12月4日 チャンス
俺は、篠木に捕まっていた。さすがに、放課後の教室には誰もいないと思ったのにな。間違いみたいだった。この前と同じく忘れ物をしたらいたのが、篠木だった。この前散々な目にここであったのだから、普通は忘れ物はしないと思うんだけど。それは、違うみたいだった。俺は、必死に帰れる隙がないかチャンスをうかがっていた。しかし、それらしいチャンスはない。それよりも、次から次へと篠木の質問が飛びかかってくる。俺は、どう言っても会話が終わらず困り果てていた。
篠木「この前聞いたよ」
俺 「何を?」
この女が何を言いたいのか俺にはわからなかった。
篠木「ケンカだよ」
俺 「ああ、あったな」
また、その話か。ここ最近、ケンカの話しかしてない。めんどくさすぎる。
篠木「何してたの?」
俺 「何もしてないから」
いつもより強くいったせいか、俺は言ってすぐ下を向いた。
篠木「そうなの?」
俺 「当たり前だろ」
だめだ。ケンカのこと考えていたら頭がおかしくなる。篠木の髪の毛はとても光っているみたいだ。
篠木「でも、野間から一緒にいたって聞いてたから」
俺 「いたっていうか、、、、、。たまたま、会ったの方があってるから」
野間に聞いたのだったら、そこに聞けばいい。話さない理由を考えながら、篠木の頭上を見つめていた。
篠木「どうやってケンカ始まったの?」
俺 「えっ、、、、。わかんね」
急にケンカの説明を求められても困る。どうしたらいいのだろうか?僕にはわからなかった。てか、そう言えばなんでケンカ始まったんだろう?たしか、俺が教室に入った頃からすでに、口喧嘩をしていた。徐々にヒートアップしていったような。違うっけな?何が本当なのかすらわからない。
篠木「何よそれ?」
俺 「もうめんどくさいからいいだろ」
たしか、二人がもめていた理由は知らないけど、SNSの書きこみをめぐって話はしていた気がする。俺は、していないからわからないんだけど。
篠木「そう言われると知りたくなるでしょ」
俺 「知らねぇ。野間や中村とかに聞いたら」
たしか、あの場所には俺以外の人もいる。そいつらに聞いたらわかることだ。
篠木「いや、今教えてよ」
俺 「知らないって言ってんだろ?」
篠木「どうせさっきまで覚えてたんでしょ?」
コイツむかつくな、まじで。もう、話をしない方がいいみたいだ。




