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進学先は異世界でした ~俺の異世界学園生活記  作者: 於田縫紀
#33 合宿前にも色々と

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168/216

§168 まずは生徒の本分から

 さて、上位中学生ともなれば遊んでいるだけという訳にもいかない。

 そろそろ期末テストに向けて勉強をするべき時期に来ている。

 学校は十二月がまるまる冬休み。

 だから十一月の半ばにテストがある訳だ。

 実験室も今や『アル先生とホクト先生、時にメル先生とアン先生によるラインマインとヘラに重点をおいた勉強会』会場になっている。


「この摂理の問題、どうやって式を考えればいいの」

「まずは問題をよく読んで、文章の中に隠れている式を探し出すんだ。問題になっているのは豚の数と鶏の数。そして豚の足は四本あるから豚の足の数=豚の数×四だろ……」


「ホクト、地理のここはどうやって憶えるの?」

「この辺はイメージだな。川の水が山から流れる図を考えるんだ。水と一緒に土や砂も流れていく。流れが急なら大きな岩や石も運べる。でも緩くなるにつれてだんだん大きな物は運べなくなっていく……」


 まあそんな感じで技術研究会としての活動はちょいとお休み。

 ただこの時期の研究会はだいたいどこもこんな感じらしい。

 何せ冬は日の落ちるのが早い。

 風呂の後はもう暗いから勉強時間を取るとすれば課外活動の間だけ。

 普通の生徒は照明魔法とかは持っていないのだ。


 なお、俺も密かに色々復習し直している。

 今度こそアルから一番の順位を奪ってやろうと思うのだ。

 アルはいい奴だがそれとこれとは話が別。


 これは秘めた目標だが公然の目標もある。

 この学校では恐ろしい事に課外活動別の平均点の順位も発表されてしまうのだ。

 対象は各学年で三人以上所属している課外活動の研究会。

 ちなみにアン先輩の代は幽霊部員で成績のあまり良くない方がいるそうで、平々凡々な順位。

 でも一年の部は幽霊部員無しのこの五人。

 だから今度の試験ではあわよくば研究会別で首位を狙おうとしていたりする。

 なお首位を取った場合は活動費が少しプラスされる。

 もっとも技術研究会の活動費は稼いだ分で充分だったりするけれど。


「とりあえず強敵は魔法活用研究会と文芸愛好会だ。全員全科目八割は取らないと」

「来年の部員勧誘にも有利」

 そんな訳で矛先がヘラとラインマインの二人に向いていたりする訳だ。


「でも厳しいですわ、なかなか」

「同じくだよ。特に摂理の文章題」

「大丈夫、ヘラもラインマインも基本は出来ている。文章題の応用に慣れるだけ」

「地理の論述問題なんて反則よ」

「丸暗記しようと思わないことかな。あくまでメカニズム的にイメージする」


 なおアン先輩は普段は勉強会に参加せず、一人で薄い本をヘラヘラと読んでいる。

 ちょっとだけ見せて貰ってすぐに後悔した。

 ベッドで中年男性が老年男性を愛撫しているシーンだった。


「エバシで買った掘り出し物なのだ。何度見ても鳥肌が立つ程素晴らしいのだ」

「確かに鳥肌は立ちますけれどね」

 多分そうなる理由は俺とアン先輩で違うのだろうけれど。

 取り敢えずそんな怪しい本を学校内に持ち込まないでくれ!


「ふっふっふっ、人が勉強で苦労している間に読む薄い本はたまらないのだ」

 そういう事をやりつつもアン先輩は三年で不動の首位をキープしているらしい。


「ああ悔しい。早く試験が終わりませんこと」

「ヘラはその前に地理の論述問題に集中!」

「うひひひひ、ヘラの大好きなおねショタものも豊富に揃えているのだ」

「先輩、ヘラの気をそがないで下さい」


 こんな感じで二周ほど勉強期間が続く。

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