+3話「篤元のオタク力(ちから)」
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状況は、最悪になった。
もうすぐで、和解できそうだったのに。
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問題が起きてから、二日経つ。
昨日、名も知らぬ旅人二人に罵られ、落ち込んで泣きじゃくった九乃助は、篤元豪のマンションに転がり込んだ。
そのとき、九乃助は『オタクくせぇ部屋だな』と篤元の部屋を評した。
そして、本日は豪の部屋のソファーで、九乃助は大いびきをして眠っている。
豪は迷惑していた。
九乃助は、いきなり上がり込んできて、人の部屋で酒飲みを始めて、今朝に至っている。
「おい!迷惑してんだけどよ!!」
と、豪はソファーで眠る九乃助を横目で携帯に向かって叫ぶ。
携帯の先は、純太だ。
「すまない、篤元殿…」
「スマンで済んだら、シ○ィーハ○ターは仕事にならんし、ル○ンはとっつあんに追われんわ!!」
オタク篤元豪が、自分のボキャブラリィから必死に怒りを伝えた。
その怒りが、十分伝わった純太はこう言った。
「解ったよ…、許してもらおう思って買ってきた『エビフライ伯爵』フィギュアは要らないか…」
「許すよ」
篤元豪、来年で二十歳は一瞬で許した。
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「いやー、貴様の部屋は個性的だなー」
と、昼過ぎに目を覚ました九乃助は、缶コーヒーすすりながら部屋を見渡し言う。
ちなみに、豪のリビングは、いろんなフィギュアで一杯だった。
「頼むから、部屋にツッコむな…」
泣きそうな声で、豪は言う。
「そんなことより、純太から聞いたよ…。レビンちゃんと揉めた挙げ句、彼女に嫌いだー!!と、泣きながら叫んだんですってね…」
そう言うと、九乃助の顔は固まった。
ちなみに、九乃助は悪気があって言ったのではなく、落ち込み過ぎたのと、興奮してたのが、ジャストミートして口から勢いで言ってしまったのだ。
要するに、口が滑った。
せっかく、和解できそうだったのに状況が悪くなってしまった。
ちなみに、そのことを九乃助は恥ずかしく感じている。
その心境を例えると、エッチな漫画を勢いで買ったのは良かったが、しばらくして…、『なんで、これ買ったんだろう…』という、若い男子がよく味わう感じだ。
我に戻った九乃助は、豪に問う。
「あのよ…、純太なんか言ってたか…?」
間接的に、『レビンなんか言ってたか…?』という意味である。
「あんたが泣き叫んだ後、同じように、レビンちゃんが四時間ぐらい泣いてた。だそうです」
業務的に、豪は答えた。
九乃助は、もの凄い勢いで血の気が引いた。
片手に持っていたコーヒーが、手から離れ床に落ちる。
琥珀の液体が、豪の部屋に床に飛び散る。
「九乃助さん…」
と、真剣な顔をした豪が九乃助を睨んだ。
その表情は、九乃助がしたレビンに対する行いを責めるような冷たい表情である。
「なんだよ…」
非難を送るような豪の顔に、九乃助は怯む。
「床に、コーヒーこぼすな…」
豪は、泣きながら言った。
マンションの床に、コーヒーが池のように広がっている。
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それから、しばらくした午後の3時。
マンションから出た豪の青いインプレッサが、街路地を駆け抜ける。
目的地は、九乃助の住むアパート。
「とりあえず、謝りに行きましょうよ…」
と、インプレッサに九乃助を乗せて、豪はハンドルを握って言う。
助手席の九乃助は、複雑な表情だ。
「なぁ…」
窓を眺めながら、九乃助は言う。
「はい?」
「レビンの奴、許してくれるかな…。あんなひどいこと、言っちまってさ…」
そう豪に聞いた。
傲慢な態度だった九乃助が、急に不安そうに豪に聞く。
それは、あまり見たことのない心配した様子だった。
「大丈夫ですよ…。あんた、どんな時だって、彼女を守ってきたじゃないですか…」
豪は、車のシフトレバーを握りつつ言った。
彼なりの九乃助への慰めだ。
その言葉に、九乃助は窓を眺めていた首を、豪の方に向けた。
そして、九乃助は口を開く。
「お前、運転下手だな…」
「…」
照れくさい台詞を言った豪の顔が、引き攣った。
同時に、やっとアパートが見え、到着。
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『ただいま、留守にしています。 by レビン』
彼女の部屋の扉に、こんな貼り紙が貼られていた。
やっとの思いで来た九乃助、豪は唖然とする。
二人とも、彼女の部屋の前で固まる。
真っ白になった。
「おい…、これって…」
九乃助が、ガクガク震えながら豪に問う。
「どう見ても…、は…、もん…、失踪…、です…。ありがとうござました…」
彼も震えながら言う。
この二人は、小1時間、ガクガク震えっぱなしだった。
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ちなみに、レビンはキエラ、純太と共にショッピングに行ってた。
あの貼り紙は、別に深い意味なく、留守にするとの告知で貼ってただけだ。
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続く…




