オシャレなカフェ
映画を見終わると、晴君と私は街をぶらぶら歩き始めた。
「ごめんね。泣いちゃって。」
「大丈夫?怖かった?」
色々考えているうちにいつの間にか涙が出てた。
「うんん。なんか、悲しくて」
「え?悲しくなるところあった?」
あ、怖くて泣いたって言っておけばよかった……。どうしよう……どうごまかそう……。
「え、あ、ラスト、幽霊の気持ち考えたら悲しくて……途中までこれ、ギャグじゃん!って思ってたんだけど、理由がわかると納得っていうか……」
苦しい。何て苦しい言い訳……。
「はぁ……まぁ、なんか、よくわからない映画だったね。」
「え?あ、でも面白かったよ!」
取り繕うように面白いと言ったのがバレバレだった。
「あ、うん、面白かったは面白かったけど……あ、この後どうする?お茶でもしてく?」
「…………え………あ、うん。」
「じゃ、こっち。」
晴君の後について行くと、植物の沢山飾ってあるオシャレなカフェに着く。
「うわぁ~オシャレなカフェ~!」
「でしょ?入ろう。」
「え……う、うん。」
二人は案内され、窓際の席に案内される。
「うわぁ……緊張するぅ……!こんなにオシャレな所、私なんかが来ていいの?みんなリア充感振り撒きすぎじゃない?場違い感半端ない」
「ひらりちゃん、心の声が駄々漏れだよ?」
「あ、ごめん。」
二人はそれぞれ違う飲み物を注文する。
「ひらりちゃんさ、黙ってれば可愛いのになぁ……。喋るとあれだね。不思議ちゃんが出ちゃうんだね。」
「不思議ちゃん……?天然とは言われた事はあるけど……」
そう言われたら、これ以上何も話せない。私は少し黙り込む。
「どうしたの?」
「これ以上喋るとボロが出るから……。」
何だか…………息苦しい。
「ボロ出していいからさ、話してよ。ひらりちゃんの事。」
「私の事………?」
私の事って何だろう……何話していいかわからない……。そこへ、飲み物が運ばれてくる。コーヒーと、綺麗な色をしたオレンジジュースだ。
「あのさ、本当にひらりちゃんは人を好きになった事ないの?」
私が黙ってると、晴君が話かけてくれた。
「ない………。かな。ハル君はさ、恋ってしたことある?」
私は逆に聞き返した。
「恋?恋愛?今してるよ?」
「そうじゃなくて……」
ごっこの話じゃなくて…………
「何?過去の彼女の事聞きたいの?」
「うーん。そうゆう事でもないんだけど……」
そっか、そうゆう質問に聞こえるんだ。
「人を好きになるってどんな気持ち?なのかな?って思って。」
「どんな気持ち……?」
晴君は窓の方を見て少し考えた。
「具体的に表すなら?楽しい?嬉しい?」
急に晴君の顔が変わった。いつも笑顔の晴君が、顔を歪めて、辛そうな顔……。しばらくの沈黙の後、晴君は小さな声でこう言った。
「…………つらい。かな……。」
………え………?つらい………?
「あははは。冗談だよ!つらい事ならみんなやらないでしょ?」
晴はまた笑顔に戻った。その笑顔に少しホッとした。
「確かに……私、正直人を好きになるって全然わからないんだけど……」
「あははは。そのうちわかるようになるよ。好きな人がいて良かったなって。」
そーなの?と思いながらふと、窓の外を見ると、カフェから、春壱に似た人が向かいの店へ入って行くのが見えた。
「あ……。」
「どうしたの?やっぱり先輩見つけた?」
何故か春壱だとは言えなかった。
「うんん。向かい側のお店って何のお店なのかな?」
「さぁ?何のお店なんだろうね?気になる?」
「うん……。」
何のお店かは何となくわかる。でも……私がずっと向かい側の店を見ていると、晴君が立ち上がった。
「行ってみようか。」
「え?い、いいよ別に。」
この前の事があってから一度も話してない。今ここで、春壱には会いたくない……。
「ここ、出よう。」
そう言って晴君は支払いや店を出る支度をしていると、春壱が店から出て来る。
「あ、やっぱり壱だ。」
晴君も気づいてたんだ…………。
「え?あ、本当だ。あの後ろ姿は多分春壱だね。」
「行こう!」
晴君は私の手を引いて店を出る。
「あ、ジュースのお金……」
「そんなのいいから。」




