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5・現実 あれこれ

弟 姉 弟 と視点がかわります

パイクさん達のお世話になることを決めた僕達は、見回りの続きをする二人の馬の後をついて歩き、砦方面に向かいました。



外から見たところ、森に面した砦はヨーロッパの古い城の様に塀で囲まれた中にいくつかの低い建物が点在し、その奥にどっしりと存在感たっぷりに建っています。

お城、というよりはやはり武骨な砦、でっかい四角い石をがんがん積み重ねてつくっているようです。まわりの建物はドイツ風で統一感があってかわいく見えます。



まぁ僕が好きなのは日本のお城ですけど!父と語ってたら止まらなくて、姉の手によって強制終了を食らったことがあります!




そんな事を考えながら歩いていると、


パイクさんが時々振り返って



「大丈夫?疲れてない?」


などと申し訳なさそうに聞いてくれます。


任務中だから僕達を乗せてはいけないということらしいのですね。当然ですね。何かあったら駆け付けなくてはいけないですもんね。というか僕達こそがその

『何か』じゃないのですか?

やっぱこのお兄さん人が好すぎて心配だなぁ〜。抜け目なさそうなボッシュ先輩も任務に戻ったら僕達に興味なんですもん。


そういうお国柄なのかな?



なんて、いい気になってまったり馬のしっぽを見つめていて





不意に背筋が凍るような気がしました。



いきなり捕まったり殺されたりするような、理不尽なこと。僕達の世界の現実でも少なくなくあったこと。


油断してはいけない。忘れてもいけない。識らなくてはならない。


僕達の常識は他者の常識とは限らないのだから。



僕達は何も持たないただの子供。


なんだかちょっと泣きそうになりました。




○ ○ ○ ○



騎士二人組が私達に寝床を提供してくれるということで、付いていくことになった。


近くで見ると馬でけーっ!

長いしっぽをばさばさ振りながら、カポカポ進んでいく。二人は見回り中だから乗せられない、と謝られたけど、いいのよそんな事。



嬉し恥ずかしイケメン騎士と相乗り、どこを掴めばいいのかしら?体温感じちゃってドキドキ!


などというお約束展開はまだ早いし、そもそも馬がでかすぎて怖い。あんまり動物好きじゃないし。

弟は犬とか猫とか好きだし好かれるけど、私は敬遠されるんだなー。一定の距離を置いて観察される感じになって、間合いに入ると逃げちゃう。私の繊細な心はそのたびに傷つくのよ!しっぽとか引っ張ってやろうか・・・。



揺れるしっぽを睨みながら歩いていると、自然に道が目に入る。舗装されていないし石も敷いていないけど、しっかり乾いて踏み固められた道。人や馬、幅からすると馬車なんかも通ってるみたいだ。へこんだ平行の跡がいくつかある。ワダチ、だっけ。



森のそばでド田舎に見えるけど往来は絶えずあり、二人の話では宿屋も営業している。けど街という規模ではない。


小説とかだとー・・・近くにダンジョンがあるとか、戦時には重要なポイントだとか、地方領主への牽制だとか、色々考えられるわよね。

なんなんだろ、ここ。



疲れてるし、考えてると暗くなっちゃうな。下手の考え休むに似たりというし。


ちらっと弟を見たら、夕暮れの薄暗い中でもわかる、眉間のしわ。わあ!そんな顔したら離婚直前の父上そっくりじゃん。



なんだか、なんだか胸が痛い。情緒にとぼしい私だけど、弟にこんな顔して欲しくはない。

・・・訳の解らない状況に、一人で放り込まれなくて良かった、と思ったの。弟が一緒で良かったと、思ってしまった。


いいお姉さんなら、自分だけならよかったと思うべきなのに。


弟にこんな顔させるなんて

姉失格かなぁ



申し訳なくて、何も言えなくて、少しだけ高い位置にある頭に手を伸ばして


久しぶりに弟の頭をなでた





○ ○ ○ ○




涙が出ないように強く瞬きしていると、突然姉が手を伸ばして僕の頭をなでました。


うわ。もしかしてばれた?恥ずかし・・・



「な、に。トモ。急に」

「うん、なんでかリョウタにヨシヨシしなくちゃと思って」




姉は相変わらず解りづらい単調な喋り方で、でも久しぶりに僕の名前を正式に発音したのです。


ホッとして、それからむず痒いような恥ずかしさが出てきて・・・騎士さんに見られなくて良かったです・・・子供扱いはやめて欲しいなぁ、とか姉がいてくれてよかったなぁとか矛盾する思いで溢れそうになってしまって、笑ってごまかしました。

もっと早くから考えたんですが、天谷すげーっっ!と頭からスコーンと消え去りました。

自分は真ん中なんで微妙に両方の気持ちがわかり、完全には理解できません。

兄弟の真ん中はまた少し立場が違うようで。


次の更新は数日あきます



見てくださってありがとうございました。

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