殺だったし。



 そんなある日、僕は一匹のモンスターに出会った。

 黒と緑の小さな蛇。おそらく産まれたてなのだろう。



「おっ?シャドウ・スネークの……幼体か?初めて見たな」



 お父さんがそうつぶやく。

 その蛇は僕が落としたお昼ごはんの肉(うちは肉料理が非常に多い)に食らいつき、食べ終わると僕の足にすり寄ってきた。

 怖くはない。お父さんも相手しないのを見ると、危険ではないのだろう。

 今にして思えば噛まれる危険もあったと思うが、お父さんなら「がはは!これも経験だ!」とか言いそうだ。

 で、すっかり懐いた蛇は、僕の影にシュルンと入っていった。



「お、お父さん!かげにはいったよ!?」

「みたいだな!がははは!こんなの初めてみたぜ!」

「ど、どうすればいいの?」

「わからん!モンスターじいさんのとこ行って、聞いてみろ!がははは!」

「モ、モンスターじいさんって……?」



 それから僕はモンスターじいさんこと、シュタインズさんの家に行った。

 そこで従魔とは何か、召喚とは何かを知ることとなる。



「ワシはモンスターじいさんと呼ばれておる。ここに召喚石があるじゃろ?」



 とか言ってたので、僕は博士と呼ぶことにした。見た目は全然違うけどポ〇モン博士って感じだし。

 博士曰く、僕は召喚士としての才能があるかもしれないと。

 だから弟子として、博士が持っているモンスターの知識や召喚の技術を託すと言ってくれた。



「召喚士と言えば鞭じゃろう。剣のやつも、杖のやつもいるが邪道じゃな」



 との事で、鞭も習い始める。

 それからしばらくして、二体目、三体目の従魔を連れてきた時には、大そう喜んでいた。

 自覚はなかったが、すごいことをしているらしい。


 

 僕の毎日はモンスターの事ばかりだった。

 お父さんと森に入り、博士の家で勉強し、鞭の稽古、実戦、時に従魔を増やす。

 勉強の時は、本を読みに来ていたデュークくんと話したりも出来た。この子は前世で大人だった僕よりもしっかりしている。すごい子だ。

 まぁ、のちに前世では僕よりも年上だったって分かるんだけど。



「ワシは世界中のモンスターを知っとるわけではない。だからビーツよ、お前に書きかけの『モンスター図鑑』を託そう。ワシに変わり、世界を巡り、図鑑を完成させてくれ」



 思わず吹き出しそうになったが、これは渡りに船だと思った。



 元々、ゲームなどでは『モンスターリスト』を埋めることを『クリア』としていた。

 ラスボスを撃破しても、それはクリアとは言わない。でも、徹底的にやり込むと積みゲーが増える。

 だから僕の基準はモンスターありきだった。

 

 

 この世界には、そのモンスターがいる。見知らぬモンスターだらけだ。

 だからこそ会いたい。

 できれば従魔にしたい。

 そして出来るなら、この手で『モンスター図鑑』を……そんな夢を見ている。


 

 あと五年で旅に出る。

 それまでになんとかこの森を――



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