第五・五話 静岡・山梨警戒線
2022年6月16日(木)
PM 07:20
静岡県榛原郡川根本町
大井川鐵道井川線・奥泉駅付近
陸上自衛隊東部方面隊東部方面航空隊第4対戦車ヘリコプター隊(現在:中部方面隊第13旅団隷下)
AH-64D アパッチロングボウ機上
side 攻撃ヘリ操縦士・松前廣樹一等陸曹
『旅団司令部よりアーチャー3。長島ダム付近にて普通科部隊と敵部隊が交戦中、射撃支援要請有り。座標をこれより転送する』
「了解、旅団司令部。これよりアーチャー3は指定座標地点へ向かい普通科への射撃支援を開始する」
ついに来た。少し前まで敵は北部を目指すのみで静岡は見向きもしていなかったが、ついにこちらにも牙を向け始めたようだ。
「稜平、聞いてたな? これから俺たちは普通科の支援に向かう。射撃の準備をしとけ」
「了解。射撃準備を開始します」
直後、司令部から目標座標のデータが転送されてきた。
ここから北北東に2キロメートル前後。地図と照合するとどうやら井川線長島ダム駅付近らしい。
俺は操縦桿を右に倒して方向転換を図る。
しかし、それは再度入った旅団司令部からの連絡により中断されることになる。
『旅団司令部よりアーチャー3、射撃支援命令を中止する。空自のF-35BJが航空支援を行う事になった。アーチャー3は現在位置より南方の川根高校に設置された臨時補給所にて待機、燃料に余裕が無ければ燃料補給を申請せよ』
「アーチャー3了解。臨時補給所に向かう」
どうやら俺の出番はまだのようだった。
俺はヘリを180度旋回させ、臨時補給所として指定されたポイントへと機体を前進させた。
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