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ときめき不足の俺が本物のヒロインに出会うまで  作者: 音無響一


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3/4

第3話 ヒロイン扱いしないでください

企画部の朝は早い。


俺が席に着くと、すでに数人がパソコンを開いている。


そして、その中にいた。


ベージュのコートを脱いで、シンプルなブラウス姿。


昨日の少女漫画の人。


いや、違う。


同じ部署の後輩だ。


「おはようございます」


俺が声をかけると、彼女は一瞬だけこちらを見た。


「おはようございます、先輩」


距離は近いのに、妙に壁がある。


朝礼が始まる。


新しい企画の話が出た。


若手中心で案を出せ、と部長が言う。


空気が少し重くなる。


俺は正直、こういうのが苦手だ。


無難な案を出して、波風立てずに終わるタイプ。


そのとき。


「はい」


彼女が手を挙げた。


迷いがない。


「ターゲット層、ずれてると思います」


静かな声。


でもはっきりしている。


部長が眉を上げる。


「理由は?」


「今の案だと、既存顧客向けです。新規層は取りにいけません」


資料をめくりながら、数字を示す。


言葉に迷いがない。


正直、少し驚いた。


強い。


可愛いとか以前に、ちゃんと仕事してる。


会議が終わる。


席に戻る途中、思わず声をかけた。


「さっきの、よかった」


彼女は足を止めた。


「ありがとうございます」


淡々としている。


俺は続けた。


「なんか、漫画のヒロインみたいだった」


言った瞬間、やばいと思った。


彼女の表情が変わる。


「ヒロイン扱い、やめてもらっていいですか」


冷たいわけじゃない。


でも線を引かれた。


「え」


「私、物語の中の女の子じゃないです」


まっすぐな目。


逃げられない。


「仕事してるだけです」


その通りだ。


俺は勝手に重ねていた。


ぶつかった偶然。


少女漫画。


同じ部署。


全部つなげて、勝手に物語にしていた。


彼女はそれを、見抜いてる。


「すみません」


俺は素直に言った。


彼女は少しだけ表情を緩めた。


「先輩、恋愛したいなら現実見た方がいいですよ」


また刺さる。


でも今回は、少しだけ優しい。


「現実って?」


聞き返すと、彼女は小さく笑った。


「ちゃんと相手を見ることです」


そう言って席に戻っていった。


俺はその背中を見ながら思う。


ヒロインじゃない。


物語の装置でもない。


ただの後輩。


ただの同僚。


それでも。


目が離せない。


ときめき不足の俺にとって、彼女は確かに特別だ。


でもそれは、俺の中だけの話なのかもしれない。


パソコンの画面を開く。


仕事のタスクが並ぶ。


恋より先に、締切がある。


現実は容赦ない。


それでも。


彼女の言葉が、頭の中で何度もリピートしていた。


ちゃんと相手を見ること。


それって、どうやるんだよ。


追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

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ドタバタ?コメディです。

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