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11月21日 彫刻

 卒業制作について話し合った結果、俺たちは、全員で一枚の絵を作ることになった。俺のところは、木彫りをしなければならなかったので、大変だった。俺が目の前に置いてあるゾウの木彫り。これは、1年前に先輩が作ったものらしい。とても可愛らしい作品だった。後ろには、「土屋美優」と名前が彫られていた。誰だろう?この人は。名前的には、女性だろうな。あまり知らない。土屋という人が掘ったものの横には、パンダが描かれていた。

 このパンダは、とても可愛い。この絵を見ていると、静寂な森の中、無邪気な微笑みを浮かべたパンダが姿を現しているように見えた。さっきのゾウ以上に可愛らしかった。彫刻は、とても緻密な技術を駆使している。この絵は、誰が描いているのだろうか?俺は、彫刻の後ろを見ると、「喜早柚月」と記されていた。この人、なんか聞いたことあるな。なんで、自分が知ってるかすらよくわかっていなかった。そんなパンダの横には、サルがいた。

 このサルには、とても繊細だった。彫刻刀の木の表面に命を吹き込まれた一掘りがとても力強かった。眉毛の一本一本まで忠実に再現されたサルの顔は、まるで生きているように見えた。彫られたところを触ると、とても柔らかい木の肌の感じだ。サルは、愛くるしい表情が浮かべており、その存在感は、見る俺の心を奪うくらいだった。後ろを見ていると、「三谷沙蘭」と書かれていた。たぶん、あいうえお順とかではない。おそらく、仲がいい人同士で作った気がしたのだった。

 そんなサルの上には、キリンがあった。このキリンを書いたのは、「谷山美玲」と。谷山は、木の年輪のようにキリンの体毛を創り上げているようだった。長くそびえる首を筋肉の緊張感と柔らかさを魅せるように彫り込んでいる。谷山がどんな人かは知らないけど、彼女手はとても優雅に木の表面をなぞっていることがわかった。キリンのつぶらな瞳の近くには、生命の躍動が宿っているかのように輝いていた。おそらく、俺だけでなく同じように見た人が、その造形美に魅了されているんじゃないかと勝手に思い込んでいた。指先には削り出したあとの油が塗られており、香り高い材料の香りが漂っているみたいだった。そんなキリンの上には、ウサギがいた。ウサギは、冷たいような傷跡が残った刻まれた木肌みたいだ。彫られたウサギは、木の息吹を感じを見せて、作品を見る我々に美しさを醸し出しているように見えた。

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