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第五話 eye’s

第五話 「eye’s」

ここからは、

“誰が戦うか”ではなく、

**“何が戦うのか”が問われる段階に入る。**



「……早すぎて見えねえ……」

タケルが呟く。

その目は、恐怖と興奮の中間にあった。


「……超高速戦闘する胃薬と戦うハカセ……

自分で言ってて意味わかんない……」

ミカが頭を抱える。


「……安心しろ、俺もだ」

ハルが珍しく素で返す。


その瞬間――


「ロマンダネ!!」

アイルが満面の笑みで叫ぶ。


「「ソウダネ……」」

ハルとミカが、完全にアイルのアクセントに引っ張られて返事をしてしまう。


「イッショ、ウレシイ!!」

アイルがぱあっと笑う。


「「うん、そうだね。。。」」

その笑顔に、二人は少しだけ正気を取り戻した。


だが――タケルだけは違った。


「……胃薬って、こんなに強いんだあ……」


現実逃避のような声。

だが、その目はしっかりと“戦い”を追っていた。


そう、タケルには――

**ハカセと巨大胃薬の激闘が“見えていた”のだ。**


アークMk‑Ⅱの中で、タケルだけが。


ハルが気づく。

「……タケル。

お前、境界の“動き”が見えてるのか?」


タケルはゆっくり頷く。

「……分かんないけど……

見えるんだよ。

ハカセが……あの胃薬と……

殴り合ってるのが……」


ミカが震える声で言う。

「……なんでタケルだけ……?」


調律者“達”が同時に反応する。


「個人差……!」

「境界適応度……!」

「視認能力の偏差……!」


アイルが首を傾げる。

「タケル、スゴイネ!」


タケルは苦笑いする。

「……すごくないよ。

ただ……見えちゃうだけだよ……

あんなの……見えない方がよかった……」


その瞬間、ハカセの声が響いた。


「タケルくん!

“見える者”は、わしの動きを“導く者”じゃ!」


巨大胃薬の影が、再び揺れた。


タケルの目が、わずかに見開かれる。


「……来る……!」


ハカセが笑う。

「ほう……“読める”か!」


境界の最初の試練は、

**視点の揺らぎ**

**概念の具現化**

そして――

**“見える者”を選ぶ試練**だった。


タケルの視界が、さらに深く境界へと沈んでいく。


---



「調律者たち、わしは今、手が離せん!

アレをタケルに装着せい!」


「え?」


「わかった!」


「あれだね!!」


「え?」


タケルが反応するより早く、

調律者“達”が一斉にタケルへ群がった。


次の瞬間――


ガチャッ、ガシャン、ギュルルルル……!


タケルの頭に、

やたらとごついゴーグルのようなものが装着されていく。


いや、ゴーグルと言っていいのかすら怪しい。


コードが絡み、

計器が脈動し、

“ナニカうごめくもの”が内部で蠢いている。


「ちょ、ちょっと待って!?

これ本当にゴーグルなの!?」


「目には目を」


「歯には歯を」


「そして」


「「「「胃薬には胃薬を!!」」」」


「……え?」


タケルの顔が完全に固まった。


調律者Aが誇らしげに宣言する。


「完成!

TYPE “E” eye’s

(境界干渉制御胃薬依存型観測装置)!」


調律者Bが続ける。


「タケルの胃薬を触媒に調律した、

境界専用観測デバイスだ!」


調律者Cが締める。


「境界の揺らぎを“胃”で受信し、

“目”で視覚化するのだ!」


「……俺の胃が、もう、やばい……」


タケルが膝をつきかける。


アイルがそっと手を握る。

「タケルノイ、マモル」


「……うん、アリガトウ、アイル……」


タケルの語尾がアイル化し始める。

アイルは嬉しそうに笑った。


「イッショ、タノシイ!」


「……タノシイ……」


ミカが頭を抱える。

「ちょっと待って!?

タケルまでアイル語になってるんだけど!!」


ハルが冷静に言う。

「……境界適応が進んでいる証拠だな」


「いや、冷静に分析しないで!!」


だが、もう誰にも止められない。


タケルのゴーグルが光を放つ。


境界の揺らぎが、

タケルの視界に“形”を与え始める。


命運は――

このびっくり箱とタケル、

そして **タケルの胃の安全** にかかっていた。


---


ここから先、タケルは“境界を見る者”として

物語の中心に立つことになる。



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