§17 生活時限が押せ押せで
復活した先生にアン先輩が怒られるところまでは既定路線。
なお嘔吐はしないですんだ。
そんな訳で再び先生にさっきのモーターが動くところを見せ、簡単な説明をする。
先生はちょっと考えた後、ポケットから何かの機械を取り出した。
「この件はここだけで済ますには手に余る。悪いが専門家を招集するぞ」
俺達が頷いたのを確認した後、先生は取り出した機械に喋り始めた。
「パヴァリアだ。そう、そうだ。悪いがアカデミーの摂理分科会員と知識魔法の使い手を至急、招集してくれ。重要案件が無く半刻以内に到着できる者だけでいい。場所は摂理実験室壱だ。すまん。頼む」
恐らく無線機のような機能を持った魔法機械なのだろう。
半刻もしないうちに摂理の専門家や知識魔法の使い手が八名も到着。
俺達はまたまた同じ実験と説明を繰り返す。
集まった中でも筆頭とおぼしき老人が頷いて口を開いた。
「これはもう、一通り知識をいただいた方が早いな」
そんな訳で知識魔法で電気に関する知識を読み取られる事になった。
知識そのものは更に魔法使いから先生達へ。
その後、更に先生達の質問責め攻撃を受ける。
どうも俺の知識には電池とモーターの他、電磁石、電球の知識が入っていた模様。
ただ所詮小学校六年までの知識。
だからあまり詳細まで答えられないのが残念だ。
何とか解放されたのは十二半の鐘が鳴った後だった。
時間が無いのでアン先輩を含む全員で食堂へ急ぐ。
「今日は食べ終わったら風呂直行だね」
「昨日夜の分が洗えないけれど仕方無いな」
「一年生は大変なのだ」
そんな訳で食堂へ。
夕食はそこそこ量も質もある。
今日は鶏肉ソテー、魚フライ、サラダ、スープ、御飯だ。
ここへ来てからの食事は案外悪くない。
味も少し薄味だが割と美味しいと思う。
しかし夕食をかっ込んだ上、この面子と一緒に風呂か。
何か気が重いというか申し訳無いというか微妙な気分になる。
この辺の感覚がまだここの世界に馴染みきっていないのだ。
「ところでこういった感じで抜かれた知識はどういう感じで活用されるんだ」
食べながらその辺に詳しそうなアルに聞いてみる。
「他の世界の知識そのものは国全体で共有される。読み取った知識の部分を文書に落として、書類化した上でな。あとはその知識の活用状況によって知識の元の持ち主や聞き取って書類化したグループに報奨金が支払われるんだ。今回の電気に関する物もそうだが、以前カイドーで渡した知識も同じように処理されている筈だ。ここへの入学支援とか一時金はその先払いという事だろう」
流石アル、詳しい。
「つまり上手く行けば丸儲け、って訳か。ホクトを捕まえておけば食いっぱぐれは無さそうだよね」
ラインマインがそんな事を言う。
「お前の家はそんな事を考える必要ないだろ」
「金持ちなのは両親や家であって、私では無いからね」
「でも跡継ぎはお前だろ」
「そうなっているけれど、上級商業管理取るには上位高等学校出て高級大學行かなければならないでしょ。そこまで私の頭、持つかなあ」
「ここ入学も何とかなった。だからきっと大丈夫」
「何とかって、本当に最下位合格よ」
なるほど、そういう理由でラインマインはここに来た訳か。
その辺をアルとかメルは良く知っていると。
十三の鐘が鳴るのが聞こえた。
「まずい。風呂へ急がないと」
アン先輩を残して立ち上がる。
「お達者でなのだ」
そう言ってのんびり食べるアン先輩を置いて食器を片付け、風呂へ。
ロッカー部分に荷物を置いて風呂へ。
クラスメイト女子が服を脱ぐ姿を見るのってエロいよな。
見ていいような悪いような。
それでも横目でちらちら見るぞという感じになってしまう。
ラインマインとか可愛いしさ、やっぱり。
ヘラもメルもそれぞれ綺麗だし可愛いし。
「服は私に貸して。全部一気に洗っちゃう」
脱いだ服を下着含めラインマインに横取りされた。
下の毛が生えかけているのが一瞬見えた。
こっちも赤毛なんだなと思いつついけない興奮をしてしまう。
「ありがとう、ラインマイン」
アルとか全く気にしていないようだけれど。
「この辺の力仕事は任せて。先に身体を洗っていて」
「悪いな、何か」
「気にしないで」
そんな訳でラインマイン以外は湯滝の方へ。




