番外編・隠れたお仕事
マイヤーさんの単独任務話その1
「フェルゼンフェルト、あなたには彼らと同行して、探ってもらいたいことがあります」
副隊長さん、言いにくいならマイヤーでええのに。
「先日、ハウィット・レヴァインが使った品ですが。あなた方の証言から、あれは『戒めの煙』と言われる異国の道具と思われます」
「そのようですね」
眠り薬か痺れ薬の類やと思ったら、足腰に絡み付いて気持ち悪ぅなった。ちょっと吸い込んでしもぅたし、副作用はないんかな?
「現在我が国では売買も使用も禁止されているものです。彼の処分が身分にしては重く、また裁定が早かったのはそのためでもあります」
「はぁ」
あれで刑が重いんて、冗談きついわ。
領主の息子とその辺の女の子とじゃ、しょうがないことなんやろうけど。
自分がこっち来た時のこと思い出して、なんや胸くそ悪いわ〜。
「あなたの気持ちは解ります、というか、あなたが最もよく解るのでしょう。あの子供達の気持ちが」
うわなんかやっぱこのお人嫌やわ〜。心が読めるんやないの。
「途中の街の詰め所、王都ではブライアン・フォザーギル防衛騎士に協力を仰ぐとよいでしょう。要請書を作っていますからね。彼らは自分の街を熟知していますから。禁制品の取引経路を見つけ出して下さい」
ボッシュの兄さんやな、そっくりの。
難しいこと簡単に言ってくれてんけど、ぱっと行って書類で扱き使うんて、ものっそい気まずいねんけど。
俺が感じ悪いやつみたいやんか!
「大丈夫です。あなたは大体そんな感じです。あ、終わるまで帰ってこなくていいですよ。隊長の許可は取ってますから」
「…さいでっか…」
馬をぽくぽく歩かせて、馬車が揺れんように集中しとると面倒なこと忘れられてええわ〜、て思っとったのに。
不っ細工な盗賊が邪魔しくさって。
えぇわ、ちょっとこいつらどついてスッキリしよか。