§75 何かごそごそ出てきたぞ
大穴の中の地面が斜めになっている。
左側が高く右側へと低くなっていくそこそこ急な斜面だ。
更に中央部にあった空洞の一部が開けて見えている。
ただ土埃が酷い。
「服に入り込んだ土がざらざらするのだ。風呂に入りたいのだ」
アン先輩がそんな事を言う。
「私も同じだよ」
さっき穴の中に落ちたラインマインも確かに土まみれ。
「どうする。寮に戻って水風呂でも浴びておくか」
寮の浴場は大浴場と違って水しか出ないけれど。
「うーん、でもどうせ汚れるのは同じだしね」
「まあそうなのだ」
「あとメル、このまま調べることに対して危険は」
「今のところ感じない。ただ土がふかふかだから足が汚れる」
それは魔法を使わなくてもわかるな。
少し待ったら土埃が大分ましになった。
「どうせ汚れているから同じなのだ」
アン先輩とラインマインは現場に突入。
このまま調査開始するつもりのようだ。
まあそれでいいか。
特にあの元空洞部分辺り、何か落ちていそうな感じもするし。
「なら俺も調べてみるか」
「そうですわね。どうせ汚れるなら今日中にですわ」
そんな感じで調査再開。
今度はあの空洞付近を全員集中的に捜索する。
「あ、何だろこれは」
早速ラインマインが何かを発見したようだ。
「あとで皆で確認するのだ。取り敢えずは調べまくれるだけ調べまくるのだ」
掘り返したせいだろうか。
俺も早速何かを発見する。
これは魔法杖か何かかな。
わからないけれど取り敢えず紙袋に入れておく。
土まみれなので直接ザックに入れるのは憚られるから。
単なる棒みたいなものも一応紙袋へ。
そして、
「何か大物。私一人では無理」
メルが何かを発見した模様だ。
どれどれと全員で寄って集って掘り起こす。
お、これは俺の知っている物だ。
自転車、それもマウンテンバイクだ。
前後にサスペンションがついているダウンヒル用のかなり高価そうなもの。
かなりボロボロだけれど直せると面白いな。
「これは乗り物です。俺の前の世界に同じ物がありました。原理と構造は簡単ですけれど直せれば面白いですよ」
ただゴムとかは材料が無いから直しても単品オンリーになってしまうけれど。
それともヘラの実家に尋ねたら似たような何かを取り寄せられるかな。
「これは乗り物にしては細いのだ。何か他に部品があるのか」
「これで全体です。後で土を洗って直してみましょう」
俺的にはテンションがかなり上がる。
何せこの国、木製車輪の馬車が走れるように主要街道は採石で綺麗に舗装済み。
坂も同様の理由でゆるめに造られている。
つまり自転車に最適な訳だ。
これさえあれば俺でもカイドーくらいまでは自力で行けるぞ。
同じ場所に工具セットも落ちていたのですかさずゲット。
「それは何なのだ」
「この自転車を整備するための工具です」
この自転車の持ち主の工具だろうか。
有り難くいただくことにする。
更に何か無いか周囲を捜索。
「こっちに何か大物があるよ」
今度はラインマインだ。




