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第四十七話 病室の中で

更新が遅れてしまい申し訳ございません。

少々用事が立て込んでおりまして、更に小規模ながらスランプも重なり今後も更新が遅れてしまうことが多々あると予想されますが、どうかご了承願います。


2022年8月29日(月)

11:30(ヒトヒトサンマル)

大阪府大阪狭山市大野東

近畿中央大学医学部付属病院(現・国連統合陸軍日本西部方面第三病院)

side 永崎裕哉〈一等陸士〉



 夜が明けて尚、俺は信じることが出来ないでいた。


 名古屋陥落。


 それはあり得ないことだ。


 名古屋は関東防衛線と並ぶ一大戦力を抱える『要塞都市』なのだ。

 機甲師団5個、歩兵師団11個、後方支援旅団4個に砲兵師団が3個。

 スレッジハンマーの直後で師団ごとの兵数こそ減少していたものの、十数万規模の戦力を破る事はAILSであったとしてもそう簡単な事では無い。


 AILSは防御力こそ高いが、個々の戦闘能力自体は決して高いとは言えないのだ。

 それはAILSの攻勢からある種易々と(隊員達が死んだことは間違いではないが、混乱が完全に収まってから死亡したのは槇田と櫻井を庇って死んだ安原中尉ただ一人だった)工場に逃げ延びる事が出来た俺たちのケースからも窺い知ることが出来る。


 圧倒的物量による圧殺こそがAILSの十八番(おはこ)であり、最大の戦略だ。

 初期こそ小規模のAILSに人類は圧倒されていたが、空戦種以外への対処法は既に確立されているし、最悪燃料気化爆弾で焼き払えば事は済む。


 名古屋を破る為には50万規模の大部隊を投入しなければ確実に撃退されるのだ。

 勿論AILSにそんなことが出来る筈が無い。


 現在のAILSの総戦力は600万から900万と見積もられている。

 しかしその殆どは(ネスト)の防衛部隊となっており、実際に戦線に投入できるのは70万が精々といった所だ。


 関東や東北にも部隊が展開している事を鑑みれば名古屋に投入可能な戦力など15万以下だろう。

 燃料気化爆弾を使う事も無く、機甲師団と砲兵師団の攻撃で沈黙させられるはずなのだ。


 それが何故?

 何故陥ちた?


 絶対にあり得ない。



「永崎さん、検温の時間ですよ」


 考えに耽っているうちに、眼前には看護師の姿があった。

 看護師は笑みを浮かべながら体温計を差し出してきた。

 俺は会釈して体温計を受け取り、脇に挟んだ。



 アラームが鳴ると同時に看護師に体温計を渡す。


 看護師はしばらく体温計を眺めた後、静かに口を開いた。


「……正常ですね。本日の午後から検査を行い、異常が確認されなければ一般病棟に移って頂いて結構です。家族以外の方とも面会できますよ」


 家族以外?

 昨日は瑠衣に会った筈だ。

 瑠衣は幼馴染だが家族ではなかった筈……、……ああ、そういうことか。

 少し考えてから俺は気付いた。

 瑠衣は今父さんが保護者になっているのだから俺の家族にもあたるということだろう。


「ただ、永崎さんはASDと診断されており、国防軍との契約に従い今後2週間は入院となりますが、どうかご了承下さい」


「……はい」


 こればかりは俺にはどうしようも出来ない問題だ。


「リハビリのスケジュールなどに関しては明日以降に決定、とさせて頂きます」


「はい」


「では、私は一度ステーションの方に戻りますが、もう少しすれば昼食が来ると思いますので、少々お待ち下さい」


「はい」


 看護師は一礼した後、病室から出て行った。


 ……一般病棟に移ってから誰かが見舞いに来たら名古屋陥落について話を聞かなければいけない。

 昨日は面会時間ぎりぎりだったせいでまともに話を聞くことが出来なかったからな。


 最初に何を質問するべきだろうか?

 


 俺は質問の内容を考えながら昼食が来るのを待つのだった……

誤字脱字や文法的におかしな表現の指摘、評価感想お待ちしております。

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