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学園祭実行委員

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朝は苦手だ。昨日初回の公演があったから、尚更眠い。日直の号令の声が遠くに聞こえた。

「きりーつ!れい!」

「おはようございます。」

「ひらりちゃん、起きて。ホームルーム始まったよ?」

羽多ちゃんが起こしてくれた。


「そろそろ、学園祭の準備が始まります。誰か、実行委員やりたい人~!相田~!」

意識がはっきりする前に、先生に呼ばれた。私は慌てて起きて手を挙げた。

「はい!大丈夫です!」

「じゃ、やれるな。」

「え?何を?」

我に帰ると、現状の把握ができなかった。


「女子から立候補出たぞ~男子からはいないか~?」

「え?何?何の事?」

「ひらりちゃん、学園祭実行委員に立候補してるよ?」

羽多ちゃんが小声で教えてくれた。

「先生!無理です!私演劇部の出し物あるし、美術部でも出展するんです!これ以上は無理です!」

「この忙しそうな相田を手伝える奴~」

先生はスルーして話を進めた。

春壱が手を挙げようとしていた。でも、その前に晴君が手を挙げた。

「さすが白石、優しいな~相田、白石に協力してもらえよ~」

「ええっ!決定!?」

「相田、実行委員会出てクラスで報告するだけだ。それくらいやれるだろ。クラスの出し物はクラス委員の仕事だ。委員長~」

委員長が出て来て、出し物が決まる。あっという間に、学園祭実行委員になってしまった。


そして、その日のお昼休み。公演中はお昼お休みも暇がない。晴君が来る前に、非常階段前で昨日の映像をビデオカメラの小さな画面で見ていた。

「ひらりちゃん早いね。」

私は公演の映像に夢中になっていて、晴君の声に気がつかなかった。

「ダメだ。体が内側向いてる。音楽に台詞が引っ張られ過ぎてる。ここ動きが鈍い。」

「何見てるの?」

「あ、晴君。昨日の公演を録画した映像だよ。」

私はビデオカメラの画面を閉めて、鞄にしまった。

「ふーん。自分の演技見てどうするの?」

「観客から自分がどう見えてるのかチェックして、自分のダメな所直すの。」

「ダメならダメって言われるよね?言われてないならいいんじゃないの?」


私は出してあったお弁当の包みを開けた。

「それだけじゃ足りない。私はもっともっと上手くなりたい。舞台で勝ちたい。」

「舞台で勝つって誰と勝負してるの?」

「観客。観客を征服するにはケチのつけられないくらいの完璧を目指さないと……それが舞台での戦い。」

晴君は少し間を置いて、ゆっくり言った。

「ひらりちゃん、やっぱり辞めてよ。演劇部。」

「それは無理だよ。」

何言ってるんだろう?どうしちゃったの?

「じゃあ、僕は舞台に嫉妬しなきゃいけなくなるね。まぁ、僕も剣道部で忙しくなるけど。」

「え?試合?」

「先輩達の引退試合だよ。」

演劇部の引退公演が終わったら、剣道部の引退試合があるんだ……。

「そうなんだ。応援に行くね!」

「ねえ、ひらりちゃん、もし、引退試合、斎藤部長に勝てたら、演劇部を辞めてよ。」

「え?やだよ~!だってそれ、私に何のメリットないじゃん。」

「じゃあ……今日の公演潰す。」

は?今何て?


「ちょっと……晴君?」

「僕は本気だよ。美術部の方は辞めろとは言わない。でも、演劇部はひらりちゃんが犠牲にしてるものが多いと思う。」

「犠牲?そんなの…………」

「犠牲はないと思ってる?僕、珍しく譲歩してる方だと思うけど?」

譲歩してる?どこが?私はその言葉を飲み込んだ。

「うん……わかったから……みんなには迷惑かけたくないから……お願い。」


大丈夫。晴君お得意の、いつものただの脅しだ。そこまでやるとは思えない。


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