表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢幻酷法〜Starting Story〜  作者: SOR
1章 はじまりの!
1/18

出会い


「えっそれじゃまだ進路決めてないの?そろそろ二者面談でしょ」

「そうだけど…いまいちやりたいことがなくってさ。ゆかちゃんは?」

「私は医者かなあ。お父さんもそうだし」

「そうなんだ、賢いから絶対行けるよ!」

「はは、如紗(きさ)は自分の心配をしなさいな」

「と言っても本当に…痛っ」


カバンに誰かがぶつかってくる。


「…すみません」

「えっと、こちらこそ…」


ぶつかってきた主は下を向いたままスタスタと歩き去っていった。


「あれ、憂間(ういま)くんだよね。クラス一緒の」

「だね〜。ほんと愛想ないっていうか暗いっていうか。あんま友達と話してるとことか見たことないし」

「休み時間も本ばっか読んでるもんね。私、クラス一緒になって初めて会話したかも…」

「もう十月なのにね」

「まあいろんな人がいるし…ってああ!?」

「どうしたの如紗」

「きょ、教科書忘れた…」

「マジ!?今日テストだよ、どうすんの?」

「取りに行ってくる、ゆかちゃん先に行ってて!」

「はーい、気をつけてね」

「うんっ」


家まで歩いて十分程度、走れば五分…。よし、なんとか間に合いそうだ。


私の名前は相田如紗(あいだきさ)。平々凡々な高校三年生。

こんな時期なのにまだ進路はぼんやり中。とりあえず行っても恥ずかしくないような大学を志望している。

本当にやりたいことなんてない。

最近は気分が乗らない学生生活を送っている。


ああ、えっと…家の鍵は…

ゲッ、教科書カバンの内ポケットに入ってるじゃん。数学の教科書って他のと違ってちょっと小さいから見つけにくいんだよね。焦って損した。

方向転換をしようとすると、何かがコツンと靴に当たった。


「何これ、キーホルダー…?」


剣の形をしていてちょっとかっこ良さはあるけど、なんか錆びれててあんまり綺麗じゃないな…。

ここの通りは私たちの高校に通ってる人しか通ってないし、もしかしたら誰かが落としていったのかも。

届けてあげないと。


ふふっ、私もしかしていいことしてる?


そんなるんるん気分で私は学校へ急いだ。





「それじゃ今日はこれで終わり、みんな気をつけて帰るように」


この時期になると私たち受験生は、部活もほぼ引退して直帰する生徒が多くなる。

ほぼ、というのは例外として吹奏楽部が挙げられるからだ。ちなみにゆかちゃんがそうだったりする。

そのためいつも帰りは一人になるのだ。少しさみしいけど。


「ああ、相田(あいだ)。今から少し職員室に来てくれ、話がある」

「は、はい…」


担任の先生に呼ばれる。

何を言われるかなんとなく予想はつくなあ…

荷物をまとめた私は重い足取りで職員室へと向かう。

どうやら先客がいるようなので私はドアのところで待っていた。



きっと進路希望の話だろう。

あーあ、なんて言おう。

私がやりたいことってなんだろうか、夢ってなんだろう。

むしろこっちが先生に聞きたいくらいだよ…



「失礼しました」


ガラガラガラとドアが開く。どうやら先客が出てきたようだ。


「あっ…」


出てきた人物を見て思わず声が出てしまう。


「…なに?」

「なんでもない、です…」


そこにいたのは今日ぶつかってきた憂間京(ういまきょう)だった。

ってクラスメイトになんでカタコトになっているんだ。


慌てて目を逸らそうとしたが、一枚のプリントが目に飛び込んでくる。

それは、白紙の進路希望調査だった。


憂間くんも私と同じで進路に悩んでいる…?


ハッとなって気がつくと彼はもう私の視界から消えていた。動きが早い…


「相田、何をやってるんだ入ってきなさい」

「す、すみません!」


それから先生と私の懇談は一時間ほど続いた。




「づ、づがれだ…」


ボテッとベッドに横になる。

結局話は堂々めぐりするばかりで何も決められなかった。

机の上には大学の資料が山積みになっている。

そんなすぐに夢なんて見つけられっこないよ…

そう思いながら寝返りをうつとカランとポケットの中から何かが落ちた。


これ、確か朝拾ったキーホルダーだ。

学校の落としもの箱に入れてくるの忘れてた。


改めてそのキーホルダーをまじまじと見つめる。

忘れずに返さなきゃ、誰か困っているかもしれない。


明日も放課後に進路相談があることを思い出し、キーホルダーをポケットの中にしまいこんだ。





翌日。

なんとか進路相談も無事に終えることができた。

大学もエレベーター式にすればいいのにと何度思ったことか。

いつまでこれが続くんだろう、正解なんてあるのかな…


私が職員室のドアを開けると、そこには憂間くんが立っていた。

私が出てきても全く目に暮れない。

謎の親近感を覚えた私は憂間くん、お互い頑張ろうねと心の中でガッツポーズをした。

そして、その場を去ろうとしてあることを思い出す。


そうだ、キーホルダー。

ごそごそとポケットに手を突っ込みキーホルダーを取り出した。その時、憂間くんの目の色が変わった。



「おい、なんでお前がそれを持っているんだ?」

「…えっ?」


いきなり腕を掴んできた憂間くんに私は目を丸くして言った。


「ひ、拾っただけだよ。だから今落とし物箱に…」

「拾った?どこで?」

「えっと、通学路の途中で…」

「憂間〜嫌なのは分かるが話始めるぞ〜」

「うっ…時間か。終わるまでここで待ってて」

「はあ!?」

「帰ったら怒るから」


それだけ言うと憂間くんは職員室の中へ消えていった。

仕方なく私は職員室のドアの前のイスに腰を下ろした。


このキーホルダーがなんだって言うのよ。


というか憂間くんって喋るんだ…そりゃ人間だから喋るか…

憂間くんとはクラスが一緒になったのはこの3年生だけである。

それに話したことがほとんどないのであまり印象がない。


えっと、そういえば休み時間いつも本を読んでたような。

本というか参考書?みたいなものをカリカリ解いていた記憶くらいしかない。


でも参考書なんかやってるんだったら、進路相談なんてしなくても何となくやりたいことは見えているような気がするけどなあ。


何より私の中の憂間京という人物の影が薄すぎて情報の整理すらできない。

そんなことを一人悶々と考えていると、職員室のドアが開いた。


「憂間くんあの…って大丈夫?顔死んでるけど…」

「大丈夫…」


その時、私は憂間くんに関する情報の一つを思い出した。

確か病弱気味で人見知りが激しいんだっけ。


「とにかく帰りながら話そう。聞きたいことがたくさんあるから」


語尾を強めながら憂間くんは言った。

教室での大人しい憂間くんとは全く違う口調に私は少し恐怖を覚えていた。




帰路はひたすら憂間くんからの質問攻めだった。


「で、どこで拾ったんだっけ」

「通学路だよ。ほら小さな川がある場所、ガードレールに落書きがしてある」

「いつ?」

「一昨日だったかな。忘れ物してそれを取りに行く途中で見つけた」

「他に誰かいた?」

「ううん、私一人だけ」

「身体に異変は?」

「異変!?」


キーホルダーを拾っただけなのに身体の心配をしているのかこの人は。


「えっと…確かに見た目はあんまりだけどそんなバイキンとか入ってないと思うよ?」

「は?何言ってんの」


なんかバカにされた。


「もう一度見せて」

「う、うん…」


私はキーホルダーを憂間くんに差し出した。

それを彼が受け取る時、少し手が触れてドキッとする。


「手遅れか…」


そうはっきりと呟いたのが私には聞こえた。


「あの私はどうすれば…?」

「とにかくこれは家に置いておけ。

持ち出したりするなよ、もしそんなことしたら」

「お〜ターゲット見つけたっ」

「チッ、やっぱり来たか…」


声のした方を見ると、そこには変なマスクをつけマントをしたとにかく変な奴が立っていた。


「あら、もしかしておまけ付き?そっちの女の子もビンゴ?」

「この子は関係ない、お前らの狙いは俺だけだろう」

「勘違いしないでちょうだい。私たちの狙いはあんたじゃなくて四醋剣(しずけん)よ」

「ミロック王に従うしか能のないBe quietの連中がなにを」

「あんたミロック王を敵につけるの?そんなことしたら実行務の夢なんて粉々になるけど?」

「…相田さん、なるべく俺の近くにいて」

「え?」

「いいから俺の言う通りにしてて」


ポケットから何かを取り出し大きく息を吸い込むと、憂間くんは叫んだ。



『四醋剣、解放!』



次の瞬間、周りの建物がすべてなくなった。あるのは私と憂間くん、そして変な格好をした女の人だけ。


「フィールド化…一応周りに迷惑をかけないように配慮はするのね」

「四醋剣の全てが悪じゃない。ずっとそう言ってる」

「でも人を傷つけるものなのは確かよ」


どうしよう、全く状況がつかめない。

しかし憂間くんがポケットから取り出したものは、紛れもなく私が拾ったキーホルダーと同じものだと言うことは分かった。

そのキーホルダーが急に大きくなって剣として実体化したのだ。


「あんたの四醋剣にまだ技がないことは知ってるの。こちらも攻撃しないから早くそれを渡しなさい」

「嫌だって言ったら?」

「そうね、まずそっちの子から始末しようかしら」


女の人は私を見てニヤリと微笑んだ。


「待て、そいつは関係ないだろう。やるなら俺を…」

「そうはいかない、あんたと同じように私にも守らなければいけないものがあるの。ごめんね」


ものすごい勢いで女の人は私に近づいてくる。手には棒のようなものを持っていた。おそらくこれで殴るつもりだ。


「相田さん!!」


憂間くんがこれまで聞いたことのないような声を上げる。

逃げられるわけがないのになぜか私は平然としていた。

殴られない、そう確信を持っていたのだ。

そうだ、女の人の軌道が違う。

何か遠回りしているような気がする、距離感も違う。

狙っているのは私じゃなくて…

一か八か、賭けるしかない。


『四醋剣、解放』


「ぐはぁっ…なぜ…」

「あ、相田さん…?」


やはり狙いは私じゃなくて憂間くんだった。

気がつくと女の人は数メートル先まで吹っ飛んでいた。

三つの影が月明かりに照らされている。


…三つ?


私は恐る恐る振り返ると、そこには人間のような形をした何かが立っていた。

私が動けと命じると動くようになっている。


「相田さん、今四醋剣を…」


それを見て憂間くんはかなり驚いているようだ。

これってもしかして召喚しちゃった感じ?

なんかの漫画で読んだなあ、自分の分身を出して悪を成敗しちゃうやつ。


「相田さん??」


あれ、でも今この状況で悪って誰なんだろう。

この女の人?それとも憂間くん?


「おい、しっかりしろ!」


薄れゆく意識の中で私が召喚したそれが不敵に笑っているのが見えた。





「ん…」


目がさめると私は自分の部屋のベッドの上にいた。

夢、だったのかな。

目をこすりながら身体を起こすと、ベッドの横に紙きれが置いてあるのが見えた。


それは憂間くんかららしく、起きたら連絡くださいとメールアドレスと電話番号が書いてあった。

ここまで運んでくれたのも憂間くんだろうし連絡はした方がいいよね…

ぼーっとしたまま私はケータイに書かれた電話番号を入力し、電話をかけた。



『…もしもし相田さん?大丈夫?』

「うん、大丈夫だよ。ありがとう憂間くん」

『いや、別にいいんだ。その…いろいろ聞きたいことがあると思うんだけど』

「そりゃあもう山ほど…」

『明日土曜で学校はないから直接会えたりしないかな?電話じゃ分かりにくいと思うから』

「明日なら予定ないよ」

『なら俺の家来てくれる?その方がゆっくり話せると思うし』

「い、家!?」

『心配しなくても明日は誰もいないよ』



え、そっちの方が不安なんだけど!?

と思っても断れるわけもなく。



「それじゃお邪魔します…」

『オッケー、それじゃ待ってるから適当に来て』

「分かりました…」



プツンと電話が切れる。

二人きりがどうとか気にしている場合ではないのは分かっている。

電話越しに聞く憂間くんの声から少し焦りの色が見えた。

きっとただごとじゃないのだろう。


「服、何着て行こう…」


クローゼットを開けてぼんやりと眺める。

…って違うから!!!!

別にそういうのじゃなくて、月曜日に学校で相田さんの私服がダサかったなんて広まったら困るだけだから!!!!




弟に男の家に行くんだ〜、とからかわれながら家を出た私は大事なことに気づいた。

そういえば憂間くんの家、シラナイ。

確か私の通学路の途中にあったようななかったような…


「相田さん、おはよう」

「う、憂間くん!?」

「ごめん、俺の家知らなかったよね。普通に忘れてた」

「私も忘れててごめん…だけどなんでここが分かったの?」

「…細かいことは気にしないで」


何それちょっと怖い。


「途中に公園あるよね、あそこ誰もいなかったからそこで話そう」


良かった、家に連れ込まれるわけじゃなさそうだ…


「ていうか本当に他意はないから、本当の本当に。

よくよく考えたらいきなり自分ちに呼ぶとかおかしいもんね。あの後、1人で悶々としてて……ねえ、聞いてる?」

「聞いてる!聞いてますよ!!」

「変なやつ」


どっちが!?

モヤモヤしながら憂間くんと公園に向かった私は適当にブランコに座り、話を始めた。

ブランコに乗るのなんて何年ぶりだろうか。


「とりあえず俺だけ一方的に話すのも気が向かないし、質問に答えるよ」

「このキーホルダーは何?四醋剣って?昨日の変な女の人は?憂間くんってヒーローか何かなの?地球の平和を守ってるとか?」

「とりあえず整理しようか」


あ、今こいつめんどくさって顔した。



「相田さんが拾ったキーホルダーは四醋剣(しずけん)って言うんだ。

ミロックっていう異世界みたいなものがあって、そこで使われている武器だよ」


ううん、異世界。

そんなもの本当に存在するんだ。


「そのミロックの四醋剣がどうしてここに?」

「それが分かれば苦労しないよ」

「そっか…じゃこの四醋剣って何なの?」

「さっき言ったようにアバウトに言えば自分の身を守る武器。

四醋剣解放って叫ぶとその力が出る」

「だから昨日はかっこつけて言ってたんだね」

「う、うるさい忘れろ!!」


憂間くんは真っ赤になって否定をした。

私も言ったんですけどね。


「四醋剣にも人と同じようにいろいろ個性があるんだ。

だから相性っていうのが大切になる。

他の人の四醋剣を使いまわしたりはできない」

「なるほど…何となく四醋剣がどんなものかは分かったよ。

でもどうして狙われてるの?えっと、Be Quietだっけ?」

「それは、四醋剣の本質にある」


グダグダと会話していても仕方ないからこれをもってきた、と言うと憂間くんは分厚い本を差し出してきた。

どうやら自分で読めということらしい。

私はしぶしぶそれを受け取ると付箋のついているページを読み始めた。

内容はこうだ。



ミロック界には四醋剣の他に四季剣(しきけん)というものがある。

二つは対をなしていて、四季剣を正義とするなら四醋剣は悪にあたるという。

四季剣も四醋剣も本質は変わらない。

何かを守るために使うものだ。


しかし四醋剣は、四季剣に比べて極めて殺傷能力が高い。

その代わりに見返りがかなり大きくなる。

ハイリスクハイリターンということだ。



四季剣を持つ者は使い手と呼ばれているが、四醋剣はまた違った意味を持つ。

四醋剣は人に依存をするのだ。

相性が良すぎても悪すぎても四醋剣は人の身体を蝕んでいく。


昔ミロックを統括していた王の知り合いが、その四醋剣に身体を乗っ取られそうになったという事件があったらしい。

命を落としかけたそうだ。

その事件はもちろんミロックの住人の耳にも入り、四醋剣は駆除すべき存在であると意見が一致した。


ミロック王を中心に四醋剣排除活動は広まっているが、主体となって動きその規律を守っているのがBe quiet(ビークワイエット)という組織である。

昨日会った女の人がそうだ。

彼女たちはミロック界における警察の立ち位置になるという。




「つまり四醋剣はミロックではものすご〜く嫌われていて、それを憂間くんが持っていると」

「もう君も四醋剣保持者だよ」

「なんで?私四醋剣なんか持ってないよ」

「昨日解放しただろう…あれが契約した証みたいなもんになるんだよ」

「あれが!?」


ということは、これからあの人たちに狙われながら生活するってこと??


「もしかすると四季剣の可能性もあったけど、昨日の技と相田さんが倒れたのを見て確信した。それは間違いなく四醋剣だ」

「殺傷能力の高さと、大きな見返り…」

「そういうことだ」


私は憂間くんを助けようと、真似事だけど四醋剣を解放した。

でもその力に自分が耐えきれなくなって意識を失ったのだ。


「憂間くん、もう一つ聞いてもいい?」

「ん、なんだ?」

「この本のタイトル、実行務基礎参考書って何?

昨日の女の人も実行務がなんちゃらって言ってたよね」

「ああ、あっちの世界を統括している人みたいなもんだよ」

「総理大臣みたいなもの?Be Quietとは違うのかな」


憂間くんは立ち上がり、その辺に良さげな木の棒を拾うと地面に縮図を書き出した。



「あっちの世界にはミロックの他にもサラ国やマリック、リオンっていう国も存在する。

それぞれの国の長であるのが王だ」

「憂間くんはその王になりたいってこと?」

「そういうわけじゃない。

こっちの世界もそうだけど、それぞれの県や国だけでは成り立たない。

だから国ごとの代表者を決めて会議を開き全体的によりよい世界を気づいていく。

王とその国ごとの代表は違う人物だ。それが実行務にあたる」

「王は表立っては出ず、そういう他国間の会議にはでるってことね。

王より実行務の方が偉いのかな?」

「うーん、それはどうだろう。

実行務は必ず偉い、とかじゃなくてキャリアで決まることが多いんだ。

例えば、今のミロックは三代目王の補佐をしていた卯月優(うづきゆう)さんが実行務長をしている。

その前は二代目ミロック王兼一代目ミロック王の息子であるラン・クルミル様が実行務長をしていた」

「えっと、今ミロック王って何代目なの?」

「確か、八代目だったかな。もうすぐ九代目を決めると言っていた」


キャリアハンパない。

行ったことはないけどもうなんかその歴史だけで圧倒されそうだ。


「…かっこいいんだ、その卯月優先輩が。俺の憧れなんだ」

「その卯月先輩にはどこであったの?」

「俺も四醋剣を偶然拾ってさ、その時に卯月先輩に会っていろいろ教えてもらった」


憂間くんは今までとは違い、とても目をキラキラさせて話している。

その時、私は直感で分かった。

この人は進路に迷っているわけじゃない、ちゃんと夢を持っている。

でもそれはこっちの話じゃないから言えなくて呼び出されていたんだ。

実行務の話なんて先生に出来る訳がないから。

…私とは違う。



「相田さん?どうしたの、まだ疲れ取れてない?」

「ううん、大丈夫。ありがとう憂間くん」

「…これからどうするの?」

「とりあえずもう少し四醋剣の情報が欲しいかも。

もう他人事じゃないんだし…後はまたミロックにも行ってみたいかなあ。

せっかくの縁だし、その卯月先輩に会ってみたい」

「そうじゃなくてっ!」


憂間くんが今日イチの大声を出す。

びっくりして声が出ない私に憂間くんは俯きながら続けた。


「その、この後予定とかなかったら一緒にお茶でも…」

「あれ如紗ちゃん?如紗ちゃんだ、久しぶりだな!」

「えっ加羅(から)くん!?」


公園の入り口から見えたのは、髪を派手な金髪に染めた私たちと同じくらいの年に見える男の子だった。


今思えば、もう四醋剣を手にした時点で歯車は回り始めていたのかもしれない。

その歯車は、隣の歯車とかみ合うように器用に形を変えていく。

私はまだ、そのことに気づいていなかった。

お久しぶりの方はお久しぶりです。

この作品は前作の夢幻酷法の続編にあたります。

もちろんこの作品のみでも楽しめるように執筆してまいりますが、前作も合わせて読んでいただけるとより世界観にのめり込める(はず)と思います。

前作では月の暦をモチーフに名前をつけてきましたが今回は割とキャラのテイストでつけております。主人公には「如」という文字を使っておりますが…


あらすじにも書いたように「夢」と「つながり」をテーマに書いております。

つながりというのは具体的には人とのつながりを主に指しています。

一応アクションラブコメ、なのですが以前よりもラブ要素が強くなっている気がします。

それではここまで読んでくださりありがとうございました。如紗たちの成長物語、どうぞお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ