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(ぁ……そう、よね…追いかけてきても不思議はないわ…実際それを警戒していたし…。
どちらかと言えば遅いくらい…。
でも……叶う事なら朝まで気付かずにいて欲しかった…)
橋の中央部分で、ロズリンド側とネデルミス側が緊張を含んで対峙している。
一触即発の様相にも見えた。
追って来たのでなければ、こんな状況にはないって居ないだろう。
エリルシアは、ラフィラス達の方へ無意識に駆けだそうとしていた。しかし、それをプルガ王が後ろ手に制する。
「俺…我も行こう」
エリルシアも前のめりになっていた上体を戻した。
「鎮まれ!」
プルガが声を発する。
荒げた訳でもないのに、その声は空気を裂き、周囲から音を奪い去った。
「陛下…」
タッパーが少し不安そうに呟くが、プルガはタッパーの方へ顔を向ける事もなく命ずる。
「お前はそこで控えて居ろ。
それにしても…まさかロズリンドの王子が出向いてくるとはな…いや、それほどロズリンド側の怒りを買ったと言う事かもしれぬ…。
今回の件、全ての非は我が国側にある。
よもや身内に国の根幹を揺るがされる羽目になるとは、思ってもみなかったがな……誠心誠意謝罪し、向き合うしか道は無かろうて」
プルガはそこで言葉を一度切り、エリルシアへと視線を向けて目を細めた。
「異変の調査に出向いたはずであったのに、悪いな…もし良ければ王子達の怒りを鎮めるのを手伝ってくれれば助かる。
国境を無断で越えた事は、それで不問としよう」
エリルシアの頭の中は『?』で溢れかえる。
『怒り』だとか『非』だとか……それに『国を揺るがせる身内』とは…?
わからない事ばかりだが、プルガが進み始めたので慌てて後を追う。
ネデルミス側の検問所前で向き合っていた者達の視線が集まる。
ロズリンド側も、まさかこんな場所に王が出向いている等、思いもしない事だったに違いない。
「え…王陛下?」
「嘘だろ」
「隊長から何にも聞かされてないぞ」
ネデルミス側の兵士達も目を丸くして固まっている。
まさかとは思うが、お忍びで訪れたのだろうか?
疑問は浮かぶが、問い掛けられる雰囲気ではないので仕方ない。
「流石に全員とはいかぬが、代表数名は通してやれ」
「しかし」
「我が構わぬと言っておる」
「「ハッ」」
検問所で立ち塞がっていた兵士達が道を譲った。
ロズリンド側も、何やら顔を寄せ合っていたかと思うと、ラフィラスやレヴァンを始めとした計6名が進み出る。
その顔ぶれをみてエリルシアは、軽く額を押さえた。
(何がどうなってお父様まで居るのよ…)
増やされる一方の松明に、エリルシアの姿も浮かび上がった事で気が付いたのだろう。
「エリィ!!」
叫ぶティルナスをヨナスが宥めているようだ。
その様子を一瞥しつつ、プルガが口を開く。
「立ち話もなんであろう。
大したもてなしも出来ぬが、場を儲けよう」
「いえ、其方の令嬢を迎えに来ただけです。
お気遣いに感謝しますが、まずは彼女を…」
ラフィラスが淡々と答えた。
その横でレヴァンは眉間に皺を刻んでいる。
プルガが『どうする?』と言いたげに、視線を寄越した。
こうなっては腹を括るしかないだろう。
異変も黙って対処するつもりだったが運が悪いのか、自分に隠密能力がないだけかもしれないが……何にせよ囲まれてしまったのなら、話しておいた方が良いと考えた。
「いえ……話をさせて頂けると助かります、陛下」
「ふむ」
プルガは視線を戻し、肩を竦める。
「だ、そうだ」
「………わかりました」
兵士達の視線が集まる中、建物の一つに移動し始めた所で、駆け寄ってきたティルナスがエリルシアを抱き締めた。
「バカ娘が…何でこんな無茶を。
どれほど心配したと思っているんだ…」
「……申し訳ございません」
だが基本的に王宮内で仕事をしているティルナスが、この場に現れた理由が知りたい。
「はぁ……つくづく甘いが…お前が無事なら良い」
「ありがとうございます。
それで、お父様は何故此処に?」
エリルシアの疑問に、ティルナスは懐から手紙を取り出した。
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