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進学先は異世界でした ~俺の異世界学園生活記  作者: 於田縫紀
#10 魔法の街シルダ(2)

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§54 気づかなかった事にした

 注意して女性服のデザインを見てみる。

 ブレーザー制服風、セーラー服、白衣、警察制服風、看護服……

 よく見ると白衣も含めて全部が制服系だ。

 嫌な想像が浮かぶ。

 そのイズモ氏、日本の制服マニアとかフェチとかじゃないよな。


 俺は残念ながらそういう趣味は無いので詳しくわからない。

 でもよく見るとブレザー制服風やセーラー服にも色々違いがある。

 まるで実在の制服を真似しているみたいに……

 ああ、考えるのはやめておこう。

 頭痛が痛いとか病院来いとかの世界になりそうだ。


「どうしたんだ、頭を抱えて」

 アルが心配そうに尋ねる。


「いや、俺がいた世界の恥部を見るような気分だ」

 なんて言えるわけ無いだろう!

 女性陣はそんな事を知らずに喜々として服を選んでいるしさ。


 まあこういう方向性もきっと社会貢献なんだ。

 いいじゃないかという事で強引に自分を納得させる。

 そう、確かにこの年頃の女の子を対象にした服だ。

 別に着ていてもおかしくない筈だ。

 たとえ持ち込んだのが怪しい人でも……


「ちょっと他の世界に知識を伝える事の意義について、色々考えたくなっただけだ」

 そうアルに返事をしておいた。

 アルには意味がわからないようだがそれでいい。

 世の中知らない方がいい事も確かにあるのだ。

 俺はそう思う。


 そして女性陣は半刻以上すったもんだの末、ブレザー制服風の上下を購入。

 紺ブレザーに赤系の色が入ったチェックのスカート、赤いリボン。

 それって何処の制服だ。

 俺は知らないしこの世界で知る人がいるとは思えないけれど。

 そんな訳で服のサイズを測り、作って貰う時間で他の店もふらふら。


「これはちょっと際どいデザインだよね」

 服は服でも革製ボンデージ風の専門店があった。

『巨匠イズモ氏が異世界から持ってきた最先端デザイン』とある。

 うん、彼のことは見なかったし聞かなかった事にしよう。

 彼は間違いなく危ない趣味のようだから。

 俺はそう決意した。


 ◇◇◇


 その後昨日とは違う店でお昼御飯。

 丼ものもあったけれど、これもイズモ氏の手が加わっていないよな。

 どう見ても親子丼にしか見えないメニューがあったけれど。

 取り敢えず俺は焼肉定食っぽいものを選択。


 そしてデザートはクレープとクリームを何枚も重ねたもの。

 厚さというか高さが五指くらいで更に中にフルーツが入っている。

 これはケーキで言うとホールサイズ。

 全員で切って分けて食べる。


「シルダはデザートが美味しいね」

「落ちてきた人の文化が色々入っている」

「魔法都市って聞いていたけれど、魔法に限らず色々あるんだな」


 確かに。

 魔法以外にも色々落ちてきた人の文化が入っている感じだ。

 制服やボンデージは勘弁して欲しかったけれど。


「ところで午後はどうする?」

「また二手に分かれましょうか」

 ヘラがそう提案。


「アルやホクト、アン先輩は図書館が気になるようですので。別れて行動しても問題無いですよね」

「アン先輩がいれば大丈夫」

 メルがそう言うなら大丈夫なんだろう。

 何せあちこち回れる時間は今日の午後と明日しか無い。

 そんな訳で午後は別行動となった。

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