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10月12日 狭山先生

 昨日から、やる気スイッチが入った俺は、朝から進学先を考えていた。進学するなら生物系の大学だろうか?俺は、英語、数学、国語の主要3教科の点数は、低かったが、社会と理科の点数は勉強しなくても70点以上は常にとれていた。

 しかし、社会と理科だけでいける大学なんて存在しない。俺は、英語、数学、国語の3つの内から1つだけ、それに社会か理科のどちらかを加えた2教科で受験できる大学を検討していた。そうなると、自ずと私立の大学になる。2教科で受験できる大学であれば、1教科に時間を費やすことができる。

 理系の大学に進学できれば、自分の興味がある生物の研究もできるかもしれない。今は、ミトコンドリアに興味があるので、少しでもそういった生物の勉強ができればと考えていた。しかし、大学に行くことは、いいことばっかりではない。

 俺が進学できそうな大学で、家から近いところはない。そのため、進学したら一人暮らしか寮生活をしないといけなかった。一人暮らしであれば、勉強だけでなく、食事、洗濯、掃除など全てしないといけない。母さんは、それも心配なのだろうと思う。いつも、俺がひきこもってゲームばかりしていると、とても怒ってくるからだ。

 母さんの本当の気持ちはどうなのだろうか?進学か就職か?俺は、大好きな生物の問題集を見ながら、考えていた。塾の狭山先生には、こう言われた。"ここが人生の別れ道"。大げさだけど、信頼する先生に言われると、本当にそうなのかと思えてしまう。

 俺の中では、進学か就職か、どちらにするかある程度決まっていた。あとは、両親や先生にどう伝えていくか。中学校の時みたいに、いろいろ言われるのはめんどくさい。そのため、時間がある時に、両親と時間を作ろうと思った。

 これは、狭山先生の言葉でもある。"応援してくれる人は、大事にしろ"。高校に入ってから自分のことを応援してくれる人なんて、いない。いるとすれば、両親と狭山先生くらいだ。だから、思い切って伝えてみようと。

 両親には、自分の意思だけでなく、これから先のプランと合わせて伝えることにした。高校3年間で、狭山先生には、"リスクヘッジ"について、嫌というほど聞かされた。こういう時はどうする?ああなったらどうする?ただ、この考えにも慣れたのか少しずつ、先生の考えも染みついてきた様だった。

 俺は、狭山先生が教えてくれたことが正しかったことを証明したい。今は、そんな思いが強くなっていた。

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