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今日はなんの日、食べ物ダンジョンできました  作者: 木嶋うめ香


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これで安心、出来るのか? 4 

「どうしたの那須さん、一層目狩り終わったからボス部屋行こうよ」


 なんだかじぃっと剣を見ている那須さんは、私の方を見た後で困ったように左手で自分の頭を掻き始めたから私が困ってしまう。

 どうしたのよ、那須さん。


「山崎さん、これ鑑定してみてくれ」

「え、那須さんの剣を?」


 なんで急に鑑定を? 首を傾げつつ那須さんが両手のひらの上に載せた剣を鑑定する。


 魔法片手剣:主な素材鉄→ミスリル玉鋼に変化。なんの日ダンジョンの初正当武器で魔物討伐称号取得(初パーティー入場称号持ちが正当武器で討伐したため付与)これにより魔法剣に変化。

属性魔法を使用することにより、魔法効果を発動する。自動修復機能付き


「魔法剣だって」

「そんな簡単な鑑定だけでたのか?」

「ううん、主な素材鉄→ミスリル玉鋼に変化。なんの日ダンジョンの初正当武器で魔物討伐称号取得(初パーティー入場称号持ちが正当武器で討伐したため付与)これにより魔法剣に変化。属性魔法を使用することにより、魔法効果を発動する。自動修復機能付きって出たよ」


 私が鑑定で見た結果をそのまま告げると、那須さんはしゃがみ込むと頭を抱え始める。


「もしもーし、那須さん。ボス部屋に行きたいんだけど」

「なんであんたはそんなに冷静なんだ」


 冷静って、そんなことはないんだけどな、むしろ困ってるんだけど。

 結構時間かかってるから、早くボス討伐したいんだけど那須さんいつ復活してくれるのかな。


「那須さん、とりあえず悩むのはボス討伐してからにしない?」

「山崎さん、俺は今ショックを受けていてだな」

「でも、多分ボス討伐してまたショック受けると思うよ」


 だって多分次に来るのは、初パーティーでボス討伐だと思うしさ、そうしたら那須さんまたショック受けちゃうんじゃないのかな。


「なんでショック……そうかパーティーで初ボス討伐か」

「そういうこと」


 納得してくれたのか、那須さんは立ち上がると剣をじぃっと見てからため息を吐く。


「すまない、まさかミスリルとか出てくると思わなかったもので。ボス部屋はどの辺りにあるんだ。すぐに分かるのか」

「うん、ええとね……あの辺りに見える? ドアっぽいものが浮いていてるの見えるかな」


 相変わらずなぜか壁があるって分かる一層目の端っこに、ぽっかりとドアっぽいものが浮いている。

 入り口と同じ木のドアだから、遠目だと茶色いものが浮かんでるようにしか見えない。


「分かりやすいな」

「だよね、なーちゃん親切」


 あれくらい分かりやすくないと、私みたいな初心者はなかなかボス部屋の入り口探せないと思うんだよねえ。そうじゃないとこの広い場所を探し回らないといけなくなる。

 チュートリアルダンジョンの入り口みたいに、石碑触らないと中に入れないとかだと絶対に入り口だと分からなくて延々探し回ると思うから、これはなーちゃんに感謝だ。


「本当に親切だな。あんまり分かりやすくドアがボス部屋の入り口って他のダンジョンにはないぞ」

「え、そうなの?」

「大抵は何かの石像に触れるとか、洞窟の入り口っぽいところの中のスィッチを押すと急に扉が出てくるとかが多いな」


 洞窟がボス部屋の入り口じゃなく、そこの中にスィッチがあるのか。それは分かり難い。


「なーちゃんが優しいってことだね」


 二層目以降も同じく分かりやすいと助かるけど、そこはどうなのか分からないから今後の楽しみにしようかな。


「那須さんって魔法使えるんだっけ」

「初級の奴はいくつか使えるが、魔法はあまり得意な方じゃないからもっぱら剣だな」


 ボス部屋のドアがある方向に歩きながら那須さんに確認すると、困った顔のまま那須さんが答える。

 魔法って誰でもスクロールがあれば覚えられるみたいだけど、魔力量には個人差があるんだろうな。個人差じゃなくて、魔法を使いまくるかそうじゃないかの違いなのかな。

 そういえば私今日料理つくりながら魔道調理器具を魔力で動かしてたけど、魔力切れとかならなかったなあ。今魔力ってどのくらいあるのかしら。


山崎葵:ヤマザキアオイ

年齢:二十五歳

レベル:四十一

魔法使いレベル:十七

体力:千二十五

魔力:六百


 あれ、レベルがまた上がってる。

 ボス討伐前なのに、なんで?


「山崎さんが何も話さないとなんだか不気味なんだが」

「うん、レベルが上がってるからなんでかなって……そうか自分の経験値増大とパーティ―の経験値増大があるからだ」

「え、つまりそんなに上がったってことか?」


 ううん、これは言うのが気が引ける。

 那須さんさっき自分のレベルは四十三って言ってたよね? しかもレベルは三十五あたりから上がりにくくなると言われているって。


「うん、さっき三十八だったレベルが今四十一になってるね」

「そ、それは……」


 そう言えば、私は自分の鑑定でレベルが上がったって分かるけど、普通の人ってどうやってレベルをしるんだろう。


「那須さん、レベルってどうやって分かるもの?」

「一般探索者はダンジョン協会の人に有料鑑定してもらう」

「那須さんがレベルが上がってないっていうのは、それで知ってる感じ?」


 鑑定してもらわないとレベルが上がったかどうか分からないなら、レベル四十三から実は上がってるってこともあるんじゃないのかなあ?

 だって有料で鑑定って、きっと頻繁にはしないよね。


「山崎さん鑑定持ちだから離すんだが、探索者証を鑑定すると分かると思うが……」

「探索者証を鑑定するって、あぁっ。レベル四十三って出るんだけど、どういうこと!」


 そんな説明あった? 魔物の討伐記録は探索者証に勝手に記録されていくとは聞いてたけど、レベルが分かるなんて聞いてないよ。


「那須さんこれどういうことなの」

「まだ実験段階らしいんだが、レベルは探索者証に記録されるらしい」

「鑑定してるってことなの?」


 鑑定しないと分からないよね、レベルって。経験値が私みたいにランダムで倍率変わるなら、魔物の討伐記録からレベルを算出なんて出来ないだろうし。

 ええ、こんな薄い探索者証にそんな機能まで付いてるって、どんな謎機能なの。


「これってどんな不思議機能がついてるの。魔物討伐記録もしてるんだよね」

「してるな、それは魔法の道具を作る部署の奴が有能というかなんというか」


 有能で片付けていい話じゃない気がするんだけど、それってどんなスキルがあれば……そうかスキルで作ってるのか。


「魔法の道具を作るのもスキルってことなの?」

「そうだ、魔法道具師っていうスキルがないと作れない。ちなみに探索者の覚醒した時に、そういうスキルが覚醒するらしい」

「なるほど、アニメの世界だねえ」


 あるよね、錬金術師とか魔道具師とかの職業が。そうかあ現実にあるんだ、ってあるかゲートがそもそも魔法の道具だった。


「ゲートを作ったりする人が探索者証も作ってるってことなんだね」

「そう、探索者証は、本人と探索者証を血で結びつけるから、魔法の道具師が基本の探索者証を作っておいて協会の受付で探索者登録時に探索者と探索者証を紐づけている」


 そういう仕組みなのかあ、あんまり深く考えずに謎機能ってだけ思ってたけど。実は凄いものだったんだねえ。

 でも、ゲートの話とか覚醒条件の話をダンジョン協会にしたら、これから魔法の道具師さん大変なんじゃないのかな。


「山崎さん、何か思いついたりしてないか」


 なんだか嫌そうな顔で那須さんが聞いてくるけど、別に変なことは思いついてないと思う。


「嫌そうに聞くの止めてくれるかな」

「いや、なんか山崎さんの思考パターンが読めて来て、嫌な予感がするというか」

「失礼な、私は魔法の道具師さんがこれから大変だなって思っただけだよ」


 むっとして言うと、那須さんは物凄く驚いたって顔で立ち止まる。


「なんで大変、いや山崎さん何を思いついた」

「私じゃなくて、今日分かったことをダンジョン協会に言ったらそうなるだろうなって話。那須さん止まってないで歩こうね」

「今日分かった……ゲートか」


 再び歩き始めた那須さんに頷いて見せる。

 そう、これからゲートの改良が必須になるだろうってことよ。

 ダンジョン食材で魔素を体内に取り込むってのは効果がある話だろうけど、ダンジョン食材は高級品なわけだから、国民全員に食べさせるわけにはいかないんだし、そうなったらダンジョンが放出してる魔素を空気中にってことになると思うんだよねえ。


「ゲートの改良、改良が出来たら日本のダンジョン全部についてるゲートを改良品に付け替える」

「日本だけで済めばいいけどね、ゲート作れるのって魔法の道具師スキル持ちの人だけなの?」

「そうだな。あれ、スキルで作ってるらしいからな」


 ダンジョンって世界中にあるからねえ、日本でゲート改良したら覚醒者が増えたと分かったら世界中が同じことしたいって言いだすだろうし、そうなったらゲートの改良方法を教えるか日本から改良版を輸出するかになるだろう。

 どっちにしろ魔法の道具師さんが大変って話になると思う。


「つまり改良型のゲートが出来たら、それをすべてのダンジョンに付け替える作業が待っているってことだよね。魔法の道具師さんの労働負荷が怖いよね。そんでもって覚醒者が増えて探索者登録が増えたら今度は探索者証を大量に作るって作業が出てくるだろうし」


 これはすぐに増えないだろうけど、でもゲートの付け替えだけでも大変だろうからなあ。

 探索者の人数が増えてないってことは、魔法の道具師さんの数だって多くないんだろうしさ。


「なんだか頭痛がしてきた」

「まあ、改良が出来るか分からないし。簡単にしたいなら、ダンジョン協会の人をゲートの前に一日数時間置いてゲートを開けておく時間作る方良いんじゃないかな」


 ゲートの見守りをしなくちゃい行けない人は大変だろうけど、ある意味そこにいたら魔素吸い放題になるんだから、覚醒したい人を優先でそこの担当にするって方法もあるよね。


「山崎さんって考えかたが柔軟だな」


 私がゲート見守りの話を提案したら、那須さんが妙な関心の仕方をしてくれる。

 褒められてる気がしないんだけど、けなされてる?

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