4・お人好し(改)
書きなおしたらずっとパイク視点になりました
今日の巡回は、尊敬するボッシュ先輩との組。
隊長を抜かすと一番の剣の腕、でもそれを鼻にかけない謙虚な姿勢、というか、面倒くさがり。噂では、通常通り15歳で見習い騎士になった後数年で特別任務を果たして、10代で小隊長になったとか。
異国の魔導士の知り合いがいるとか。魔導士って何かよく知らないけど。
この田舎の砦にはもったいない人材だと思う。僕らを統括する隊長にしたって。
都で、砦は『人材の墓場』と呼ばれている。先輩によると、戦争中とか内乱とかの緊急時に役立つような人が集まっているらしい。
というか、普段はやる気が見えないんだよねぇ。だから上の人に睨まれて、ここに来てるんだ。
僕はちょっと違うけど。
風が涼しくなってきて、巡回も楽なのでつい物思いに耽ってしまう。
「見ろ、あそこの二人、話聞いとくか」
ぼんやりして気が付くのが遅れたけど、森の方から子供らしき二人連れが歩いて来て、開けた街道で立ち止まったのが見えた。
森から出てきた!
綺麗な顔の二人で、おそらく血縁者。二人とも10代半ばに見えるけど、この辺りの子供に比べると随分痩せている。
だけど着ているものはきちんとしているし、清潔、どちらかというと上流階級の子供のように、背筋を伸ばして静かに立っていた。
「やあ、君たち変わった服を着ているね。子供だけで旅をしているの?」
二人は困ったような不安げな顔になっていた。
陽が落ちてきた薄暗い中でもわかる、不思議な服と模様。
艶やかな長い髪の少女は、上下ともやや大きめの男物の服を着て、上着の下には黒い柔らかそうな…下着?丸や妙な形の模様が鮮やかな色で染めてある。
一瞬、綺麗な、とろけるような飴色の目と目が合ってしまって、胸元をじっと見ていたのに気付いた。全然そんないやらしい気持ちではないんだよ?あ、履物も変わっている。
先は丸く、くるぶしよりもやや上までの長さで、真ん中を紐で編むように縛ってある。材質は固そうで、深い暗めの赤に見えた。
もう一人は彼女より少し背が高い。柔らかそうな茶色の髪はふわりと顔のまわりにかかっていて、鉱石のような、色の混ざった灰色っぽい目。可愛らしい顔だけど少年のようだ。
似たような深緑の上着に、濃紺のややぴったりしたズボン、この子も黒い下着を着ていて、白や銀の四角を組み合わせた模様――見てると絵が動くような不思議な模様が描かれていた。
この子の履物は黒で、ふくらはぎ辺りの長さで金属の飾りが付いている。大きな籠を持っていて、中には小さな赤や紫の木の実がたくさん入っていた。
どこをどう見てもこの辺の子じゃないし、僕が知る近隣国でもこんな服はない。
少し話したかぎりでは、ここがどこかも解っていないようだった。
僕が話している間、いつでも剣を抜けるように離れて見ていた先輩が目配せしてきた。
「これでは埒があかない。あいつらを連れて行くぞ」
「え、いいんですか」
「もう日が暮れる。あいつらの素性が何にせよ、置いとくわけにいかんだろう」
先輩は基本的に他人には構わないけど、親切なんだよね。照れるから言わないけど。
寄り添うように、疲れた顔で不安そうに立つ二人。
簡単に自己紹介をして、恐がらせないように誘う。
事情は解らないけど『森』から出てきてこの地に立った以上、僕らは君たちを保護する。まぁ、普通か。迷子の子供は可哀相だもの。
初めての仕事らしい仕事じゃないかな?




