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side α 終焉の足音

今回は実質閑話です。それと、多少演出過多でした。

ひらがな文とかいかにも文字化けのような文が出てきますが、あくまでも演出の一環ですのでご了承願います。

最悪、前半分を読み飛ばして後半分だけ読んでも問題ないとは思います。

『20■■年11月■7日(■)』

『地■■邦首都・■■ア市・カ■■■軍病院』

side 永崎■哉〈統■陸軍中尉〉



 人類は、終わりかけていた。

 南北■メ■カ、オ■■トラ■ア、南極、アフリ■は陥落し、ユーラシアもここ、レジ■市を残すのみとなっていた。

 そう……人■は、負けたのだ。


 すでに地■人類で生き残っているのはこの市にいる130万人のみ。

 対して■手は、180億だ。

 もはや人■に■つ術など存■しない。


 全ては、あの時から始まったのだ。

 紀■半■東海■防■戦で、■衛線を崩■させたあの時から。

 敵の上陸によって名■屋は■滅、国連軍・国防軍主力も同時に大損害を受けた。


 その後、奴らの進攻は一気に加速した。

 2週間のう■に関西を壊滅に追いやり、更に1週■後には東京を陥落させた。

 日本が制圧されたのは2022年1■月■日の事だった。

 その途中の戦いで、■春と梨■、櫻井、槇田は戦死した。

 俺たちがその後に投入された■シア戦線で■嶋と■華、■樹を失った。


 そして。

 忘れもしない2022年12月25日・クリスマス。極寒のロシア・バイカル湖の(ほとり)にあるクルトュクの町。

 そこで俺は、一番護りたかったものを失ってしまった。

 幼馴染を、秋津瑠衣を、『■■種』によって、奪われたのだ。


 俺は戦った。

 向かってくる敵は手の届く範囲、弾薬と剣が許す限り、殺し続けた。


 気づいた時には既に中尉まで昇級し……人類は敗ぼくの道を歩んでいた。


 旧スイス・オーストリア国境近くのとうげに作られたこのレジア市は、人るい最後のとりでであり、地球にすむ全ての命の墓ひょうでもあった。

 130万も人がいるにもかかわらず、この街はいつでも静じゃくを保っている。


 そう、だれもが絶望し、あきらめているのだ。

 すでに人るいのめつ亡は確定している。

 だからもうこれ以上、自分の世界にふみこまないでくれ、と。


 しかし、みんなも命はおしいのか、敵出げんの知らせが入ればいっせいにじゅうを手に取り、防えいきょ点へとむかう。




 でも、もうおれには関係ない。



 そう、まったくかんけいない。



 おれはずっと病とうのいっしつで本をよんで、かんがえごとをしてるだけだ。

 もうおれに、たたかう力などのこっていない。

 せんせいからはせいしんしょうがいだと告げられた。


 ぴーてぃえすでぃーとかいうやつらしい。

 それで、せんせいはこう言ってくれたんだ。

『もうきみはたたかわなくていいんだよ』って。


 おれは、うれしかったんだ。

 もうるいは死んでしまったし、ともだちもいない。

 これいじょうたたかいつづけたらじぶんがどうなるのか分からなかった。


 これいじょうきずつきたくなかった。

 これいじょう、ひとのしぬところをみたくなかった。

 それを、せんせいはゆるしてくれたんだ。


 それで、いつもみんなのことをかんがえているんだ。

 りか、みはる、ごめんね。おれみたいなのがしょうたいちょうじゃなかったら、しななかったかもしれないのに。

 さくらい、まきた、ごめんね。せんぱいとかいっておいて、きみたちをさきにしなせちゃってごめんね。

 あきしま、ゆうか、かずき、ごめんね。おれがたよりなかったせいでしなせちゃって、ごめんね。

 るい、ごめんね。おれがるいをまもる、っていったのに、おれがまもられることになっちゃてごめんね。

 みんな、ごめんね。


『ぼくなんて、ほんとうはうまれてこなければよかったんだ』







「……や、……うや……、……」


 何かがおかしい。

 さっきから何かがおかしい。

 一体今、俺はどこで何をしていたんだ?

 あの、あまりにも綺麗で、寂しすぎる都市は一体、何なんだ?

 理解出来ない。

 あの豪雪地帯は一体どこなんだ?

 水平線が霞むほどの湖は、一体何なんだ?


 ……分からない。

 一体俺になにが起こった?

 あの哀しすぎる心は、一体誰のモノなんだ?


「……裕哉ッ!」


 そこで、俺は無理矢理意識を覚醒させられた。

 目を開けていても、視界が妙にぼやけている。

 なんとか分かるのは蛍光灯の眩い光と、誰かが俺のすぐ近くにいるということだけだった。

 でも、声からしてそれが誰であるかだけは容易に推測することができた。


「……瑠衣、か?……」


「……ッ! そうよ! 私よ! 裕哉、私の事分かる!?」


 一瞬息を飲むような音が聞こえ、次の瞬間には瑠衣の大声が俺の鼓膜に響いていた。


「……ああ。分かるよ。分からないわけないだろ?」


「……ああ、良かった……本当に、良かった……」


「……どうしたんだよ。……というより、ここ、どこだ?」


 俺は瑠衣に疑問を告げる。

 視界が改善されてくるに従って、この場所に全く見覚えがない事が分かってきたからだ。


「……ここは、近畿中央大学の医学部付属病院よ。今は統合軍が接収しているけど。裕哉、ヘリの中で倒れたでしょう? それで、一番近くにあった統合軍所属の総合病院に運び込んだ、ってワケ」


「……じゃ、じゃあ、今日は一体何日なんだ?」


 俺が瑠衣に反応を返したときの驚きぶりから考えると、確実に数日は経っていると見ていいだろう。


「8月28日。今日が、裕哉がこの病院に入院してからちょうど2週間目だったの」


 一瞬、頭が槌で殴られたような衝撃が走った。


「裕哉ね、ASD(急性ストレス障害)らしいわよ。意識を完全に失ってたから正確には違うらしいけど、とりあえず一過性の精神障害だってさ」


 いつの間にか2週間も経ってて、俺がASD?

 ……、……ああ、そういうことか。

 目の前で教官や小隊員たちが死んだショックが原因か。


「発作反応が出る危険性があるから目が覚めたとしてもあと2週間は入院だってさ。まあ、今のうちにゆっくり休んでおきなさい。きっと、忙しくなるだろうから」


「……どういう事だ?」


 心臓の鼓動がやけに早い。

 瑠衣の言葉には、妙な絶望感があったのだ。

 それが、もしもさっきの『夢』と同じだった場合なんて、考えたくもなかった。



「……名古屋が……陥落したわ」



 その予想が、裏切られることは無かった。



紀伊半島東海岸防衛戦

交戦勢力 国連統合軍・日本国防軍合同部隊 VS AILS

双方の死傷者

国連・日本合同軍 8145名(紀伊半島防衛部隊のみ)中1498名 被害中規模

AILS 9500体中7600体 被害甚大


国連・日本合同軍の作戦目的達成

誤字脱字や文法的におかしな表現の指摘、評価感想お待ちしております。

また、今回の演出について違和感や嫌悪感を持たれた方がおりましたら連絡をお願いします。

その数によりましては改訂も考えますのでよろしくお願い致します。

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