お客様のおでまし 国王目線
イライライライラ…………
「アル。落ち着きなさい。」
「しかし!!……」
ギロ
儂、一応この国の最高権力者なのだが……。
王妃、ステラのひとにらみでイライラが多少は収まった儂。
「ステラ。あのくそやろうどうしてやろうか。」
儂にしては珍しいドスのきいた低い声。
「ええ、そうね。はっきり言うとどうしようもないわ。」
「そうだな……って、ええぇ!?なんにもしないのか!?」
「あら、アル。勘違いしないでね?私が言ったのはあのくそやろうにはどうしようもないけどあのくそやろうの国をどうにかできないなんて言ってないじゃない。」
終始明るい声で言うステラに儂は若干引きました…えぇ。怖いです(泣)……。
「ま、まぁでもそれでいいかもな。」
まぁ。そんなことしてもサフィーにあのくそ王子が触れたことが許される訳ないんだがな。
「とりあえず、今日の歓迎パーティーまで様子を見るが指示していたより多目に近衛を用意した方がいいな。誰かいるか?」
ドアの外に向かい声をかけると
「はい。なにか御用でしょうか。」
と、聞きなれた声が聞こえた。
「レイド。ちょうどいい。そなた今夜の歓迎パーティーの騎士を増やそうと思う。エディーにその事を伝え動くよう言ってくれぬか。」
「御意。」
あの王子に相当イラついているのだろう。いつもより声が固くなっていた。
「あの子も自分の手であのクズを殴りたいでしょうに……」
そう、悲しそうに言うステラの背をさすり、このあとあのクズをどうしてやろうかと考えながら侍従がパーティーの準備を、と呼びに来るまでステラと過ごしたのであった。