厄介者の名前
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新入生歓迎公演もあと残り1日。今日は公演の最終日だ。あれから、私はクラスに居やすくなった。少し話す友達もできた。それはなんだか……恥ずかしくもあり……。でも、凄く嬉しい。ずっとそんな余裕なんてなかった。一年間舞台の事だけ考えて……舞台の事と、色々な事と…………今は止めよう。今は、幸せだから。
「おはよう。ひらりちゃん!」
「おはよう。晴君。」
晴君とは挨拶を交わすようになった。
「昨日はお疲れ様。」
「相田さんおはよう~!」
クラスの女子とも、普通に挨拶できる。
「おはよ~!昨日はありがとうね。」
「昨日は楽しかった!今日も知り合いの一年生達誘って見に行くよ!」
まただ!また楽しかったって言われた!嬉しい!
「本当に?ありがと~!」
あ、あの人だ。クラスの女子の後ろに、昨日のあの人の姿が見えた。私は追いかけて、話しかける。
「あの、昨日アンケートありがとうね。すごく参考になったよ。ありがとう。」
「ああ。そう。」
相変わらず、素っ気ない返事……。
「おはよ~!壱!」
「そういえば……どうして須藤君ってどうして壱なの?」
あれ?あの人、壱って名前だっけ?
「あーそれはね、僕が晴喜でハルって呼ばれてるからだよ~!」
「壱も春壱だから紛らわしいくなるから壱なんだよ~」
晴君とクラスの女子が説明してくれた。
「そうなんだ。春壱……って、春一番みたいだね。」
「…………。」
何でだろう。その場の雰囲気が一気に凍った音がした。
「あの、ひらりちゃん、壱は自分の名前、コンプレックスなんだよ?」
コンプレックス?どうして?
「そうなんだ……。せっかくいい名前なのに。」
「お前、自分が変な名前だからって人の名前いじるなよな!」
え…………?どうして?いじったつもりなんかない!
「いじってないよ!いい名前って思っただけだよ!」
弁明も虚しく、彼は怒って教室を出て言ってしまった。
「…………。」
残されたクラスの女子がボソッと一言言った。
「壱、可哀想……」
みんなは白けてしまい、それぞれの席に戻って行った。やってしまった…………。あんなにいい雰囲気だったのに……私がぶち壊した……。
「なんだか、微妙な雰囲気になっちゃったね。壱のやつ、春一番みたいな強い風は厄介者につける名前だ!って昔からいじめられてたから、名前の事言われるのが嫌なんだよ。」
「え…………?厄介者?」
どうして?春一番は厄介じゃないよね?厄介者につける名前じゃないよね?納得いかない……。
「まあ、壱も本当の事とか言い過ぎる所あるから、厄介者とか言う奴もいるんだよ。」
「言い過ぎ?私は……純粋に凄いと思ったけど……。」
人には解釈の違いはあるとは思うけど、言の葉イメージの違いってこんなにもあるんだ……。春一番……春壱。私には素敵な名前だと思えるのに…………。




