第20話 アークMrーⅢ
「それで、これが」
「艦載機搭載型、アークMrーⅢだよ!」
じゃーん、と調律者が紹介するのは、前のハリネズミのような砲塔の配置が少し落ち着き、いくつかハッチが追加されたアークの姿だった。
「艦載機?」
「そう!前回の反省点を踏まえて、攻撃の手数が足りない時にサブで艦載機を積んであるんだ!AI制御でも、人が乗り込んで操作できるようにもなってるよ!」
「へー、そいつは便利そうだな」
また、残っている砲門も、コアでコーティングされており、トリックスターが無茶な使い方をしても壊れないような頑丈なものになってるらしい。
「そいつは楽しみだね。もっと楽しんで遊べそうだ」
「トリックスターらしい感想だな」
艦載機については機動力を主に重視し、武装は光子収束型のエネルギー系の弾丸を主に使用。
また、どの艦載機にも“オリジナル”の秘密兵器が搭載してあるらしい。
「どんな秘密兵器なんだ?」
「それは見てのお楽しみ!」
「…自爆機能とかついてないだろうな?」
「それも見てのお楽しみ!」
「楽しめるわけねえだろ!」
管理者のトラウマを刺激しつつ、発艦準備が完了する。
「では、出発ー」
調律者の明るい掛け声と共に、アークMrーⅢは境界へと再突入を果たした。
ーーー
「静かだな」
「ここら辺はココアがだいぶ掃除したらしいな。まあ、“食い残し”はそこら中に散らばってるが」
周囲には綺麗にコアだけ抜き取られたデブリの残骸が浮遊している。
「あれは放置して大丈夫なのか?」
「ん?ああ、デブリのコア以外は境界内で自動的に分解されるから大丈夫だ。一応これでも管理者なんでな、そのくらいの設定はできる。ただ、コアが存在したままだと弾かれちまうんで、デブリの自動処理が今までできなかったんだ」
「なるほど」
ハルと管理者が会話しつつ、船は深部へとどんどん向かっている。
「んー、ココアの反応まだまだ遠いねー」
「頑張ってるんだね!」
「意思があるみたいな言い方だが…確かに、ありそうだな、こっちの様子もうかがってたしなあ」
と、ここで、
「センサーに反応!」
「デブリっぽいね!」
ここまできてようやく初めてのデブリに遭遇。
だが、
「?反応が遠ざかってくよ?」
「こっちを避けてるみたい、なんでだろう?」
「まあ、十中八九、アレが原因だろうな」
境界対応型モニターに映っていたのは、逃げるデブリに食らいつき、コアをむしり取るココアの姿。
いつのまにかバックパックのようなものを背負っており、そこにコアを格納している模様。
そして、デブリの残骸にはまるで興味を示さず次の獲物に襲いかかっている。
「多分、またやばいやつが来たと思われてるんだろう」
「光栄だね!」
「ある意味な。で…」
ココアが縦横無尽に暴れる中、唯一避けている空間があった。
傍目には何も見えないが…
「タケル、何か見えるか?」
「ちょっと待ってください。んーと、これは…なんていうんでしょう、澱み?」
「澱み?」
ハルが首を捻る中、
「確かに、澱みって表現がしっくりくるな。見てみろ」
そう管理者がモニターの一部を指差すと、
「デブリが突然出現した?場所的には、その澱みとやらの近くか?」
「そうだな。なんかすごく嫌な感じを受けるな、境界の中にあってはいけない存在。そんな感じがする」
管理者が難しい顔で考えこむ中、
「じゃあ、突撃して調査する?」
「さすがに無策で突っ込むのはなあ。ココアが避けるくらいだし」
「じゃ、秘密兵器その1の出番だね!」
「早くも秘密兵器か。どんなモノなんだ?」
「まず、タケルに装着します」
「なんで!?」
「次にこのボタンをポチッとします」
「うっ、視界がぐわんぐわんする…」
タケルの抗議一切無視でいつも通り調律者が勝手に装着。
すると、
「なんか徐々に見えてきたかも…これは…何かの装置?」
「装置?」
「うん、ケーブルっぽいものがグルグル巻き付いて、センサーライト見たいのがチカチカ点滅してたり、規則的に動いてたりしてる」
ハル達が境界の深部で発見したもの。
それはデブリを生み出しているように見える謎の装置だった。




