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さらなるバブリーな買い物

10.さらなるバブリーな買い物

「ふうむ・・・そこまでの装備を手に入れたからには、お主たちは初期クエストなどこなさずに次の目的地へ向かうつもりだったのじゃろ?・・・いいだろう・・・当面会えなくなってしまうかもしれぬが、中央の奴らが基幹プログラムを書き換えられないようにする策を思いついた。


 それを実施することが出来れば・・・夜でも昼でも経験値を保てるはずだ・・・更に手に入れた最高級の武具があれば、中央の奴らに十二分に対抗できるずじゃ。


 だが・・・チャンスは恐らく一度切りだし・・・今度こそ、中央の奴らとは完全に敵対関係となってしまうじゃろう。

 中央の奴らは必死で、お主たちの冒険の旅の邪魔と、お主たちの抹殺を画策してくることじゃろうな・・・そうなっても構わない覚悟はあるか?」


 占い巨乳美女は俺達をそばに呼び寄せると、小声で耳打ちするように話しはじめた・・・ここに来る時にカメラもインカムも外してきているので、情報が漏れる心配はないはずなのだが・・・。


 以前はこんなに顔を近づけてこられたら心臓が破裂しそうになっていたところだろうが、中身の正体が分ったので多少は免疫がついてきた・・・が、しかし・・・その内容は驚愕に値するものだった・・・。

 いいのか?そんなことを冒険者である俺たちが行なっても・・・魔物扱いにされてしまうような恐れはないよね・・・?



「じゃあ占い師さんに言われたことを成し遂げるために必要な道具を購入しに行きましょう・・・ついでに確認しておきたいこともありますからね・・・。」


 占い部屋を出てからすぐに、俺達はコスチューム屋へ向かった。コスチューム屋であれば、各職業で必要なアイテムが揃っているので、占い巨乳美女が要求するアイテムもあるのではないかという目論見からだ・・・。


「ここにVIPルームはあるかな?」

 コスチューム屋につくなり源五郎が店員に、このところの決まり文句を告げる・・・まさか・・・この船の中にもそんなものが存在するとでもいうのか・・・?


「はっ・・・はい・・・こちらになります・・・。」


 するとコスチューム屋の店員は、すぐにカウンターの天板を跳ね上げ、自分の背後の壁を指さした・・・そこには幅も高さも1mほどの正方形の木製の扉が・・・こんなところに隠し扉があったとは・・・普段はカウンターと受付嬢の陰になり、正面からは全く見えなかったところだ・・・。


「よっと・・・ほう・・・中は結構広めだね・・・?でも・・・販売しているグッズはどこかな?」


 腰をかがめて中へ入ると、そこは10畳ほどの部屋のようだが、部屋の4隅に大きなテーブルと長椅子があるだけで、肝心の売り物のグッズは陳列されてはいないようだ。


「はい・・・様々な職業に関連するグッズ販売ですので、陳列するスペースを確保できません。そのためカタログをご覧になっていただき必要アイテムをご指定いただければ、すぐにご用意するシステムとなっております。


 皆様方の冒険をスムーズに進めることは、中央からも誠意をもって協力するよう命じられております手前、どのようなものでもご用意いたしますので、カタログ記載がないものでも必要であれば何なりとご用命ください。」


 入り口近くの席に源五郎と2人で座り店員に尋ねると、地味な事務服ではあるのだが目の大きな美人店員は、飲み物のカップをテーブルに並べながら、笑顔でうれしいことを言ってくれる・・・うーむ・・・やはり中央の奴らは俺たちがお色気路線に賛同していると考えている様子だな・・・しめしめ・・・。


「そうですか・・・でも・・・今のところ、大体のものはこのカタログ内で揃いそうですよ・・・まずはこの・・・高性能爆薬・・・これを・・・そうだな・・・10セット程お願いいたします。」


 テーブルの上に乗せられたカタログのページを繰りながら、源五郎がとんでもないことを言い出す・・・ばっ・・・そんなものを購入すると、中央の奴らに警戒されてしまうだろ?こそっと・・・内密に申し込むとかできないのか・・・?

 折角中央の奴らが油断しているというのに・・・ぶち壊しだ・・・。


 と言っても中央の奴らの指示には逆らえない売店スタッフたちだから・・・内密なんてことはどのみち無理なのか・・・別次元のこの星の住民たちのクレームがなかったなら、この子だってかなりきわどい服装で俺たちの応対を強いられていたはずなのだからな・・・好みのタイプだけに正直ちょっぴり残念な気持ちがないというわけでもない・・・。


「この爆薬があれば・・・ダンジョンに仕掛けられた罠にはまっても、頑丈な扉や岩盤なども破壊して出てくることも可能ですよね?一度閉じ込められそうになってから、どうにもそのことがトラウマになっているのですよ・・・ねっ?リーダー?」


 源五郎が笑顔で話しながら、俺の方へ振り返る。


「ああそうだ・・・あの時のことが恐ろしくて、何週間も先へ進むことが出来なかったからな・・・あのようなことが2度と起きないよう、今でも慎重にダンジョンの先を見据えながら進むことにしている。

 この爆薬があれば、ダンジョンの壁も破壊できるという事なのかい?」


 そうか・・・ダンジョンの罠対策ということにすればいいわけだな・・・?確かに閉じ込められることが怖くて、1時期先へ進めなかったのは事実だからな・・・中央の奴らだって、あの時の俺の体たらくをテレビ中継で見ていて承知しているはずだ。


「もちろんです・・・この回のストーリーではダンジョンに罠が仕掛けられている箇所がいくつかありますが、そのような箇所でもこの高性能爆薬を使用すれば安全にかつ、確実に破壊できます。


 1セット10個の爆薬入りで、それぞれリモートコントロールで遠くからでも起爆できます。効果範囲は1個当たり直径1mとなっておりますから、1m以上離れてさえいれば破壊力は強烈ですが、冒険者様は無傷でいられます。


 さらにより大きな効果を得たい場合は、爆薬を2個仕掛けますと効果範囲は直径2mとなり、3個では3mとどんどん大きくなっていきます。

 ですが・・・お値段も少々・・・1セット1万円となっておりますから10セットともなりますと・・・。」


 美人店員は効果範囲と使い方を淡々と話し、価格のことも教えてくれた・・・ううむ・・・1セット10個入りと言っていたから、1回千円ということだな・・・その性能から考えると千円は安いのだろうが・・・実体のないバーチャルゲームということを考えると・・・。


「ああ、構いませんよ・・・10セットお願いします。」

 ところが源五郎は平然と答える。


「毎度ありがとうございます。


 このアイテムは1セット10個でアイテム1個とカウントされて冒険者の袋に保存可能です。リモートボタンはこの星中で有効ですから、くれぐれも取り扱いには気を付けてくださいね・・・どこかの宿にそのまま置き忘れていて、後で起爆するというようなことがないよう・・・冒険者の袋に入れている限り起爆はできないので安全ですが・・・。」


 美人店員が笑顔で恐ろしいことを口にする・・・そうか・・・4人だから一人2セットか3セットずつ持てばいいわけだな・・・


「大丈夫です・・・十二分に注意して取り扱います・・・続いて・・・移動地図ですか?・・・好きな場所へ瞬間移動となっていますが、これはこの星中ならどこでも好きなところへ行けるということでしょうかね?」


 続いて源五郎がカタログの別のページを指しながら店員に尋ねる・・・そうか・・・中央の奴らの瞬間移動のアイテムだな?


「はいそうです・・・移動と帰還がセットになっておりまして、希望の移動先を地図上にマークして移動呪文を唱えれば、好きなところへ一緒にいるグループメンバー全員が瞬間的に移動します。用事を終えて帰還呪文を唱えると、元居た場所へ戻ることが可能です。


 移動先から別の移動先を指定すれば、さらに移動も可能ですが、戻るときには一つずつ経由して戻る必要性がありますし、それぞれ別の移動地図が必要となります。


 但し、移動先にとどまっていられる期間は1日と限定されておりまして、24時間経過した時点で帰還呪文を唱えなくても強制的に元居た場所へ戻されてしまいます・・・つまり、あくまでも一時的な移動に限られ、冒険を続ける際の移動には使用することができません。


 途中で忘れ物に気が付いたとか、緊急で誰かに会いたいとか・・・そういった場面に役立つアイテムです。」


 美人店員が移動地図について説明してくれる・・・そうか・・・行きっぱなしとは出来ないということか・・・しかし、それにしても高い・・・なんと1地図10万円・・・中央の奴らは操作すればあたかも課金されたように、こちらで入力できると五郎じいさんがいっていたからな・・・一般人に使わせるつもりはないということなのだろう。


「うーん・・・魔王城へ一気に行ってしまおうかとも考えましたが・・・ストーリーを進めずに魔王や魔神に会えるとは期待できませんから、やはり地道に手順を踏んで魔王城まで進むしかなさそうですね・・・でもまあ・・・念のために・・・10枚ほどお願いできますか?」


「ぶほっ・・・。」


 さすがVIPルームと言おうか・・・香り高いコーヒーが出てきたので思わず口を付けようとしたのだが、飲む間もなく吹き出してしまった・・・以前なら口元へもっていっただけで無くなってしまう飲み物も、今ではじっくりと味わうことも可能なのだが、時と場合によるな・・・。


「はっ・・・はい・・・ごっ・・・合計百万円となってしまいますが・・・よっ・・・よろしいのでしょうか?」


「もちろんですよ・・・」

 源五郎は、表情を変えずに平然と答える。


「はっ・・・はあ・・・その・・・えーと・・・そっ・・・少々お待ちください・・・。」

『バタバタバタッ・・・バタンッ』美人店員は、慌てて部屋を出て行ってしまった。


 恐らく中央の奴らに問い合わせるのだろう・・・そりゃそうだ・・・奴らだけが使用できるお宝アイテムのつもりだっただろうからな・・・自分たちも使用するには裏アイテムとしてでも存在させるしかなく、そうなれば何らかの形で冒険者も入手できる可能性がでてきてしまうのだ。


 課金システムにしてしまえば、一方通行の俺達では冒険に参加することどころか、便利アイテムも決して入手できないはずだったのが、源五郎のおかげでクリアできてしまった・・・というか、課金システムのおかげで、こういったプレミアグッズの裏ルートでの販売を源五郎が思い当たったということだろうな・・・。


 しかもバブリーな入金で、ほとんどの便利グッズを十分すぎる数だけ入手可能だ。


 これは奴らの大きな誤算だったといえるだろう・・・だが・・・ここで喜んではいられない・・・警戒を強められては元も子もないのだ・・・。


「源五郎・・・恐らく奴らはまたまたお色気作戦で攻めてこようとするだろう。前にも言ったが、それを拒否してはいけない・・・いいか、受け入れる必要性はないが、うまくお茶を濁すんだ・・・。


 それよりも・・・あんなの何に使うんだ?移動出来ても、すぐにまた戻ってこなければならないんだぞ・・・。」

 インカムをつけてはいないのだが、なるべく小声で源五郎に耳打ちをする。


「わかってますよ・・・どちらかというと買い物をして、特典としてついてくる女の子目当てと印象付ければいいわけですよね?リーダーに言われてなるほどと思いました・・・敵を油断させておく必要性がありますからね。


 だから・・・あまり冒険の役に立ちそうもなくて、しかも高価なものをダミーとして購入したのです。一見便利なように見えて、あまり使い勝手は良さそうもないのに高価ですからね・・・。」

 ああそうか・・・さすが源五郎・・・呑み込みが早い・・・。


『ガチャッ』「おっ・・・お客様・・・。」

 ドアが開き、ひげを蓄えた中年オヤジが入って来た・・・先ほどの美人店員は一緒ではない様子だ。


「お客様がお申し込みになられたグッズはですね・・・冒険に直接寄与するアイテムではないため対象外となっておりましたが、これらもまた冒険アイテムとしてカウントすることにしまして・・・10万円ごとに女の子を1年間専属で付けさせていただくことになりました。


 それで・・・よろしでしょうか?」

 中年オヤジは揉み手をしながら、腰を曲げ低い姿勢で源五郎の表情をうかがい始める。


「ああ・・・そうですか・・・対象ではなかったものまで対象に・・・それはありがたいです・・・なにせ、高い買い物をすると好きな子を長期間専属化できるということが楽しみだったので・・・まだ女の子は決められていませんが・・・移動地図があれば好きな土地へ出向いて女の子を吟味できるわけですよね?


 あの時に出会った子がよかった・・・なんて言うことになったら、いちいち賢者のトンネルや船などを使って戻らなくても、一瞬で行くことが出来るわけですよね?しかもすぐに戻ってこられる・・・もちろん連れの女の子も一緒に戻ってこられますよね?


 冒険の支障が出ないよう配慮しても、じっくりと吟味して女の子を選ぶことが出来るわけです。

 そうした計画の中での別な移動手段として・・・じゃあ、この気球というのは対象でしょうか?」


 源五郎が同じページの下段を指さす。移動手段と書かれたカタログのページのようだ・・・真面目に少しでも時短アイテムがないか、探っているのだろうな・・・。


「気球は旅人用のプレミアアイテムでございまして・・・10人乗りで高い山々でも越えられますし、陸地であればこの星中どこへでも移動可能です・・・ただし、建物の中とかダンジョンには入れませんし、街の中へ直接降りることもできません。移動は10キロ単位で可能ですし、気球から降りたらアイテムとして冒険者の袋に収納可能となります。


 気球に乗っている間は魔物たちの襲撃もありませんので、時速50キロの高速移動が可能と、大変お得なアイテムです。


 それに・・・こちらのアイテムに関しましては、まぎれもなく冒険アイテムとしてカウントされますから、グループメンバー一人ずつに若い女の子若しくは若い男の子が5年間同行いたします。さらに・・・専属コックが材料込みでこれまた5年間同行いたします。」


 コスチューム屋のおやじなのか、これまで見たことがない中年オヤジは、上機嫌で説明してくれる。


「へえ・・・じゃあ、僕たちチームメンバーとお気に入りの女の子や男の子たちにさらにコックまでもが一緒に空の旅を楽しめるというわけですね?高い空の上から雄大な景色を眺めることが出来るのですね?」


「それはもう・・・快適な空の旅をお約束いたします・・・」

 中年オヤジは揉み手の速度を速めながら、こぼれんばかりの笑みを見せる。


「じゃあ、それください。」

 オヤジの説明が終わるか終わらないかのタイミングで、すぐに源五郎が注文した。


 ええーっ?即決?・・・待て待て・・・値段は・・・何せメンバー全員にあてがう女の子と男の子が5年間だぞ・・・すぐに源五郎が指し示しているカタログの価格に目をやる・・・。


「ぶほっ・・・おいっ・・・源五郎・・・いくら何でも・・・。」

 気球の値段は・・・なんと驚きの2百万円・・・これはもう・・・ネットゲームの範疇を超えている・・・。


「大丈夫ですよ・・・振り込んだ金額からすれば、まだまだ十分に買い物ができます。なにせ、一度振り込んだお金は戻ってくることはないのですからね、使い切らなければ損ですよ・・・。」


 源五郎が小声ではあるが、笑顔で明るく答える・・・なるほどそうか・・・振り込んだからには全額使い切るつもりだな?確かに・・・返金など望めそうもないからな・・・。それに課金の多さから、中央の奴らはいずれお色気に走るものと確信しているのだろうしな・・・。


 武器屋防具は最高のものをそろえてしまったから、今後買いそろえる必要性もないのだからな・・・出費するものと言えば、あとは便利グッズだけだ。


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