11月3日 スターダム
今日は、休日だったこともあり、俺たちは正田の家に来ていた。しかし、家には入らず、ずっと玄関前で自転車を置きながら話をしていたのだった。
俺 「BCDどうなの?」
正田「全然進まない」
4日前に手に入れたゲームに行き詰まっているらしい。
俺 「なんで?」
正田「やっぱり、武器ないと進まんわ」
そりゃあ、そうだろう。そんな簡単にクリアできるなら面白くないだろう。
俺 「買えば?」
正田「ガチャ回さんと無理」
ガチャなんて、最近全く回せてない。受験勉強を本格的に始めてから、なかなかゲームもできてない。
俺 「ガチャなん?」
正田「うん。全然当たらんし」
俺は、自転車の鍵をくるくる回し始めた。
俺 「新しいゲームある?」
正田「次、12月に出るスターダムは?」
スターダム?
俺 「また、出るの?」
正田「うん。なんか、次の面白そうやったけどな」
まじか?もう、やりたいゲームがいっぱいありすぎて困る。
俺 「あー。迷うな」
正田「欲しい?」
俺 「スターダムシリーズは、ずっと買ってたからな」
昔からこのシリーズは、ずっと買い続けていた。たしか、今が8だから次は、9だな。
正田「BCDとどっちがほしいの?」
俺 「いやー、迷うな」
正田「両方欲しいやろ?」
俺 「当たり前やな」
正田の言う通りだ。今すぐにでも欲しい。
正田「どっちも高いからな」
俺 「なんぼするの?」
俺は、今7000円持っている。もしかしたら、もう少しで買えるかもしれない。
正田「BCDが2万くらいで、スターダムは、3万くらいかな」
俺 「高いなぁ」
さっきまでの期待が一気になくなった。
正田「金ないの?」
俺 「ないなぁ」
正田「お前もバイトしたら?」
俺 「俺なんかできるわけない」
バイトなんて考えたこともない。
正田「まぁ、探したらなんかあるやろ」
俺 「受験もあるし、無理やな」
正田「じゃあ、どうするの?」
正田は、自転車にまたがった。
俺 「お母さんに買ってもらうようにしたいな」
この前、お母さんに言ったら即答で無理と言われた。そんなすぐに言わなくてもというくらいだった。でも、お母さんが出してくれなかったらもう他の手立てがない。お父さんなんて、怖すぎて絶対無理だ。




