汝、清算せよ
拷問系を書いてみたかったというだけのお話です。
過激な描写モリモリにしていくつもりですので、苦手な方はご注意ください。
この首を絞めている瞬間が何よりも愛らしい。殺された妻を思い出す。
ただの男の首を絞めるているだけなのにも関わらず、私の心は人間味を取り戻している。
私の空虚な日々が洗われている。
にっくき愚王。さりとて力のあった武王。この厄介な男の首を幾度も絞めたかった。
妻がこの男によって首を絞められ殺された日を私はいつでも思い出す。
悪夢として、現実として何度も。
そして私はこの男を絞め殺し、ヴァンデッタ帝国の歴史上最後の拷問官としての任を終え、新たな支配者となるあのお方に殺される。
だがこの一時は思い出させてくれる。
私が真っ当に人であり妻を愛しともに過ごしていた幸せな日々を。
そして復讐のために正義の皮を被り続けていた地獄の日々を。
♢
私は帝国領の最西の田舎の土地で生まれた。
名は「ノーマン」。家名はなかった。
帝都からかなり離れているため、情報の伝達は遅く、文化も特有なものが生まれるほどの村に住んでいた。私はその村の村長の家で生まれた。
帝国には人間至上主義と言う稀代の武王が自身を神格化するために設けた信仰が存在した。
その中には人間より下等な存在であるとされた亜人種に対する差別的な内容も含まれていた。
ただ、辺境の田舎村であるこの地にそんな信仰は浸透せず、陰に潜んでいる亜人種も相当な数暮らしていた。
妻とはそんな田舎の村で出合った。4歳の時だ。
とてもじゃないが初対面の印象は良いものだったとは言えない。
彼女は肌着に布切れ一枚と大人用のローブを羽織って、村の帝都寄りの門の前で倒れているところを発見された。
酷い傷に、体中は痣だらけ、首輪、ぼさぼさの髪にひどい匂いだった。
猫系の亜人なのだろうが、耳には穴が、尻尾はすでに切り取られた跡があった。
村には医者は居ないが、簡易的な医療処置は道具で出来た。しかし、この村には村長宅にしか置いていないため、必然的に私の家にの目治療目的で転がり込んできた。
丸一日、寝っぱなしの状態だったが、どうにか目を覚ましたものの、警戒心が強く誰が近づいても最初は警戒していた。
だけど幼い私はそんな彼女につきっきりで毎日話しかけ、時には治療や食事の手伝いを行っていた。
村には同年代の子供は居なかったため、自分以外の子供を見るのが初めてだったからだろう。
他の何よりも興味関心を持って彼女と接していた。
そうしているうちに彼女は警戒心を解き、私の友人になってくれた。
治療も落ち着き傷と言う傷も治りきった際に彼女は両親を殺され、自分も奴隷になるところだったがどうにか逃げ伸びてきたという話をしてくれた。
村の人々はそれを聞いて境遇に同情し、村に住むように促してくれた。
そして私も唯一の同年代の友人である彼女と一緒に居たかったため、私の家に住むように説得を彼女や家族に行いどうにか快諾させることに成功した。
そうして彼女と18年の時を過ごし、村で結婚した。
思えばあの時が幸せの絶頂だったのだろう。
「だが、その後君たちがやってきて状況は一変し、村の人々は私を残して全滅。妻も帝国の奴隷に改めて落とされて、皇帝の手によって公開処刑された。それがことの顛末だ。私がここに今いる理由が分かるかい?子爵?」
私は過去の幸せの日々とその後の屈辱の日々を思い出しながら目の前の作業台に寝かせられている豚に向かって話しかけた。
「私の家は商人をやっていてね。名も売れてなければしがない商人だったんだけどそれが功を成してね、偶々、村の外の森で私一人で薬草を取りに行っていたんだよ。おかげで君たちの襲撃に合わなかったが、村の焼き後を見るのはそれはそれは堪えたよ。でもね、死にかけの住人が私の妻がさらわれたと言ってね。私は帝都まで向かったよ。幸いながら多少はいい家だったからね。路銀を稼ぎながら帝都についてね。そこで見た妻の最後には泣き崩れたよ。」
ノーマンは目の前に居る豚に優しく語りかけるように話す。一切の笑みを見せはしないものの声色は嬉しそうにされど金色に輝く目の奥には狂気を宿しながら語っている。
帝国の本城の地下にある拷問施設の中枢にある執務室。
その作業台には帝国の元伯爵である「ヒュース・ボレウス」が寝かせられている。
口元には猿轡がつけられ、手足は拘束されている。
酷く怯えている様子で滝汗を掻いている。
「でもね。私はその時思ったんだ。必ず私の愛する妻を殺した人間を自らの手で始末すると。そこから5年はかかってしまったが、帝都で家業を成し、一代限りの貴族になった。更には優秀さを買われてね。拷問官になれるまでに至ったよ。まあ後ろ暗いことはいくらかしたけどね。いつかは妻の死に関連するものをこの手で殺せると思ったから努力はしたさ。うん。後にも先にもあの皇帝に感謝するのはこれくらいしかないだろうね。」
作業台の周りには凄惨な血の跡が散らばっており、拷問用であろう器具もかなりの数が置かれている。
伯爵は彼の話よりも自身がどんなものを使われてしまうのかに恐怖し、逃れたい思いの一心でその場でもがいている。
「あ、でもあれだ。勘違いしないでくれよ。私は表向き拷問官と呼ばれているし、この施設は拷問室と呼称はされているが、知っての通り処刑場さ。残念ながらね。普段はただ淡々と仕事をこなしている者なんだけど、やっとお目当ての物が手に入って口数が多くなってしまっていてね。聞く余裕もないだろうけど暇つぶしに付き合ってくれたまえ。」
ただ淡々と身の回りの拷問器具を整えながらノーマンは語る。
そして、拘束されている伯爵の腕に点滴を指し、液体を注入する。
「ああ、殺すことは確定していても、あくまでも拷問だからね。個人的に聞きたいこともあるし私が作った自白剤を入れているんだ。大丈夫さ死にはしないとも。」
点滴を注入され始めた伯爵の体は痙攣し始め、体中の穴という穴からは何かしらの液体が漏れてきていた。
伯爵は更に抵抗しようと試みているが、拘束がしっかりしていて抜け出すことができない。
伯爵の顔には絶望が浮かんでいた。
「まあ死にはしないだけで副作用はあるんだけどね。もうあなたの猿轡も外して差し上げよう。ここからは私とあなたとの対話の時間だ。まあせいぜい昔話にでも花を咲かせようじゃないか。」
そう言ってノーマンは男の猿轡を外し、作業台の角度を変え、目の前に椅子を置いて伯爵と向かい合うように座った。
「噂には聞いていたが本当だったのだな!?『処刑人』のノーマン子爵とは!貴様が陛下に気に入られ、要職に就いたことは知っていた。よもや平民上がりの一代限りの子爵家風情が現人神であらせられる皇帝陛下より認められるとは思ってもみなかったがな。しかも貴様はあの穢れた村の生き残りだと申すではないか!?たかだか平民風情どころか亜人主義者の帝国民の面汚しが私にこんなことをしていいと思っているのか!?」
伯爵は薬によってその場にて思っていたことの全てを吐き出した。
既に体中が自身の体液まみれではあるものの、思ったことをただ吐き出す肉塊となった彼には自身を制御することも出来ない。まともには思考できるため、それだけでも拷問のようなものなのだが。
そしてあくまで自白のためのみに薬であるため、体の感覚も健在である。
自身から流れ出ている体液の流れに、それが滴るときに感じる肌のもどかしさ、体の内臓から訴えかけられる体調の不調と痛み。
地下であるせいなのか、口からも出てくる体液のせいなのかあるいはその両方のせいでの息苦しさも、体を動かすことが出来ない今は余計にそれらに感覚が集中してしまっている。
また、ノーマンの得体の知れなさにも恐怖を覚えてしまっている。
「良く喋りますな。伯爵。私は貴方の言う神に認められたのですよ。亜人主義の平民風情が、ね。
まあ、そんなことはどうでもいいんですよ。先ほども言ったでしょ。聞きたいことがあるって。
ああ!ご安心ください。あなたが今回このように処罰を受けることになった事件の内容等に関しては既に調べがついております。個人的な要件の方を行わせていただきますよ。」
「な、バカな!今回の密売には私だけではなく、他家の大貴族まで参入していたのだぞ!?それをいったいどうやって把握したというのだ!?」
わめく伯爵に対してノーマンはため息を吐いて言う。
「はあー。死にゆく貴方に行っても仕方がないでしょう。先ほどから自身の貴族としての立ち位置にかなり固執しているようですが、貴方はあくまで罪人。私が勝手に呼びやすいから伯爵と呼んでいるにすぎませんよ。元伯爵。それに。」
ノーマンは言葉を紡ぎながら一つの工具を取った。それはペンチ状のもので、本来ならコードや針金など人の手では千切ったり切り取ることの難しいものの処理をすることができる器具だ。
ノーマンは伯爵の指先にその器具の先端を持ってきて、人差し指の先端を爪事潰した。
「はーい。不敬罪~。さっきまで上から目線に語っていらっしゃいましたが、罪人であるあなたより私の方が地位は上だとも。頭が悪いことまで自白する薬ではないはずなのだがなあ。」
ああああああああ!っと声にもならない声でこらえようにも痛みが引かないため叫ぶことしかできない伯爵の声が地下に響き渡る。
ノーマンは楽しくなって、30秒間隔で最終的に20本分全てを潰した。
地下室に悲鳴がこだまし続けて30分が経過したころやっと声が静まった。
「いやー元気ですね伯爵。でもまだまだここからだとも。ただ声が出せなくなる前に私が危機た内容を聞くだけ聞いておこうか。なぜあの村を焼いたんだ?それに村人には男女問わず暴力の後があった。妻は奴隷から逃げ出してあの村に定着した、少なくとも罪はあるのであろう。なんにせよ軽い罪だがね。でもあの村に住んでいた人々は全く持って無関係ではないか?なぜだ。」
「わ、私は知らん!私の兵士たちが勝手に始めたのだ!そ、そうだ!私は止めたのだ!あの馬鹿どもを止められなくてすまなかった!私のせいではない!私のせいではないのだ!私を許せ!」
伯爵は自身の口から汚物をまき散らしながら必死の様相で嘆願するが。
「ヒトに者を頼む態度さえ知らないなんて。帝国は貴族教育をやり直すべきだな。まあ、上が上ですので仕方がないとは少々ばかり感じますが。まあ行ってしまえばどっちでもいいんですよ。それに始めただけで楽しんではいたのでしょう?」
「ああ!そうだ!亜人風情が私のような貴族を喜ばせられるのだ!光栄だろう!」
伯爵は自身の口から今この場で言ってはいけない発言が出たことに驚き、泣きながら首を全力で降っていた。
「そうですか。楽しかったのですね。まあどうせそんなモノだろうと分かってはいましたけど。それじゃあ彼らは今のままでは報われませんね。安心してください。しっかり殺しはします。私も楽しみながらね。まだまだ聞きたいこともありますし、憂さ晴らしと拷問どちらも張り切っていきましょう!」
そうやって張り切るノーマンの目は金色に輝いていた。
次回お仕置きパートです!
伯爵を応援してあげてね!ペンライトを振って。
ではまた次の拷問で。




