+4話「レビン・ハチコの憂鬱」
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先日、レビンが失踪したと勘違いした、九乃助、篤元はもう信じられないくらい慌てた。
しかし、当のレビンは、純太、キエラと共に映画を見に行っていた。
よって、携帯は繋がらない。
みんなも、上映マナーは守ろう!
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『前略、おふくろ殿。
私、焼野原九乃助は、19歳に満たない少女を悲しませました。
そのせいで、彼女は失踪し、私はとても罪悪感に追われています。
携帯電話すら、かからないのです。
もう彼女は、どこへ行ったのでしょうか。
だから、私は彼女を探しに親友の篤元君と共に、彼のインプレッサで思い当たる場所すべて行きました。
ですが、彼女は何所にも行きません。
それでも、私は諦めずに探し続けました。
すると、不思議な現象が起きました。
数時間前まで、私は関東のS県に居たのに、気づけばどうでしょう。
なんと、北海道の大地に私は、今立っています。
『水曜どうでしょう?』で見た雪景色が広がっています。
彼女を探しに行ったはずが、気づけば、北海道です。
これは、本当にどうでしょう?
隣に居る篤元君が…。
「話が違うぞ!!なんで、北海道やねん!!!っていうか、運転代われ!!!」
と、雪が降ってるせいか、ハシャイでいます。
しかし、私は雪が降るだけで、はしゃぐほど子供ではありません。
彼女が見つからないのです。
どうすれば良いのでしょうか。
とりあえず、カニ食べてS県に帰ろうと思います。
カニの代金は、篤元君持ちで。
PS、ミスター(鈴井さん)は、今なにしてるだろう』
という、手紙を九乃助は北海道で書いた。
気づいたら、北海道が目の前だった…と、丸1日運転させられた篤元豪は語る。
ちなみに、二人は防寒具がないので死にそうだ。
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その頃、北海道の雪景色とは違って、雪の降らないS県。
九乃助が北海道に迷う原因を作ったアパートのレビンの部屋に、数名の人が見えた。
キエラ、純太、桐谷、武田、レビンの5人がコタツを囲んでいる。
もちろん、この5人が集まったのは、先日から九乃助の暴走問題だ。
さっきから、みかんを食べつつ、論議を交わしている。
「さすがに、あれはヒドイ!!」
と、みかんを口に入れながら、コタツをキエラは叩く。
その発言に、武田は頷く。
「女の子、泣かす奴は人類の敵だね。あーいう奴は、生きていちゃいけんだ」
武田は、そう言う。
「僕も、同感だね。前から、九乃助さんは、僕にパチンコで無駄遣いすな!と煩かったからね」
と、純太が言う。
「いや、それは貴様が悪い」
武田が、純太にツッコんだ。
桐谷は、なにを話していいか解らないので、レビンの部屋にあった漫画を読みふけってる。
問題の発起人のレビンは、下を向いている。
なんというか、彼女以外の3人は勝手に盛り上がってしまっている。
レビン本人は、九乃助が自分に対して嫌いだー!!と叫んだことで傷ついてはいたが、それ以上に、元はといえば自分が悪く、それで九乃助が悪い者みたいになってしまい、嫌いだと言われても仕方がないという気持ちがあった。
今まで、どんな時があっても、自分を助けてくれた九乃助を簡単には嫌いになれなかった。
また、助けてくれたからと理由だけじゃなく、嫌いだと言われても、彼女は九乃助のことが好きだった。
だから、彼女はどうしても九乃助に逢いたがっている。
しかし、その気持ちを、他の3人は気づくわけがなかった。
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続く…