歓迎パーティー エディー目線
「ふぅ。」
華やかなパーティーの中ため息をこぼした俺。
いや、だって最近執務が死ぬほど忙しくてろくに休んでないんだぞ!
それに加えてあのバカ王太子の歓迎パーティーなんだからため息のひとつや二つつきたい……。
「エディー。」
そんな俺を低い声で呼んでとがめる元凶の父上。
イラッときた俺はそれに反抗し、このため息を吐かせるほど酷使したのはどこのどいつだ、という目で父上を睨み付けた。
そんな俺の視線に負けじと父上も睨み返してくる。
そんな中、隣に座って見ていた母上が、穏やかな声で話しかけてきた。
「エディー、それにアルも皆の前です。お止めなさい。」
美しく微笑んだ口元を扇で隠す。
その仕草は優雅で流石は王妃と言うところだが、何せ目が笑っていないのだ。
母上の夕日色の鮮やかな瞳は、パーティーの最中に睨み合う俺と父上に冷たい視線を向けていた。
多分、『今すぐそれを止めないと執務増やして1ヶ月位机にくくりつけるからな?』という感じだろう………。
「「す、すみません……」」
母上の冷たい視線に堪えかね、反射的に謝ってしまう俺と父上。
「それに二人ともこちらで睨み合う暇はなくてよ。……ほら、ごらんなさい。」
そういって母が扇をヒラリ、と向けた先にはあの濃い王太子がいた。
「…あれ、何だ?」
視界に映るのは見るに耐えられないような不格好な姿勢と稚拙なステップ。
ヘッポコ王太子はずっと相手の女性の足を踏み続けている。
えぇーーうわーーー。
そんな感じに思うのは俺だけではなく、他の貴族たちも同じように思っているようだ。
周りの皆がバカ王太子を見ながらあまりのことに目が点になっている。
その中には冷たく冷ややかに見るものさえいる。
我が国の貴族たちは他の国の貴族の何倍も情があり、人々に優しいものたちだ。
平民、貴族、王族といった身分の違いはあるものの実際はたいして隔てがない。
貴族でも金がなければ畑を自ら耕すものだっているし、平民だって能力があれば貴族となれる。
何よりこの国の民は王族を一番としている。
人の上に立つのは王族だけだと。
だから、他の国のように貴族が平民に威張り散らしたりしないし、そのような貴族がいれば周りが国家反逆罪として縛り上げ二度とこの国に入れないようにされる。
それだけの信頼を持っている王族も歴代権力に胡座をかくことの無いように教育されているし、生まれながらに王族として民を支える、そして民がいてこその国なのだと教えられる。
民の信頼が無いものは国王になれないし国王に選ばれない。
そんな我が国を他の国はこう呼ぶ
『国民によって成り立つ自由の王国』
と。
だからこそこのバカ王太子にはビックリだ。
王太子にとって教養とは得なければならないものだし、ダンスごとき美しく踊れなければこの国では国王になぞなれない。
この国に王の子は俺だけだがダンスが美しく踊れないならそんなこと関係なしに王族に一番近い誰かが王太子になっていただろう。
しかも多分サフィーと結婚できてない……。
「本当に王太子か?」
不思議そうに問う父上。
それに対して非常に残念そうに目を細める母上は、
「……残念ながら。」
と、だけ答えた。
しばらく王太子を観察していると何かを見つけた様子で足早にかけていった。
俺はだらしないなと思いつつバカ王太子の向かった先を見ると……
そこには我が愛しのサフィーがいた。




