§43 サカイの街で
何とか無事にサカイに到着。
ここサカイの街はそれほど大きくはない。
河川港の他は宿屋数軒と食堂兼弁当屋数件。
あとは地元の住民を相手にした日用品店や食料品店くらいだ。
元々大街道が通っていることと河川港がある事以外は普通の集落なのだ。
川も橋がかかっているから足止めを食らうことも無い。
だから宿場町という程の発展はしなかった模様だ。
強いて言えば醤油の醸造元がいくつかあるのが特徴だろうか。
とりあえず港の休憩所まで辿り着いて一息つく。
例の飲料と工程食のクラッカーを食べてやっと落ち着いた。
「帰りもまた歩くかと思うとぞっとするな」
かなり復活したアルがそんな事を言う。
「帰りは涼しい時間帯だから大丈夫、だと思う」
メルの少し冷静な意見。
「今日も雨が降らなかっただけ幸いなのだ」
これはアン先輩の意見。
言われてみるとその通りだ。
この季節は時々激しい通り雨に見舞われる。
それに行程中あわないで済んだのは確かに幸運だったかもしれない。
「取り敢えず夕食のお弁当を買っておくね」
「私も付き合うのだ」
十二離歩く位なんともないらしい強靱種二人がお弁当の買い出しに行った。
他は取り敢えず休憩だ。
「ラインマイン家のこの飲み物、確かに疲れが取れる気がするよな」
俺もいただきつつそう思う。
この甘さが疲れた身体に浸みるのだ。
「僕もそう思う。何かそういう成分も入っているのかもしれないな」
なおメルは濡らした手ぬぐいを顔に乗っけて椅子に横になっている。
相当暑さが堪えている模様だ。
「まあここまで来ればあとは楽ですわ。船に乗っていれば着きますから」
ヘラがやはり濡らした手ぬぐいで汗を拭っている。
服に思い切り胸のポッチが見えているが、俺も大分そういったのに慣れてきた。
郷に入れば郷に従えという奴だ。
「お弁当買ってきたよ」
「種類色々だから船中で皆で分けて食べるのだ」
強靱種二人が戻って来た
この二人は暑かろうと少々歩こうと元気だ。
何せ身体の出来が違う。
ゴーン、ゴーン……
十四の鐘が鳴った。
「来た」
メルがふらっと身を起こす。
「乗客受け入れ開始。荷物を持って移動」
「メル、大丈夫か」
「問題無い。取り敢えず休んだ」
そんな訳でそれぞれザックを持って移動開始。
なおラインマインは人一倍大きいザックに弁当入り風呂敷を抱えている。
まあ身体の出来が違うので問題は無いのだけれど何か申し訳無い。
メルは桟橋を歩いて行って一番奥かつ沖側に停泊している船の前で止まった。
「この船?」
一見他の船と同じ、規格型の大壱船に見える。
ちなみに大壱船なら長さ二十椀、幅五椀。
この辺の川船のサイズは国の規格で決まっている。
大壱船はその中でも最大サイズ。
でも向こうの世界の船と比べると大分小さい。
「そう」
メルがそう言って、そのまま渡り板を通って甲板へ。
その後にアル、アン先輩、ヘラ、ラインマイン、俺と続く。
甲板から下りる感じで船室へ。
船室は天井こそ低いが結構広い。
長さ十腕幅四腕くらいだろうか。
床はちょっとクッションが効いた厚めのクッション敷き。
船室の後側は荷物で埋まっている。
そして前側には既に船客が十数名いた。
おそらくカイドーから乗ってきたのだろう。
船客のいない荷物側の隅に荷物を下ろして陣取る。
「改札とかそう言うのは無いのかしら」
「もう済んだ。通信魔法方式」
ヘラの質問にメルが簡潔に答えた。
「なるほど、便利だな」
「シルダ行きだからその辺は厳格」
ふっと加速感がした。
予定より早いが出港のようだ。
「ここからの乗客は私達だけ。荷物も無し。だから出港した」
そういう事か。




