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【自称・第一分隊】
自称、第一分隊。こと、和川・不知火組は駅を離れて、歴史を感じさせる民家の並ぶ集落を捜索していた。
分かりやすく『鉄堂光泉の工房』とでも看板が出て入ればありがたいのが、幾多の魔術師が鉄堂光泉の腕を求めては望みを断たれているという話なのだから、下調べもなく見つけ出すのは困難を極めるだろう。
この町は刃物の町として名高い。刃物関係の工房は多く、度々目にも入って来る。ややこしいと憤る和川がまた、不知火にはやかましくて仕方ない。
民家に紛れているのか、田畑の中にポツンとあるのか、山奥にでも隠れているのか、何の手がかりもないというのは、そもそも探し始める段階にはなっていないことを示している。
「和川奈月。休憩だ。少し休もう」
「は? まだ三十分じゃねえか。軟弱者め!」
「何を言うかな君は。少し休んで、考えを巡らせようと言うんだ。闇雲に探すなんて時間と体力と魔力の無駄だ。やはりある程度は絞らないと、どうにもなりそうにない」
細かく刻んでお送りします。次回もよろしくお願いします!




