ヘッジファンドの常套手段【2】
それでは、日本資金収奪の歴史・・・
●利ざや稼ぎ
日本の低金利で銀行から金を借りて、金利の高いアメリカ(今は違うが・・・金利の高い、新興国の銀行でよい)で運用するだけで、莫大な利益が出る。資金が多ければ多いほど、利子がつく。
●空売り
ヘッジファンドが、株を持たずに、他人から高値の株を借りてきて、市場で売る。そして、株価を急落させてから、安値になった株を買い戻して、持ち主に返し、利ざやを稼ぐ・・・一時、日本の銀行株が、この手法で、大打撃を受けた。
●株価操作
日本の銀行が、株を買い続け、途方もない金額を株式市場に投じてきた。その資金は、国民の年金資金を預かった信託銀行。その株が暴落して、大蔵省・日銀の財政出動が、年金資金の崩壊を招いた。同時に外人投資家による、集中的な売り浴びせによって、銀行株が暴落、銀行の含み損が増大、ついには、国民の預金金利ゼロの時代に突入した。そのため、100兆円規模という税金投入で、金融界の救済が試みられたが、その金は、主にゼネコン救済に回され、不良債権処理には、ほとんど効果をもたらさなかった。
外人投資家による、株価操作は、銀行だけでなく、日本の産業界全体に及んだ。
株価暴落→企業倒産→倒産負債額激増→銀行の不良債権化→税金投入→失業率上昇
こうした、株価操作は、ウォール街の投機集団が、呼吸を合わせて行っており、ペンタゴンやホワイトハウスの連中とは、別個の悪徳集団を考えておいた方がいい。ただ、ゴールドマン・サックスや他ヘッジファンドの幹部が、ホワイトハウス入りしているように(ガイトナー財務長官、ロバート・ルービン、グリーンスパンなど・・・)、両者は、アンダーグランドでつながっている。
●アメリカ国債の売りつけ
日本政府は、円に対するドル価格が急落したため、輸出産業が苦しくならないよう(経団連の圧力)、短期国債を発行して、その資金で、ドル買いを行ってきた。一年間の介入総額は、20兆573億円にも達する。日本は、名目上80兆円を超える、ドルを保有している。ところが、外貨準備は、為替レートが変わると、あっという間に、何兆円も消し飛んでしまう。
日本は、こうした、アメリカ国債を売ることができない。売却しようとすると、アメリカ財務長官が、「日本は世界的な恐慌を起こしたいのか」と恫喝するので、ただ保有して、「評価益が出ている」というだけ。
●郵政民営化
ウォール街は、不正の嵐である。
日本には、そうした記事は入ってこない。わざとなのうどうなのか?
日本人がコツコツ貯めた郵便貯金は、2003年末に、230兆円。国民一人当たりで、約182万円。その他、簡易保険、2003年三月末で、194兆円。ざっと。400兆円。現在のところ、郵便貯金と簡易保険の使われ方は、国債の購入や、特殊法人、自治体などへの融資であり、国内の株式市場や海外の金融市場への投資は30兆円規模に抑えてられていた。
しかし、民営化されれば、郵便局が、民間銀行に生まれ変わり、郵便貯金を投資ながら、独立した経営を行うことになる。金融の悪魔ジョージ・ソロスの言葉どおり、「日本人は金融に向かない」とは、今まで説明してきたとおりである。日本は、株式市場、アメリカ国債を通じて、莫大な資金を、アメリカに給与してきた。民間の野村證券などは、投資のスペシャリストが何百人とそろえて、こうした投機をおこなっている。今まで、安閑としてきた日本郵政に、そのノウホウはないだろう。ハゲタカファンドに潰されることは、眼に見えている。