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3・親切

弟視点

見たことのない砦。色の違う地面。わさわさしていたはずの木々は冷たい風に吹かれて木の葉を落としていく・・・



あぁ、ここは違うんだ。


ただ森を歩いていただけなのに。気が付いたら異世界にいました、なんて。もっとこう、光に包まれて、とか車に撥ねられて、とか、出迎えの人たちが『勇者様!』と興奮してるとか!何かないんですかね?


日常の延長すぎて意味がわかりません。

姉もうなっています。表情があまり変わらないから、ショックなのか喜んでるのかわかってないのか・・・


姉の視線の先に現実がやってくるのが見えました。

二騎の騎士。鎧は着ていないけど、近付くにつれて、帯剣しているのが見えました。馬には小さい盾がさげてあって、小型の弓矢も見えます。道をゆっくり進みながら警戒しているので、巡回の人でしょうか。



第一村人という記念すべき出会いなのに、恐怖のほうが勝っています。姉は彼らをコスプレというけど、あの完成度でコスプレだったら逆に怖いです。頼むからしばらく黙ってて下さい姉よ。

あ なんだか姉から殺気が漂ってきたような〜



「やあ、君たち変わった服を着ているね。子供だけで旅をしているの?」


あ、英語?まじでコスプレですか?


「こんにちは?・・僕達は旅人ではないんです。森でベリーを摘んでたら迷ったというか・・・こ、ここはどこですか?アメリカではないんでしょうねぇ?」


お兄さんが優しそうなので思い切って聞いてみましたよ!聞き方がストレートすぎたか、姉の握りこぶしが震えているのは気のせいでしょう。



「ん?迷子?アメリカというのは聞いたことがないけど。町の名前かな。そこに行きたいの?

先輩知ってますか?」

「いや、知らんな。だが今日はもう遅い、街道には野盗も出るし、森の獣も危険だ。明日にしたらどうだ」



うーん、おじさんも優しいですね。


言葉は通じるけど、やはりここは世界が違う。

世界が違うからアメリカは探せません。召喚された感じもないから帰り方も探しようがない・・・それに野盗に獣って・・所持金0、持っているのはハンカチとバスケットにつまったベリーと、姉のサバイバルナイフ。



あれ?どうしよう。なんか血の気が引いてきました。


「・・リョータ、大丈夫?顔色悪いよ」


珍しく姉が心配してくれました。でもなんと言ったらいいのか、この状況は。

僕達は無言で見つめあいました。



「あ、そうか!迷子だもんね、君たち。行くところがないんだ。んー、じゃあ僕達と来なさいよ」



何事か話し合っていたお兄さんが、にっこにこしながらそう言ってくれました。あぁやっぱりいい人だ。子供が困ってたら助けますよね、あなたみたいな人は。姉が黙っててくれたのもよかったですね。


口を開くとろくなことを言わない人だけど、黙って震える(怒りに)姿は、困惑する繊細な知的美人って感じで受けがよいのです。



今日のお宿はどうやら確保できたようです。

しかし、安全に暮らせて、姉に変な虫がつかないようにするにはじっくり考えなくてはいけませんね。まだまだ不安です。

読んで下さってありがとうございます。

もう少し人が増えたら登場人物紹介をつくろうと思います。

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