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10月15日 崩壊

 俺たちのクラスは、昨日から崩壊していた。野間と仲がよかった横山や中村も学校に来ていなかった。女子では、諏訪や佐藤たちも来ていなかった。全員で8人の休みが出ていた。それに追い打ちをかけるように、担任の先生も来なくなっていた。

 そのため、朝からホームルームも始まらない。しびれを切らした委員長の西畑と篠木が職員室を向かうと言って、教室を出て行った。教室内では、騒ぐ者と静かにする者と二手に分かれていた様だ。

 野球部の八幡や橘は、こうした状況にも動じず元気に話をしていた。二人とも推薦で大学の進学も決まっており余裕があった。一方、大学が決まっていない真面目な生徒は、先生がいない隙を狙って、朝から勉強に励んでいた。

 俺は、シャーペンをいじるのにも飽きたので、塾の先生から言われた参考書の問題を解くことにした。リュックから取り出したのは英語の文法だ。俺は、英語と生物で受験することに決めた。塾の先生には、今から頑張ればいける大学もいくつか出てくることを教えてくれた。しかし、"大学に受かることはゴールじゃない"とも言われた。

 大学に入った後、俺はどうすればいいのか迷わないようにしなければならないとも感じていた。そのためには、先生が言うように大学の入った後を、今のうちから想定する必要があった。参考書のページをめくる。そして、問題を見た。

 そうこうしていると、西畑と篠木が教室へと帰ってきた。西畑は、教壇の上に立ち、1時間目が自習であることを告げた。「よっしゃー」前方から声が聞こえた。八幡と橘は、ハイタッチをしていた。俺は、5問ほど解いたこもあり、集中力が切れていた。

 俺の前にいた篠木は、冴えない顔をしながら、机の中から、勉強道具を取り出した。前から気になっていたが、篠木の教科書には、なにか貼られていた。よく、わからないが何か英語の文章みたいなものだ。

 篠木と言えば、BIG3とも称され、とても頭がよかった。しかし、普段の授業中にあまり話を聞いていない様にも感じていた。俺には、関係なかったので、そのまま篠木が勉強している姿を見ながら顔をうつ伏せた。

 うつ伏せた20秒ほど、誰かが机を叩いてきた。顔を少し上げると、そこには篠木がいた。篠木は、俺の机の下の方を指差した。指差した先を見てみると、篠木の教科書が落ちていた。つまり、その落ちた教科書を取れということか。俺は、右腕を伸ばして教科書を掴んだ。

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