第十一話「ねえねえ」
第十一話「ねえねえ」
「ねえねえ、僕たちも手伝うよ!」
「うんうん、ハカセにはお世話になってるからね!」
「ん?そうだな、人出は多いほうがいい。頼めるか?」
「「「うん!任せて!」」」
「ちょ、ちょっと待つのじゃ、ハルだけで十分じゃないかの?」
ハカセの顔に浮かんだ怯えは、
先ほど巨大胃薬と殴り合っていた時の比ではなかった。
「遠慮しなくていいよ!」
「そうそう、お世話になってるし!」
「いや、だからの、そう思うならハルに任せてじゃの……」
ハルは淡々と告げる。
「だが、これは時間との勝負だ。
間に合わないリスクを考えると、一流の技術をもつ調律者の手を借りない手はない」
「そ、それはそうなんじゃが……」
調律者たちが目を輝かせる。
「一流、だって!」
「照れちゃうなあ……そうだ!」
ハカセの顔が引きつる。
「……何か嫌な予感がするんじゃが」
調律者Aが拳を握る。
「やっぱりさ、修理からのパワーアップって、ロマン、だと思わない?」
ハカセの顔が完全に固まる。
「思う思う!でさ、やっぱ、パワーアップといえば……改造!」
「「「改造!!」」」
いつぞやの調律者の“コール”が始まった。
以前はそれをにやにやと眺めていたハカセも、
**当事者となっては余裕などあるわけもなく**――
「改造、はいらんと思うのじゃが!?
やめんか!? わしはただ治ればそれで――」
「じゃあ、さっそく『足』から始めよう!!」
「人の話を聞けい!!」
アイルの背部ユニットが展開し、
整備用アームが何本も伸びる。
調律者たちが工具を構え、
ハルがメインコンソールを操作し、
ミカが補助電源を安定化させ、
タケルが胃を押さえながら応援する。
「……ハカセ、がんばれ……俺の胃もがんばる……」
「タケルくん、応援になっとらん!!」
境界の揺らぎが、
まるで“恐怖”と“期待”の混ざった振動を返してくる。
そして――
✦ 結果
“無事”侵食の問題は解決した。
そう、
**“命だけ”は助かったのだ。**
ハカセは、
新品のようにピカピカの足回りと、
妙に強化された関節部と、
なぜか光る胸部パーツを装備していた。
「……わしは……
いったい……何をされてしまったんじゃ……?」
調律者たちは満面の笑み。
「ロマンだよ!」
「パワーアップだよ!」
「ハカセ、かっこよくなったよ!」
アイルも嬉しそうに跳ねる。
「ハカセ、ピカピカ!」
ハルは肩をすくめる。
「まあ、結果オーライだろ。
侵食は止まった。
生存も確保した。
ついでに強くなった」
ミカがため息をつく。
「……ついでの範囲が広すぎるんだよ……」
ハカセは頭を抱えながらも、
どこか嬉しそうだった。
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ここから先、
“救われた命”と“強化された身体”を持つハカセが、
境界の問いにどう向き合うか。




