§178 一日目は無事終了?
しかし釣り人には天国だよな、この島。
午後の成果は午前中程大きさは揃っていないけれど種類は色々。
僅か半刻足らずで十二匹。
小さいのとかフグとかは逃がした上でのこのスコアだ。
ただ俺も捌き方がちょっとわからない魚もいる。
ブダイとかハタとかは普通の捌き方でいいのだろうけれど、このヒゲのある赤いのは何か骨格が違うような。
マゴチと同じように見える魚に至ってはどうすればいいのかわからない。
その辺は流石に経験不足だ。
まあ、
「任せろなのだ。工作魔法のつもりで内部解析をしながら解体するまでなのだ」
とアン先輩が自信たっぷりなので任せておればいいのだろうけれど。
そんな訳であの砂浜についたら早速夕御飯の準備。
明るいうちにやらないと食べるときに寂しいし。
「ふふふふふ、刺身の作り方はマスターしたのだ!」
アン先輩はそう豪語するだけあって魚の捌き方が完璧を通り越している。
何せ魔法で内部の骨とかを見ながら加工魔法で切り離すのだ。
どんな板前だってかなう訳が無い。
刺身の他に朝釣ったサバを揚げたりもした。
何気にこれも俺のお気に入りなのだ。
しめ鯖も当然完成している。
そんな訳で相変わらず偏っているけれど美味しい夕食を食べまくる。
そして。
「さて、それでは本日の寝場所を決めるくじ引きをしたいと思いますわ」
ヘラがそう言って竹ひごを持ってきた。
「今回の合宿ではどのテントで寝るかを毎回くじ引きで決めようと思います。同テントの人の寝言が煩かったりいびきが酷かったりしても全部自分のくじ引きのせい。魔法を使える方はずる無しでお願いしますわ」
そんな訳で各自竹ひごを引いていく。
俺が引いた竹ひごには『三』と書かれていた。
「テントは海側から順番に一、二、三です。それではおやすみなさいませ」
三番のテントのもう一人は誰だろうな。
そんな事を思いつつ一番奥へ。
普通なら行く途中で一緒になると思うのだが何故か一緒にならない。
何故だろうなと思いつつ指定されたテントに入る。
「いらっしゃいなのだ」
アン先輩が既にテントの中で寝支度を始めていた。
さては移動魔法で移動したな。
でもアン先輩ならまあいいか。
怪しい気分にならないで済むし。
「おじゃまします」
とりあえずそう挨拶してから俺も寝支度に入る。
寝袋を広げてコットの上に置くだけだけれども。
アン先輩は他にもコットの回りに色々並べている。
「何を並べているんですか」
「喉が渇いた時の水筒と小腹が空いた時用のクッキーなのだ」
用意がいいというか何というか……
「それでは良い夜を、なのだ」
「おやすみなさい」
もうかなり暗い。
目を瞑れば光を感じない位だ。
寝袋とコットの組み合わせだが寝心地は結構いい。
地面にマットを敷いて寝るよりこっちの方がいいな。
まあマット用にいい素材が無かったというのもあるけれど。
コルクを使ってもいいのだけれど値段を考えるとちょい辛いし。
強いて言えば寝袋の枕部分のフィット感が今一つ。
まあその辺は明日以降考えればいいか。
一日活動しっぱなしだったので結構眠い。
そんな訳で……




