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ときめき不足の俺が本物のヒロインに出会うまで  作者: 音無響一


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第2話 ヒロインは同じ会社にいる

最悪だ。


電車の中で目が合ったまま、時間が止まった気がした。


彼女のスマホ。

俺のスマホ。

どっちも「社内チャット 企画部」。


彼女が先に口を開いた。


「……企画部の方ですか」


声は落ち着いてる。

怒ってるわけでもない。

でも、昨日ぶつかった時と同じ目。


逃げ場がない。


「はい」


短い返事しか出ない。


「私もです」


終わった。


少女漫画どころじゃない。

同じ会社。同じ部署。


電車が駅に着く。


ドアが開く。


彼女は立ち上がる。


俺もつられて立つ。


人の流れに押されて、自然と並んで歩く形になった。


なんだこの距離。


朝の会社前で男女が並んで歩く。

絵だけ見れば完全に始まりだ。


でも空気は違う。


「昨日はすみませんでした」


俺が言うと、彼女は小さく息を吐いた。


「いえ。怪我はなかったので」


事務的。


あの漫画は?とか聞ける空気じゃない。


ビルのエントランスに入る。


社員証をかざす。


エレベーター前で並ぶ。


沈黙。


これが現実だ。


偶然の再会でも、BGMは流れない。


エレベーターが来る。


箱の中で二人きりになった。


近い。


昨日より近い。


でも何も起きない。


彼女がちらっと俺を見る。


「スマホ見ながら歩くの、やめた方がいいですよ」


また刺さる。


「……はい」


素直に返すしかない。


「あと」


彼女は少しだけ間を置いた。


「少女漫画は、ぶつかった後に恋が始まるための装置じゃないです」


心を読まれたみたいで固まる。


なんで分かるんだ。


顔に出てたのか。


「そういう顔してました」


追い打ち。


エレベーターが止まる。


ドアが開く。


彼女は先に降りた。


「仕事ではちゃんとしてくださいね、先輩」


先輩。


つまり俺の方が社歴は上。


でも立場は完全に下。


彼女は振り返らずに歩いていった。


俺はその背中を見ながら思った。


ヒロインはいた。


でも全然甘くない。


むしろ現実の塊だ。


それでも。


同じ部署なら、毎日会う。


偶然じゃない。


逃げられない。


少女漫画みたいな恋がしたい。


その相手が、現実主義のヒロインとか。


これは運命なのか。


それとも俺の勘違いなのか。


企画部のドアの前で、深呼吸した。


恋より先に、仕事が始まる。


追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

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ドタバタ?コメディです。

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